乃木坂46とHKT48が舞台公演に力を入れる理由とは? それぞれの演目が持つ意味を分析

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乃木坂46『命は美しい(通常盤)』

 乃木坂46とHKT48が、舞台にまつわる様々なイベントの詳細を発表した。

 乃木坂46は、6月18日から同月28日の間、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて女子落語家たちが日常を題材に楽屋トークを繰り広げるギャグマンガを舞台化した『じょしらく』を行うことが決定。同公演は乃木坂46が毎年定期的に行っていた舞台公演『16人のプリンシパル』を秋に順延させて行うもので、出演メンバーは、公演に先立って3月29日に都内で行われる公開オーディションによって選出。作・演出を務める川尻恵太(SUGAR BOY)を含む審査員と、会場を訪れたファンたちの投票で選ばれた15人が5役のトリプルキャスト(各役につき3人)を務めるという。

 また、HKT48は4月8日から同月23日まで、東京・明治座にて『HKT48指原莉乃座長公演』を開催。同公演は2部構成となっており、第1部では『スーパー歌舞伎』シリーズをはじめ、数々の著名な演劇を手がけてきた演出家で劇作家の横内謙介氏が全編書き下ろしたオリジナル演劇『博多少女歌舞伎「博多の阿国の狸御殿」』を上演、第二部ではライブ『HKT48ライブ「踊る!たぬき祭り」』を行うという。明治座で女性アイドルグループが単独公演を行うのは今回が初めてとなり、ファンの間でも話題を呼んでいる。

 同時期にアナウンスされた2つの舞台公演だが、演技に重点を置き、映像作品や演劇への出演などで舞台女優としての経験を積んできた乃木坂46と、ライブ興業として明治座公演を行うHKT48では、舞台公演の意味合いは大きく変わってくる。この違いについて『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、AKB48グループに詳しいライターの香月孝史氏はこう語る。

「乃木坂46が今回行う『じょしらく』は、『16人のプリンシパル』や、漫画やアニメ作品を舞台化する“2.5次元舞台”の制作でおなじみのネルケプランニングが手掛けています。また、『16人のプリンシパル』はメンバーが登場する役柄全ての台詞や演技を覚えたうえで、毎日行われる公開オーディションに勝たなければならないという、一般的な演劇とは違ったスタイルでの舞台公演でした。同舞台では来場したファンの投票によるキャスト決定などのいわゆる“48グループ的な仕掛け”の方に目が行きがちで、メンバーの浮き沈みや苦悩を見守るドキュメンタリー性を含めたものでした。乃木坂46は運営委員長の今野義雄氏が“女優を育てる集団”とグループの方向性を掲げていますが、『16人のプリンシパル』はそうしたドキュメンタリー性などを含んだ面白さがある一方で、純粋な演劇の質を上げるという役目を構造上果たしにくい難しさがあります。だからこそ、今回の新舞台は演技の経験を積むいい機会になるでしょう。ただ、全くファンと遠いところにいきなり置いてしまうのも不自然なため、多少ファンが参加する要素をとして都内での公開オーディションを実施しているのだと思います」

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