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矢野利裕のジャニーズ批評

ドリフターズ、氷川きよしから、ジャニーズWESTへ……今も歌い継がれる「ズンドコ節」の系譜

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矢野利裕
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 渋谷の街を歩いていたとき、ジャニーズWESTの「ズンドコパラダイス」を耳にした。宣伝のため、センター街の大モニターでガンガン流れていたのだ。テレビ番組を録画で見るようになり、オープニングやエンディング、あるいはCMなども飛ばすようになり、流行歌がふと聴こえてくるという体験がすっかり減ってしまったが、ときどきこういう音楽との出会いかたをする。ポピュラー音楽とは、そういうものだ。しかも、「ズンドコ」。この連載の目標のひとつに、ジャニーズの音楽を日本のポピュラー音楽の歴史のなかにしっかりと位置付ける、というものがある。となれば、「ズンドコパラダイス」には言及せざるをえない。

 まず見逃せないのは、「ズンドコパラダイス」が、ヴィレッジ・ピープル「YMCA」のオマージュのように始まることによって、イントロの時点からノベルティソング性を暗示することである。ヴィレッジ・ピープルは、ディスコを最大限にノベルティ化することで、見事にポピュラリティを獲得した存在である。「YMCA」的なイントロに続いて、「ズンズンドコズンズンドコ♪」と歌われる最初の15秒で、この曲はノベルティソング性やコミックソング性の方向を示す。そして、冒頭サビ後、曲が始まって30秒で「コン」というカウベルの音(コミックソングの常套)が鳴るころには、「ズンドコパラダイス」はコミックソング性を音楽的に決定づけられるのだ。ジャニーズWESTは基本的にノベルティ感の強いグループだと思うが、そのイメージは楽曲にも丁寧に持ち込まれている。

 ヴィレッジ・ピープルの名前を出したが、曲全体はいわゆるディスコというほどではない。軽薄な打ち込みのビートを基調にしているが、むしろビブラスラップの音やこぶしを効かせたヴォーカルなど、演歌的な文法が後景にほの見える。このへんの隠しかたは上手い。ビートを重くしないのも、演歌的なたたずまいを殺しきらないためだろう。「ズンドコパラダイス」は、クラブミュージック的な枠組みでいかに演歌的に響かせるか、という試みだと言える。これはもちろん、初期の関ジャニの試みに通ずる。

     
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