>  > 竹中夏海が語る女性アイドルの楽しみ方

『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』刊行

振付師・竹中夏海インタビュー 美少女ヒロインと女性アイドルの共通点とは?

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上野拓郎
竹中夏海
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新刊『アイドル=ヒロイン』を手にする竹中夏海。

 PASSPO☆やアップアップガールズ(仮)といったアイドルグループの振付を手がける振付師でありながら、熱心なアイドルファンとしても知られる竹中夏海氏が、1月20日に自身2冊目となるアイドル本『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』を上梓する。前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』は、振付師という立場からアイドルの魅力を読み解いた一冊だった。今作ではさらに自身のアイドル論を掘り下げ、アイドル=ヒロインであるという見立てのもと、女性はどんな目線で女性アイドルに夢中になるのか、その理由を探るとともに、具体的なアイドルの楽しみ方を提示している。そんな彼女に、アイドルをファッショナブルな目線で捉えた新感覚のガールズ・フォトブック『POKER FACE』を昨年12月に上梓した編集者の上野拓朗氏が、話を聞いた。(編集部)

――前に『POKER FACE』のムック本でお仕事をご一緒させていただいた時、セーラームーンを例に出してアイドルの魅力を語っていたのが印象に残っていて、今回の『アイドル=ヒロイン』でもセーラームーンが大きなキーワードになっていますよね。

竹中:もともとはヒャダインさんから「女性ってどういう目線で女性アイドルを好きになるんですかね?」って聞かれた時、「セーラームーンですかね」って何気なく自分で答えた言葉が、凄いしっくりきて。そこから掘り下げていけばいくほど、共通点が出てきたんです。戦う美少女ヒロインみたいなものと女性アイドルって、すごく共通点が多いなって気づいて。で、本を出してみたいなって。

――『アイドル=ヒロイン』の前作にあたる『IDOL DANCE!!!』は、まさしくアイドル・ダンスという部分にフォーカスを当てた本でしたが、今回はもうちょっとサブカルチャー的な視点でアイドルの楽しみ方を提案してますよね。

竹中:『IDOL DANCE!!!』は、アイドルのダンスについて当時文字で書かれているものがなかったので、これは一冊出しておかなきゃいけないという使命感があって。素晴らしい振付師の方はたくさんいるんですけど、私は文章を書くのも好きな方なので、ちゃんと資料にして残すという意味で、一回どこかで説明できればなというのがあったんです。でも、『IDOL DANCE!!!』を読んだ人からは、もっと技術論かと思っていたけど、半分くらいはアイドル論だったねって感想が多くて。「だよね」って(笑)。で、そのことについてもっと話したいなっていうのと、女性アイドルの女性ファンがなんで増えてきているのかを説明しているところが今あんまりないと思って、それらをカバーする時に“美少女ヒロイン”っていう補助線を使えば、今の時代に合ったものになるかな、と。

――アイドルの見方ってところだと、いちばん最初は嵐だったという竹中さんのエピソードはインパクト大でした。

竹中:見方みたいなものは、嵐が形成した感じですね。15歳くらいの時、大野くんがタイプってところから入ったんですけど、5人のワチャワチャしている姿が未知のものというよりは、“あるある”って感じで楽しくて。その延長線上ですね、女の子のアイドルも。

――“アイドルっていうのはヒロインのように誰でもなれるものじゃない。そこに消費されないヒントがあるんじゃないか”って書いてますけど、さっき使命感って言葉も出てきましたが、自分が女の子の側からこのことを伝えていかなきゃいけない……という竹中さんの熱い気持ちを感じました。

竹中:そうですね。両方の本に共通してるんですけど、現役でアイドルをやってる子たちに向けて書いていることは結構多いです。というのは、どんなに強い気持ちを持っていても、こうしてアイドルの数が増えてくると、ほとんどの子が“私って必要とされているのかな?”って時期に一度は入るんですよ。あとは“アイドルって何だろう?”みたいな、そういうサイクルに入ってしまう人も多いので、一つのエールみたいな気持ちを込めて書きましたね。今は量産型みたいになってきて、なかなか個性も出しにくかったりするし、夢はアイドルじゃなくて女優って子もたくさんいて、アイドルの価値がグラグラしている。それで改めてアイドルって何だろうと考えた時、それは誰でもなれるものじゃなくて、本当はもっと崇高なものというか、選ばれし者――ヒロインとかマドンナとか、そういう存在のことじゃないかって『IDOL DANCE!!!』の中で書いていたことを、さらに掘り下げたのが『アイドル=ヒロイン』ですね。

――セーラームーンのミュージカルのオーディションに受かったものの、転入した小学校で登校拒否になったり、実際に舞台が始まってみたら大変なことばかりだったりと、この本では11歳の竹中さんの実体験にも触れています。

竹中:今、セーラームーンミュージカルの振付を少しやらせてもらえるようになって、19年ぶりに向き合ったんですよ。当時の私は、ちびうさ役だったんですけど、今回担当させてもらったのが、ちびうさ初登場の回。しかも、昔と同じダブルキャストだったんです。で、ふたりのちびうさちゃんを稽古中に見ていて、自分の中で封印していた記憶が、いろいろよみがえってきたんですよね。当時の舞台では、ちびうさをやってないシーンの時はダンサーのお姉さんと一緒にちびっこダンサーみたいな感じで、ぜんぜん違う役をやっていたんです。それは、“森のウサギザル”っていう得体のしれない動物で、茶色の全身タイツにウサギの耳を付けて、セーラー戦士たちをコミカルに襲うんです。その役に、私がすごく力を入れていて。ちびうさよりも一生懸命やっていたら、「夏海はウサギザルをやっている時の方が活き活きしている」って、みんなに言われて。たしかに、活き活きとやっていたことは覚えてたんですよ。ただ、何でそうなったのかっていうのは、この19年間忘れてたんですけど、今回のちびうさちゃんたちを見ていたら、急にそれを思い出して。

――ウサギザルを活き活きと演じていた理由は。

竹中:要はダブルキャストだから、もう一人のちびうさ役の女の子に自分が勝てるのはそこしかなかったというか、その子が力をそんなに入れないだろうっていうところを探した結果、ウサギザルだったんだと思うんですよ。その子は一つ下の年齢だったんですけど、ハーフの子で体格も私よりしっかりしていて、ミュージカルも何回もやってきている子だったので。私は初めての舞台だったから、歌もダンスも演技もすべて私よりうまい。だから、勝てるところなんてひとつもなくて。まあ、勝ちたいというよりは逃げていたんです。でも、私の方が絶対に面白いっていうのはあって(笑)。ちびうさと主役の月野うさぎって、漫才みたいな掛け合いをするんですよ。その掛け合いは私の方が面白いって、どこかで自負してたんだと思うんです。ただ、ダブルキャストだと、お互いの芝居が影響しあうから、結局言い回しや間など似てきてしまって。で、漫才以外で私の面白いところって何で出せるかなって思った時、たぶんウサギザルに行き着いたんですよね。

――自分が輝ける場所を無意識のうちに探していたんでしょうね。

竹中:そうなんですよ! だから、今でもやっぱりそういう少し変わった子というか、なぜか大人にかわいがられない子とかを見ると放っとけないんですよね(笑)。“頑張れ!”って思うし、自分をすごく思い出す。

――例えば、自分の教え子から悩みを相談されたりすることも?

竹中:そうですね。「先生、聞いてください」みたいな時は、グループ全体でちょっと危機感を持っていたりする。でも本当に悩んでる時、“闇堕ち”っていうか、セーラームーンだと亜美ちゃんがダークサイドに落ちる話があるんですけど、そういう感じになっている子は逆にこちらから声をかけないと言い出してこないので、見かねて声をかけたりする場合もあります。

――そういうのってわかるんですか?

竹中:わかります。メンバーから相談されることもあるので。「私たちの意見は耳に入ってこないみたいだから、先生が声かけてあげて」って言われたり。

     
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