ポップとロックを統べる、meg rockの甘く滑らかな声 O-Crestワンマンライブレポ

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 2014年12月28日に渋谷TSUTAYA O-Crestで、年末恒例のmeg rockワンマンライブ『jet setter, jet lag tours ♥ tartans’ turn ep.1 / meet the tartans !』が開催された。

 そのレポートをこれから書くわけですが、今回の原稿は通常とはモードをちょっと変えたいと思います。というその理由はふたつ。内容に確信が持てないところがやや出てくる懸念があること、それから、音楽ジャーナリズムが取材に入っているというのとは違った意味で純粋に観客の立場であるとは言い難いこと。

 その説明に必要でもあるので、本題に入る前に、読者への紹介も兼ねて、meg rockのプロフィールを軽くさらっておきたい。

 デビューは1998年。meg rock=日向めぐみはいくつかの名前を使ってきたのだが、“グミ”名義で、アニメ『カードキャプターさくら』の主題歌「Catch You Catch Me」を歌ったのがキャリアの最初だ。この曲は広瀬香美の作詞作曲で、編曲は広瀬と本間昭光が手掛けていた。c/wの「ヒトリジメ」は彼女自身の作詞作曲である。

 続いて2000年に、本間とのプロジェクト“g.e.m.”を開始し、シングル「c/w you.」とアルバム『g.e.m.』をリリース。

 2002年には、アニメソングで絶大な人気を持つシンガーソングライター岡崎律子とボーカルデュオ“メロキュア”を結成、アニメ主題歌をいくつか担当したあと、2004年3月にフルアルバム『メロディック・ハード・キュア』を発表した。

 メロキュアは、非常に高い音楽性と完成度を持つボーカルユニットとして期待されたのだが、アルバム発表から間もない5月、岡崎が急逝してしまう。

 以降の活動は基本的にはmeg rock名義で、自身の作品発表やライブのかたわら、楽曲提供を中心に幅広く活躍して現在に至る。特に中川翔子とのコラボは数が多い。近年は西尾維新原作のアニメ「〈物語〉シリーズ」テーマソングの作詞が目を引く。

meg rockをめぐる回想

 ここから少し自分語りをすることをお許しいただきたい。

 日向めぐみさんのことは『g.e.m.』から知っていて、というのは、このアルバムのリリースにあたり一筆もらえないかというお願いが彼女から送られてきたからだ。

 当時の僕はまだ文章を書き始めて数年目くらいのペーペーで、無名の輩が書いて意味があるのかと訝りつつも、微力ながらお役に立てればと拙い文を送った(思えば同時期デビューの二人だったわけだ)。だが案の定、微塵も役には立たず、g.e.m.はこのアルバム1枚で立ち消えになってしまったようだった。

 メールのやりとりだけでお会いすることはなかったものの、アーティスト自ら依頼してきたことが印象に残っており、日向めぐみの動向は何となく気に掛かっていた。

「あれからどうなったんだろう……」そう思い始めた頃に届いたのがメロキュアだった。

 1stシングルである『円盤皇女ワるきゅーレ』の主題歌「愛しいかけら」は、音楽が鳴り始めた途端にハッと居住まいを正したほど素晴らしいクオリティで、アルバムも16曲も入っているというのに捨て曲が皆無という驚異的な仕上がりだった。実はg.e.m.にはどこかちぐはぐな印象を持っていたのだが、メロキュアで彼女は、声質から音楽的資質まで、すべてのピースが嵌まった場所を得たのだなと眩しく思った。

 meg rockになってからは、もともとアニメ関係に疎いのに加え、音楽以外に仕事の比重が移ったこともあってあまり追えなくなってしまっていた。ところが、ここ数年アイドルがブームになったせいで音楽関係の仕事が増えてきて、個人的にDancing Dollsという大阪出身のグループに注目していたのだが、昨年5月にリリースされた5枚目のシングル「monochrome」の作詞に「meg rock」とクレジットされているのを見つけてびっくり。

「ええっー、ダンドルの新曲、meg rock作詞なの!?」とツイートしたところ、meg rockさんから「ご無沙汰です!」とリプライ&フォローをもらい、ひょんなことから10数年ぶりの再会を果たしたのだった。

 このライブも彼女が招待してくれたもので、せっかくの機会にただ漫然と見るだけじゃあまりに芸がないだろうとリアルサウンド編集部に申し入れて、こうしてレポートを書く場所を確保してもらった次第である。

 そんなわけで、かなり古くから知っているのにライブは初めてで、古参メグロッカー(meg rockファンのこと)には物足りない部分や、それは違うという箇所が出てくる恐れがあるのですが、気づいた点があったら指摘していたただけると幸いです。

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