サカナクションがファットボーイ・スリム来日公演に出演 小野島大が彼らの「ダンス志向」を読む

 サカナクションが、10月19日に千葉・幕張メッセ国際展示場で行われるファットボーイ・スリムの来日公演に出演し、スティーヴ・アオキなどと共にステージに立つことを明かした。

 同バンドが先日の『SONIC MANIA』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO』で展開したライブパフォーマンスも、ファンの間で話題を広げている。「ミュージック」や「アイデンティティ」「ルーキー」など、一見するとヒット曲をしっかり盛り込んだ作りに見えるが、ほぼ全ての楽曲をクラブ仕様にエディットして演奏。10分を超えるミニマルテクノ調の楽曲も披露するなど、音楽面において新たなモードに向かっていると感じさせた。

 山口一郎(ボーカル)は、テクノやハウス、クラブミュージックのヘビーリスナーでもあり、以前より「野外レイブパーティーがしたい」とも公言。10年代のロックシーンを代表するバンドのフロントマンという立場から、ダンスミュージックの魅力をファンに伝えてきた。

 『TAICOCLUB'14』の“Red Bull Music Academy Session”で山口一郎と対談した、音楽評論家の小野島大氏は彼らについてこう語る。

「これまでも山口一郎は『ダンスミュージックの世界が好きだし、楽しいものだから、J-ROCKやJ-POPを聴いている人たちにその面白さをもっと知ってもらいたい』と何度も口にしています。彼らが同フェスに初出場した際も、クラブミュージック寄りのファンから『何でJ-ROCKのバンドを呼ぶんだ』という声もあったらしいですが、サカナクションはその人たちを音楽で説得していきました。一方で、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO』などの一般的なロックフェスに出るスタンスも変わらずに持っていて、その両方で活躍しながら、ダンスミュージックのファンには「日本のロックだってこんな面白いんだよ」ということを体現し、日本のロックファンには「こういうダンスミュージックがあるんだよ」と提示している。口に出すことは簡単ですが、ここまで実行に移すことは難しいですし、彼らはそういう土壌がない日本において奮闘していると感じています」

 近年のバンドシーンのなかでも、サカナクションのライブ演出や演奏への創意工夫はズバ抜けていると同氏は続けた。

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