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「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 シーズン4」第4回

坂本龍一が『スコラ』で音楽とメディアの関係を講義「音楽に携わる人間は“録音”から逃げられない」

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 世界的音楽家・坂本龍一を講師に迎え、音楽の真実を時に学究的に、時に体感的に伝えようという『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』(NHK Eテレ)のシーズン4・第4回が、2014年1月30日に放送された。

 1月期のテーマは「電子音楽」で、ゲスト講師には前回と同じ、川崎弘二、小沼純一、三輪眞弘に加え、オノ セイゲンも加えた4名が登場。今回のテーマは「音楽とメディア」についてであり、「メディアに乗っかった、あるいは録音をされることを前提に作られた音楽」について語るという趣向だ。

 「(メディア)Media」とは一方から他方へ伝えるためのなかだちとなるもの。かつて音楽を伝えるメディアと言えば楽譜が主流だったが、やがてカセットテープ、CD、ラジオ、テレビの放送、さらにコンピュータなどのメディアが誕生した。そうした電気を使って届く音楽を総じて、同番組では「電子音楽」とした。

 「録音とは何か」ということを、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」なども担当した世界的に有名なレコーディングエンジニアであり、プロデューサーのオノ セイゲンを中心に話し合った。同番組によると、録音するというのは「空気の疎密波を電気に変えてそれが何らかの形で録音されて、また空気の疎密波に戻ること」だという。

 疎密波とは「空気中に伝わる振動のなかで、音が多く詰まっている部分とそうでない部分が混合して伝わる波」のことで、現在の録音とはこの疎密波をマイクを通して電気信号に変換し、録音すること。再生をするときはその逆で、電気信号がメディアを通じて空気の疎密波に変え、我々の耳に届いているのだ。これはカラオケやプレイヤーなど多岐にわたる。

 とある時間に起こった事象が、時間と空間を超えて同じ音で聴くことや、違う場所と違う時間で起こった事象を、まさに今起こっている事象の上に重ね合わせて同時に再生することで、また違ったものが生まれる。坂本は録音が持つ機能を「日本で起こった事象とニューヨークで起こった事象を混ぜ合わせることが出来る」と語った。また、オノは「良い音」と「正確な音」の違いについて、「良い音」というのは「個人の主観であり、『美味しい料理』などと同じ」、「正確な音」というのは「録音をしていた際の音を限りなく完全に再現することにより、録音した時間、空間に疎密波を通して行くことが出来るもの」と語った。

 さらに究極の録音とは「ある時間の三次元上の全ての分子の運動を完全に記憶すること」であるとし、エンジニアは「良い音」と「正確な音」の両方を常に考えなければいけない、とした。「正確な音」は今の技術を持ってすれば、ほぼ再現可能なので、あとはどれだけ「良い音」に近付けるかだという。たとえば、マイクで集音をする際、近付けると狭い範囲の音が撮れるが、遠ざけると広い範囲の音が撮れるうえに、反射音なども録音することができ、スタジオの空気感が再現できる。そのどちらが「良い音」なのかを見極め、「悪い音での正確な録音にならないようにすることが大事」と語った。

     
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