「モー娘。は、過去の自分を成仏させてくれる」“負け美女”犬山紙子が同性ファンの心理を解説

――歴代のメンバーも含めて、特に好きなのは誰ですか?

犬山:最初は市井紗耶香さんです。そのあと時代順に、後藤真希さんで、吉澤ひとみさんですね。今は工藤遥さんです。ボーイッシュだけど実はすごく美少女な子が好みなんです。少女漫画の主人公って感じがするんですよ…。普段お転婆なんだけど時折ハッと見せる女らしさと可憐さなんてまさに。憧れます。それから、道重さゆみさんは本当に好きです。最近抜けてしまった田中れいなさんもずっと好きでした。田中さんと道重さんの2トップが私の中では「神」です。田中さんはずっとセンターを務めてましたが、やっぱり華が凄くある。気付いたら田中さんを目が追いかけてたなんてことがしょっちゅう。ああ、これがセンターの力なんだって思うんです。

――アイドルを好きになる女性に共通する特徴はありますか?

犬山: 今「ハロプロを好き」と言えるのは、一周回った見方をしていると言うか、張り合おうとしないからかもしれません。モー娘。が最初に流行った時期に、私は同世代でしたから、応援しにくかったんですよ。年が近いって共通項があるだけなのに、かわいいのはわかるけど、どこか認めたくないひねくれた根性があって。この年になると、性別ぐらいしかかぶりませんから。純粋にかわいい子を見てかわいい!いいわ~!という目線で見ることができるんですよね。だから、年代は共通要素としてあるかもしれませんね。それから、アイドル好きとサブカル好きは親和性が高いと思います。先ほど言ったような10数年のストーリー性を楽しんだりするのって、本や漫画が好きな文化系の女性が好きな事だったりするので。

――かわいさの感覚としては「妹」を見るような感じでしょうか。

犬山:「自分が十代の頃にあんなにかわいくいたかった」「憧れた人生」を地で行く彼女たちを見ていると、過去の自分を成仏させてくれるところがあるんです。だから、妹というより憧れですね。見ているときの自分は31歳の自分ではなくて、同い年の感覚に戻っているように思います。自分の学生時代に、本当はどこかアイドルの魅力に気付いているのに卑屈になっていた人、「キラキラしていなかった」と後悔があるような人、イケてる女の子達を見下すことでどうにか自分を保っていた人――そういう人たちが大人になって、ようやく素直に「好き!」と言えて、青春時代を取り戻せるような気持ちになるのかもしれません。

――彼氏がアイドルファンだと抵抗がある人もいると思いますが?

犬山:人にもよると思いますが、アイドルファンの男の子は、仕事を頑張る女性を応援してくれる、という面があります。実は私も20代前半までは彼がアイドルファンだと嫉妬しちゃってたんですが、ある程度年齢を重ねるとむしろ居心地がいいですね。だって「人を応援する」ってすごくポジティブな行為だし、なかなかできないことですから。

――今はEDM路線ですが、今後はこういう路線に……という願望はありますか。

犬山:音楽的な路線は、つんく♂さんの思うままに行ってもらいたいけれど、見てみたいなと思うのは、しっとりした大人の曲。今は彼女たちの若くてフレッシュな魅力を出していますが、モーニング娘。は昔から、浮気された女性を歌うような大人な曲も多かったので、その路線も今のメンバーで見てみたいですね。
後編:犬山紙子が現メンバーの魅力を語るに続く
(取材=編集部/構成=小林郁太)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる