死んだら終わりの“デスゲーム”が話題に…… 『SAO』新作ゲームが浮き彫りにした需要とは

『SAO』新作ゲームが浮き彫りにした需要

 いわゆる“フロムゲー”を筆頭として、現代において高難易度ゲームの需要はますます強まっているように見える。最近では『ソードアート・オンライン』(SAO)のアインクラッド編をリブートしたゲーム『Echoes of Aincrad』が、思わぬ形で話題になっていた。アインクラッド編は、1万人のプレイヤーが閉じ込められたVRゲームからの生還を目指す物語だ。

「Echoes of Aincrad」アナウンスメントトレーラー

 『Echoes of Aincrad』は、『ソードアート・オンライン』序盤の世界を、プレイヤーが作るオリジナルアバターで冒険できるというもの。つまり主人公はキリトではなく自分自身であり、世界初のフルダイブ型VRMMORPG「ソードアート・オンライン」に参加する1人のプレイヤーとして、仮想空間でのデスゲームに身を投じていくことになる。

「死んだらセーブデータ消去」『SAO』だから成立する究極の高難易度

 基本的なゲームの設計としては、クエスト形式で物語が進むアクションRPGなのだが、なかでも注目を浴びたのが一度死んだら終わりの「デスゲームモード」だ。

 これはメインストーリークリア後に解放されるコンテンツで、プレイヤーが戦闘で敗北するとセーブデータが消去され、イチからのやり直しを強いられる……という容赦のない仕様となっている。

 原作の『ソードアート・オンライン』を忠実に再現した、同作ならではのモードなのだが、一部のプレイヤーはこれをゲーム内の最高難易度である「ベリーハード」でプレイすることに挑戦しているようだ。ある意味“死にゲー”に近い仕様なので、腕に自信のあるゲーマーにはもってこいのチャレンジとなっている。

 とはいえこの遊び方が耳目を集めたのは、やはりストリーマーやVTuberといったゲーム配信者の存在が大きいだろう。

 昨今は「ドパガキ」という言葉が広まっている通り、インスタントに刺激を得られるコンテンツがゲームに限らず人気を集めがちだ。何度も挫折させられ、面白くなるまでに時間がかかる“死にゲー”は時代に逆行しているようにも思われる。しかしリアクションの取りやすさから配信との相性は良く、『DARK SOULS』や『ELDEN RING』などのフロム・ソフトウェア作品のように、配信界隈で大きなブームを呼ぶことも多い。

配信バズは購入につながるか? 高難易度ゲームが抱える期待と課題

 そしてメーカー側もそんな文化を踏まえて、配信の宣伝効果を狙うという構図ができている。『Echoes of Aincrad』の配信ガイドラインにも、それは表れていた。

 同作では7月9日から7月17日まで配信規制期間が設けられており、第一層攻略までの実況に限定していたのだが、「難易度設定:ベリーハード」+「デスゲームモード」でのプレイにかぎっては第二層突入後を含むすべての区間を実況できるようにしていた。これは十中八九、実況配信の盛り上がりによって発売直後にブーストをかけることが狙いだろう。

 実際のところ「デスゲームモード」×「ベリーハード」で遊んでいる一般ユーザーがどれくらいいるのかは不明だが、少なくとも配信界隈では大きな盛り上がりが生まれていたので、この宣伝戦略は功を奏したと見ていいだろう。

 死にゲーではないが、ネット上の口コミを味方につけた例としては、最近だと『めっちゃカメレオン』が記憶に新しい。同作はたった2人のゲームクリエイターが2カ月で開発したゲームだが、ネット上での“配信バズ”などを追い風に発売1カ月を待たずに1,500万本を突破するほどの大ヒット作となっている。

 他人がプレイしているところを見て自分も挑戦したくなる死にゲーは、配信バズとの相性が抜群のジャンルだ。ただしその反面、配信者たちのリアクションがメインコンテンツになり、一般ユーザーがそれで満足してしまった結果、購入にまで至らないのではないか……とも懸念されている。結局のところ死にゲー要素やネットでのバズはあくまで入口であり、そこで生まれた関心が実際のプレイ体験へとつながり、長期的な支持へ広がっていくかが今後の焦点となるだろう。

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