VTuberが中の人を公開し、メタバースで雇用が誕生……『スノウ・クラッシュ』から30年の現在は“空想”を超えるか?

 「メタバース」ということばをメディアなどが取り上げるとき、「Meta(超える)」+「Universe(宇宙)」という組み合わせの造語である、という解説が添えられることが多い。1月30日放送の『サンデー・ジャポン』でも、同様の説明がされていた。こうした説明が先行することによって、語源が1992年に発表された、ニール・スティーヴンスン著『スノウ・クラッシュ』という小説であることを、そろそろ知らない人が現れても不思議ではないだろう。その『スノウ・クラッシュ』が、1月25日に早川書房より復刊された。原点は必ずしも権威になると限らないが、壮大なメタバースの旅に出る人々にとって、ひとつの道標になるだろう。

 1月30日放送の『サンデー・ジャポン』では、メタバース特集の中で、バーチャル美少女ねむがインタビュー出演した。最初期のVTuberの一人にして、現在はメタバース文化エバンジェリストとして、多方面に活動を展開しているプレイヤーだ。

 そんな彼女が、技術評論社よりメタバース解説書『メタバース進化論』を発刊する。メタバースの最前線で活動する人による、メタバースの考察、実態、データを一挙に届ける、大ボリュームの一冊になるとのことだ。序論と目次がnoteにて公開(※1)されているが、この時点で物量も熱量もすさまじい。『スノウ・クラッシュ』が原点となるならば、本書は現在地を指し示すだろう。『メタバース進化論』は3月19日に発売予定だ。

Gugenka®プロデュース「Gugenkaバーチャルワーク」説明動画

 メタバースではすでに雇用が生まれつつある。その先陣を切っているのが株式会社Gugenkaだ。これまで多くのバーチャルイベントにて、実際にバーチャル空間上で働くスタッフをアルバイト募集するなど、「バーチャルワーク」と呼ばれる働き方を積極的に開拓してきた企業のひとつである。そんな同社は先日、バーチャルワーカーと企業をつなぐサービス「Gugenkaバーチャルワーク」を開始した。実績豊富な同社が、「VRChat」をはじめとしたバーチャル空間上での雇用創出を本格的に開始したのはよい流れだろう。メタバース時代にふさわしい、新たな働き方の拡大に期待したい。

 そうしたなかで、『Oculus Quest』ブランドが『Meta Quest』へ変更されることが正式に発表された。旧フェイスブック社がメタ社へ名を改めた際に告知されていたものの、いざその日が訪れると、Oculusブランドに慣れ親しんできた人からは別れを惜しむ声が聞こえた。メタ社がかかげるメタバースの普及に、『Quest 2』はいまも基幹として欠かせない存在だ。さらに多くの人に『Meta Quest 2』が渡る未来を心待ちにしつつ、その礎を築いた「Oculus」という名が忘れられないように、この記事にも記録として刻んでおこう。

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