『ソードアート・オンライン』が“始まった日”を超えてーー現実の仮想世界はどんな形を描く?

『ソードアート・オンライン』が“始まった日”を超えて

 この記事を書いている2022年11月6日は、『ソードアート・オンライン』において、作中ゲームの『ソードアート・オンライン』がサービスを開始した日である。無論、それは「これはゲームであっても、遊びではない」という言葉に象徴される、仮想空間を舞台にしたデスゲームを描く、シリーズ最初の物語がスタートした日付だ。

 『ソードアート・オンライン』シリーズは10周年を迎える。10年前は夢物語に過ぎなかった仮想世界だが、いまは少しだけ異なる形で芽が出始めている。フルダイブVRはまだ遠いが、VRデバイスは家電量販店に並ぶようになった。アバターの姿で日常的に人と交流する人間が生まれた。『ソードアート・オンライン』に追いつく日も、実は遠くはないのでは――と、メタバースの住人はしばしば口にする。もちろん、デスゲームを抜きに実現してほしい人が大半かもしれないが。

 では”『ソードアート・オンライン』サービスイン”までの一週間でなにがあったか。まず大きいイベントと言えば、『PlayStation VR2』の発売日発表だろう。発売日は2023年2月22日。価格は74,980円(税込)とのことだ。単体販売はもちろん、専用タイトル『Horizon Call of the Mountain』同梱版も発売される。

 ついに発売日と価格が明かされたが、問題は買い手がちゃんとつくかどうかだろう。『PlayStation 5』本体がいまだに手に入らない人がいるのはもちろんだが、そもそもコンシューマーゲームを遊ぶユーザー層が、VRのために7万円を支払うかどうかは怪しいところだ。実機を体験した身としては、ゲーム機とつないで動く手軽さも合わせれば十分に「安い」と言えるのだが……なにか大きな「フック」を作る必要はあるかもしれない。

 2022年現在、VRでアクセスできる仮想世界の代表例は『VRChat』だ。『ソードアート・オンライン』のファンも多い『VRChat』と、にわかに提携を発表したのがVTuber事務所・ホロライブだ。ニューヨークのアニメコンベンション「Anime NYC 2022」にて、コラボスペースが展開されるとのことだ。

 まだ詳細は不明だが、大手メタバースと大手VTuber事務所のコラボは大きな一歩を感じる。もし『VRChat』内でのイベントだったとすれば、非常におもしろいことになるだろう。

 一方のホロライブは、『少年ジャンプ+』にて漫画作品『ホロックスみーてぃんぐ!~holoX MEETing!~』の連載が始まったことも見逃せない。6期生の「秘密結社holoX」がデビューするまでの軌跡が描かれている、という設定の漫画である。

 各種設定やシナリオの組み立て方は、しっかりと「ジャンプに載っても不思議ではない漫画」となっており、既存ファン以外も意識した展開であるように見える。大きく広まり始めたVTuberだが、既存のメジャーコンテンツと比べればまだまだファンの規模は小さい。コミック展開によって、さらなるファン層獲得につながるか、その化学反応には期待したいところだ。

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