『マーベル ウルヴァリン』の“親切すぎるマーカー”が議論に いまだ注目を浴びる“黄色ペイント”問題

現代のゲームはプレイヤーが何をするべきか親切に導くガイド機能が発達しているが、そこで前景化しているのが「どこまで分かりやすさを重視すべきなのか」という問題だ。親切すぎる設計によって、ゲームへの没入感が下がるといった意見も少なくない。最近ではPS5向けゲーム『Marvel's Wolverine(マーベル ウルヴァリン)』のとあるシステムをめぐって、ネット上で議論が起きていた。
探索ヒントを選べるようになった『マーベル ウルヴァリン』
同作は『Marvel's Spider-Man』シリーズを手掛けたインソムニアックゲームズが、Marvel Gamesと共同制作したタイトル。マーベルヒーローのウルヴァリン(ローガン)を主人公としたアクションゲームとなっており、多彩なスキルを活かした戦闘を楽しむことができる。

そこで注目を集めたのは、同作に備わったナビゲーションシステム。収集アイテム“ウイスキーボトル”の隠し場所を示唆するヒントとして、Scent Trails(香りの痕跡)が青い道しるべとして表示されるようになっていたのだ。
ウルヴァリンは鋭い五感を持っているという設定のヒーローなので、これはある意味原作準拠の能力とも言える。しかし一部のユーザーからは、あまりに親切すぎてゲームへの没入感を下げているのではないかと指摘されていた。
この表示はオン・オフを切り替えられない仕様だったが、9月26日に配信されたアップデート「1.001.006」にて、さっそく修正が入ることに。ユーザーの意思によって非表示にできるようになった。ほかにもいくつかのナビゲーション機能について、非表示のオプションが追加されている。(※1)

“黄色のペイント”が映す親切さと没入感の葛藤
同作にかぎらず、昨今のゲームではプレイヤーの探索を補助する機能をめぐって論争が繰り広げられてきた。たとえば有名なのは、「黄色のペイント問題」などと呼ばれるものだ。
これはゲーム内で次のステージに進むための足場などを示すため、オブジェクトに黄色いマーキングを施すという手法。しばしば『アンチャーテッド』シリーズがその端緒と言われるのだが、近年では『バイオハザード RE:4』や『ファイナルファンタジーVII リバース』が大々的に使用したことで話題を呼んだ。
“黄色のペイント”に対する批判でよくあるのは、マーキングの付いた箇所だけ背景から浮いて見えるため、ゲームにのめりこめなくなる……といった意見だ。たしかにキャラクターが生きているはずの世界で、画面の向こう側にいるプレイヤーへの配慮が透けて見えるのは、演出としては不自然かもしれない。
とはいえゲームのグラフィックがリアルになると、あらゆるオブジェクトが背景に溶け込むため、どうしても視覚的な誘導が難しくなるもの。視認性の高いマーキングを導入しようとする開発者の考えは理にかなっている。むしろ開発者の側もある程度のリスクは承知の上で、マーキングを導入しているのではないだろうか。

そうした2つの考え方が存在する以上、マーキングを用意した上でオン・オフをプレイヤーに委ねるというのは、一つの明快な解決手段になり得るだろう。
説明に頼らず遊び方を伝えるゲームデザイン
その一方、プレイヤーを誘導するとしても、世界観や没入感を損なわない工夫が必要だという考え方もある。たとえば教科書的によく持ち出されるのは、『スーパーマリオブラザーズ』の1-1ステージ。冒頭に1体だけ登場するクリボーや、ブロックの配置、キノコが土管に跳ね返されてプレイヤーのところに戻ってくる設計など、プレイしながら自然とどういうゲームか学べる“理想のチュートリアル”として評価されてきた。

現代でもあえて“黄色のペイント”的な手法を使わず、より自然な形でプレイヤーを誘導しようとするゲーム開発者は少なくない。より自然で親切なデザインを模索する流れは、今後も続いていくはずだ。
ゲームの世界観と遊びやすさをいかにして両立するのか。「親切か不自然か」の二択を超えたところにこそ、現代のゲーム制作における課題が存在するのかもしれない。
参照
※1 https://support.insomniac.games/hc/en-us/articles/55789620165011-Update-1-001-006























