“ゼロ距離”でBALLISTIK BOYZと円陣を組む 次世代シアター「Immersive Zero」先行試写会レポート

『BALLISTIK BOYZ SHOOTING STARS』レポ

 STYLY、ローソン・ユナイテッドシネマ、KDDIの3社が共同で展開する次世代シアター「Immersive Zero」の上映が、2026年9月25日から始まる。第一弾となるのは、LDH JAPAN所属の7人組ダンス&ボーカルグループ・BALLISTIK BOYZ主演のVR体験コンテンツ『BALLISTIK BOYZ SHOOTING STARS』だ。

 これに先駆けて、8月3日にユナイテッド・シネマ豊洲で発表会と先行試写会が開催された。招かれたのは報道関係者と、抽選で当選したファンクラブ会員。座席にはあらかめ『PICO 4 Ultra Enterprise』が備え付けられており、観客はゴーグルを装着して本編を体験した。

映画館は「見る場所」から「参加する場所」へ

 冒頭、登壇したローソン・ユナイテッドシネマ 理事執行役員の川辺淳雄氏は、同社が全国40箇所で映画館を運営していることに触れつつ、IMAX、4DX、音響体感シート「FLEXSOUND」の日本初の全席導入といったこれまでの取り組みを紹介。「五感で感じる没入体験の創造を劇場でさらに増やしていく方針であり、今回の最先端XR技術との融合は、その方針を具現化する最高の挑戦であると確信しております」と話した。

 興味深いのは、映画館が活用されている点だ。XRを活用した興行を定期的に行うことで、劇場の稼働曜日や時間帯の有効活用を推進するという。第一弾は音楽コンテンツで、今後はスポーツやアスリート、アニメなど、ファンの熱量が高い領域へ広げていく方針も明かした。映画館を「映画を鑑賞する場所からファンが能動的に没入できるエンタメ空間へ」と進化させる、というわけだ。

 続いてKDDI サービス開発本部 副本部長の増田達哉氏は、この体験を社内で「ゼロる」と呼んでいると交えつつ、技術面のサポートを説明。ひとつはKDDI総合研究所による次世代3D音響技術で、映像を3D解析して演者の位置や顔の向きに合わせ、声の遠近による減衰までを再現する。「“推し”とまさに同じ空間にいる感覚をより一層高めていくための技術」であり、早ければ第一弾の興行から導入を視野に入れているという。もうひとつはAIを活用した遠隔監視運用システムで、こちらは半年以内の実装を目指して開発・実証中とのことだ。

 本作の企画制作にあたったSTYLY 執行役員CMOの渡邊遼平氏は、見どころとして「撮影現場に潜入するストーリー体験」「至近距離のパフォーマンスを撮影」「選んだメンバーと向き合う演出」の3点を挙げた。事業ロードマップについては、現在が複数公演を通じて事業性を検証する「フェーズ1」であると説明。将来的には全国展開、さらにはグローバル展開を見据えており、映画館以外の商業施設や、飛行機や電車といった移動体への展開にも言及した。

 STYLYとKDDIが旗振り役となる業界団体「LBEC(Location-Based Experience Consortium)」発足の発表会でも説明された、XR技術などを活用した「その場所でしかできない体験(LBE)」の典型例といえるだろう。たしかに、映画館を「大音量を流せる音響設備がととのった快適なシート付きの施設」と捉えると、LBEとの相性は抜群だ。

円陣に加わるリアルすぎる体験

映画館用のポップコーントレーにセットされた『PICO 4 Ultra Enterprise』
映画館用のポップコーントレーにセットされた『PICO 4 Ultra Enterprise』

 この後はお待ちかねのコンテンツ上映だ。

 各席に備え付けられているVRゴーグルを装着すると、そこはBALLISTIK BOYZのMV撮影スタジオだ。体験者はプロデューサーから撮影を依頼された“メイキングカメラマン”として、この現場に入ることになる。

 印象に残ったのは、撮影前の挨拶パートだ。メンバーがひとりずつ、かなり近い距離で、顔を近づけてまっすぐに目を見て挨拶をしてくる。正直に言えば、男性の筆者ですら少しドキッとする体験だった。このときの推しを眼の前にしたファンの心境は推して知るべし。とっさにファンの様子を確認したところ、自分の推しの順番であろうタイミングで声を漏らす人が多くいた。

 挨拶が終わると、リーダーから「せっかくだから」と円陣に誘われる。指をピストルのような形につくって輪の中心へ構え、カウントに合わせて全員で一斉にサインを決める。ここで効いてくるのが、デバイスの機能によって自分の手のシルエットが映像内に表示される仕組みだ。輪の中に自分の手が入っている。それだけのことなのだが、没入感がぐっと増した。

 実際、ここでもファンの様子を確認したところ、多くの人が指でサインを作り、円陣に参加していた。ここは制作側としても狙っていたところだったようで、その様子を見たスタッフが思わずガッツポーズをしていた。

 円陣を終え、2曲の撮影に入る。MVシーンは自分の目がそのままカメラのレンズになったような感覚で、“ゼロ距離”ならではの迫力がある。一方で、MV中のカメラが定点、あるいはゆっくり動く程度に留まるため、円陣までのリアリティと比べると、MV撮影パートはやや“生感”に欠ける印象も受けた。もっともVR酔いを考えるとあまり激しく動かせないのも理解できる。

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