停滞K-POPグループ→“カワイイ”日本式アイドルへ 『Re:Idol』が描くリアルな葛藤と成長の物語

『Re:Idol』が描く葛藤と成長

 K-POPガールズグループ・LIGHTSUMが、CUTIE STREETのような日本式の“カワイイ”アイドルに生まれ変わる様子を追いかけたドキュメンタリー番組『Re:Idol』(ABEMA)が面白い。アイドルファン――とくに、『Nizi Project』や『THE FIRST』『timelesz project』などのオーディション番組が好きな人には、ぜひチェックしてほしい番組だ。もちろん、『Re:Idol』はオーディション番組ではない。誰かが脱落することも、デビューの座をめぐって競い合うこともない。それでも、見ていると、オーディション番組に夢中になっている時と似た感覚を覚える。

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「日本進出」を決断したK-POPグループの行方は?

 2021年に韓国デビューしたLIGHTSUMは、高いダンススキルと安定したボーカルスキルが持ち味の6人組グループだ。しかし、ここ2年ほどはグループとして目立った活動ができず、事実上の活動休止状態が続いていた。実力がないわけじゃない。それでも、次々と新しいグループが誕生し、トレンドが目まぐるしく移り変わるK-POPの世界では、デビューできたからといって活躍し続けられるとは限らない。デビュー5年目を迎えたLIGHTSUMもまた、この先どうするのか?という岐路に立たされている。

『Re:Idol』

 そんな彼女たちにチョン副社長が提案したのが、日本市場への進出だった。しかも、ただ日本で活動するのではない 。韓国で大バズりしているCUTIE STREETをモチーフに、“カワイイ”を全面に押し出した日本式アイドルへと生まれ変わり、再始動してみるのはどうか――という大胆すぎるプラン。K-POPアイドルとして活動してきたLIGHTSUMにとって、これは単なる海外進出以上の意味を持つ。振り付けから衣装からメイクまで。LIGHTSUMとCUTIE STREETでは、アイドルとしての見せ方がまるで違うからだ。

 当然のことながら、メンバーたちは「ほぼ10年間K-POPだけを勉強してきたのに、急に日本のアイドルみたいにと言われても」「韓国でうまくいかないから日本に来たのかな?と思われるんじゃ……」と戸惑う。とりわけ不安の原因となっているのが、“カワイイ”というコンセプトだ。LIGHTSUMはデビュー当初こそ可愛らしさを全面に押し出していたものの、その後はそこから脱却するためにかっこいいを極めてきた。「可愛さを捨てようと努力してきたのに、また可愛いをやるのはしんどい」と思うのも無理はない。

 だが、この戸惑いこそが『Re:Idol』の面白さでもある。オーディション番組でも、参加者がこれまでに経験したことがないジャンルや、自分には合わないと思っていたコンセプトを課題曲として与えられることがある。最初は「できない」「自分らしくない」と苦戦していた参加者たちが、レッスンを重ねるうちに意外な才能を開花させる。そんな瞬間に心を奪われた経験があるアイドルファンは少なくないだろう。

 『Re:Idol』にも、それと似たワクワクがある。ただし、挑戦するのはデビュー前の練習生ではない。すでに5年のキャリアを持ち、歌もダンスも高いレベルでこなすことができる現役のK-POPアイドルだ。完成度を高めていくのではなく、一度出来上がっていたものを崩し、新たなアイドル像を作り上げていく。何者でもない練習生が何者かになっていくオーディション番組とは、いわば逆方向の成長物語。アイドルが誕生する瞬間ではなく、アイドルが生まれ変わる瞬間を目撃する――これこそが、本番組の醍醐味なのだ。

 6人の迷いを少しだけ前に進めたのが、事務所の先輩であるソヒョン(元4Minute)だった。4Minuteは、第2世代ガールズグループのなかでは真っ先に日本デビューしたものの、思うように人気が伸びなかった時期を経験している。そんな時、事務所からあるCMの仕事を提案されたが、コンセプトが気に入らず、「やりたくない」と断ってしまったという。

 ところが、そのCMをほかのガールズグループが担当しているのを目にしたとき、ソヒョンの胸に「なんで、できないって言っちゃったんだろう」という後悔が生まれた。だからこそ、「やるかやらないかで悩んだとき、やる方向でどうすればうまくいくか考えてみるといい」とアドバイスを送ったのだろう。

「でも知ってる? 最悪の事態なんて、起こらないんです。本当に起こらないんですよ」

 その言葉に背中を押されるように、6人は新たなコンセプトに挑戦することを決意した。果たして、K-POP仕込みの彼女たちが見せる“カワイイ”はどんなものになるのか。第二の成長物語を目撃できる『Re:Idol』は、オーディション番組好きな人をはじめ、すべてのアイドルファンに見てほしい番組だ。

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