カプセルトイからLEDまで 可愛すぎる“異素材”衣装が勢揃い 「なんでも服にしてみた展」レポート

「なんでも服にしてみた展」レポート

 2026年8月5日から11日にかけて、『8/CUBE1,2,3』にて『なんでも服にしてみた展』が開催されている。

 本展示会主宰の塩川夏子さんは、衣装デザイナーでありながら、「なんでも服にする人」として活動しているクリエイターだ。「衣装デザイナーの本気のお遊び」をコンセプトに作り出す前衛的な作品は、SNSを中心に大きな話題になってきた。

 今回の展示では、SNSで注目を集めた代表作から新作までを展示している。本記事では、特に印象的だった作品を塩川さんのコメントとともに紹介していこう。

異素材作品から垣間見るものづくりの情熱

 会場に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが、本展示の目玉でもある「カプセルトイ」の衣装だ。色とりどりなカプセルが幾重にも重なり、まるでドレスのフリルのように広がる姿は圧巻。塩川さんによると、「一番作るのに時間がかかった作品」だという。

 その理由について、塩川さんは「ウエストを絞るために、カプセルトイを半分にカットして取り付けています。でも半分に切ると上下のパーツがくっつかなくなってしまうので、それを合わせるのに苦労しました」と説明した。

 さらに、「カプセルトイは、ハサミで切れるものとヒートカッターを使わないと切れないものがあって、素材によって加工方法も違いました」と振り返った。

 スカート部分は、透け感を出しつつ軽量化するために別素材を採用。「畳めないので、持ち運びも大変なんです」と塩川さんは笑って明かしてくれた。華やかな見た目の裏には、異素材ならではの試行錯誤があるようだ。

 続いて紹介されたのは、「鏡」の衣装。塩川さんが最初に制作した作品であり、TikTokでは665万回再生を記録した代表作でもある。

 鏡のパーツについて、塩川さんは「100円ショップのものを使ったり、自分で割って作ったりしました」と話した。一方で、安全面にも配慮しており、「脇の部分などは危ないので、途中から素材を切り替えています」と説明。下半身には鏡ではなく、鏡のような質感の生地を使用することで、デザイン性と着やすさを両立させていた。

 企業とのコラボ作品「カインズ」の衣装にも、素材への工夫が詰まっている。制作に使用されている『マイクロファイバークロス』は、カインズの人気の商品だ。

 さらに、ペット用ブランケットの表と裏の生地を分解して使い、素材を活かした設計に。ひと際目立つパンツスタイルで制作したのは「男女どちらも着られるように」という思いが込められているという。

 普段SNSばかりを見ている筆者に強烈なインパクトを与えたのが、この「SNS」の衣装。

 Xのタイムラインをモチーフにしたデザインが印象的な本作。塩川さんは「プリントされた画面はすべて架空で作成しました」と、制作の裏側を明かした。さらに、「作っている時間より、パソコンに向かって画面を作っている時間の方が長かったです」と振り返り、衣装だけでなく細部まで作り込むこだわりを語った。

 会場には「アポロ」「果汁グミ」「ミルクチョコレート」をモチーフにした衣装も展示されている。塩川さんは「ただ素材を使うのではなく、その素材らしさを表現しています」と語り、「果汁グミはレトロな雰囲気、アポロはフリフリ、ミルクチョコレートはクラシックなイメージで制作しました」と、それぞれの世界観を表現したという。

 塩川さんの作品は、異素材をベースに作り上げる技術力だけではなく、“人が実際に着ても大丈夫な作り”にすることが大前提となっている。SNSでは見た目のインパクトに目を奪われるが、実物を見ると、リボンやつなぎ目など細部まで丁寧に作り込まれていることがわかる。作品の随所から、着る人への思いやりと、素材や商品への愛情が感じられる展示だった。

 画面越しでは気づけない細部までじっくり味わえるのも、本展示ならではの醍醐味。気になった人はぜひ会場で、衣装デザイナーの“本気のお遊び”を体感してみてほしい。

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