東出昌大、“同士”瀬戸大也に「叩かれた?」の直球質問 那須川天心とは噛み合わずの『野営デトックス』3話

この番組の初回を撮り終えたとき、東出昌大は語っていた。
「雨が降るかもしれんし、“獣を獲る”って言っても獲れんかもしれんし、何があるかわからないから、(番組としてどうなるのか)正直わかんない。でも、それでいいのかなって思う。そのときどきに無理しないことが、誰かの本音を聞ける機会になるのかなって」
プロボクサー・那須川天心と競泳選手・瀬戸大也を迎えることとなった『東出昌大の野営デトックス』。5月18日深夜にABCテレビで放送、ABEMAで配信された#3は、その予言通り、土砂降りの雨となった。
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「生活って暇つぶし」東出昌大の言葉を受けて、那須川天心が無言に

「雨だともうどうしようもないもんなぁ」
ゲストを待つ東出はいつものようにタバコをくゆらせながら、空を見上げる。今回の野営は釣り野営なのだという。雨で水量が増えれば釣果は期待できるが、それも、雨が止んだらの話だ。このロケがドキュメンタリー番組として成立するのかどうか、それすらわからないままカメラが回り始めている。
自家製の梅干しを刻んで山菜のコゴミと一緒に炒め、おにぎりの具をこしらえている東出の小屋に先に訪れたのは、那須川だった。
「雨じゃないとできないこともあるっすよね?」
到着して早々、そう東出に尋ねた那須川。この男は、天真爛漫だ。モットーは「関係ないっしょ、気持ちっしょ」、それを略した『SCALP D presents 那須川天心のかんきもラジオ』(TBSラジオ)という冠番組も持っている。キックボクシングで42戦42勝のパーフェクトレコードを引っ提げてプロボクシングに転向した“神童”は昨年11月、世界タイトルマッチでキャリア初の敗北を経験している。試合直後のリング、記者会見では気丈に振る舞っていた那須川だったが、翌日の『かんきもラジオ』では悔し涙に声を震わせていた。
今年4月、世界的なレジェンドボクサーであるファン・フランシスコ・エストラーダを完封して再起を果たしたのは、まさしく那須川が初の敗北という「雨」の中でしかできないことを積み重ねた結果でもあったはずだ。
そんな那須川の哲学が込められた「雨じゃないとできないこともあるっすよね?」という質問に、東出はあっさりと答える。
「雨だと“詰み”です、もうできることがない。止むまでコーヒー飲んで駄弁るしかない」
苦笑いを浮かべながらも、納得がいかない那須川は「止むんですか?」と東出に迫る。
「わかんないけど、もし止まなかったらここで食事ですね」
那須川には返す言葉がない。自分の力ですべてを変えてきた格闘家と、人の力の及ばない場所で生きる俳優との噛み合わない会話。この番組の真骨頂である。

そうこうしているうちに瀬戸大也が姿を現す。世界水泳の個人メドレーで4つの金メダルを獲得している瀬戸。バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形、4つの泳法を順に泳いで競うメドレー競技は“水泳の王様”と呼ばれ、そのチャンピオンは水泳界でもっともリスペクトを集める存在だ。つまり端的に言って、瀬戸は4度「世界でいちばん水泳がうまい人」になったことがある。
瀬戸と那須川の共通点は、競技で世界一になったこと。瀬戸と東出の共通点は、ともに不倫スキャンダルで立場を追われた“同士”であることである。
「東出さんYouTubeやってたじゃないですか、なんでやめたんですか?」
瀬戸が東出に尋ねる。互いにその共通点を認識しているからか、初対面とは思えない気安い口調である。
チャンネル登録者数120万人の東出のYouTubeは昨年11月に公開された「へびの捌き方」という動画を最後に、更新を停止している。その理由を、東出は「生活が生活じゃなくなった」と明かす。
「たぶん生活って暇つぶしで、お金があったらそのお金で暇つぶすわけで。暇つぶせないくらい忙しくなっちゃうと意味ないから、生きてる実感失うから」
同調する瀬戸と、無言の那須川。
「じゃあ暇なことしに行きますか。野営はめちゃくちゃ暇だからな」
雨が少し止んだ。3人は、野営地へ向かう。

「なぜ厳しいトレーニングを続けているのか」「その苦しさに慣れるものなのか」――東出の吐き出す疑問は、いつだって少年のように純粋で根本的だ。
「もちろんキツいですけど、それすらも楽しめてる自分がいる。やりたくてやってるんで」と那須川が答える。
「スポーツやってみたくて。実家の近くにスイミングスクールあったんで行って、そのまんま続いたって感じですね」とは瀬戸の答えだ。
競技者にとってトレーニングは生活そのもの。決してそれは、暇つぶしと呼べるものではないはずだ。若い那須川が、東出の話に無言だった理由がよくわかる場面だった。
瀬戸大也、「お酒に逃げたり」「誰とも会いたくない」とスキャンダル当時を回顧

増水した急流を、腕を組んで3人は渡る。重いリュックを背負っている。一度流されてしまえば、「世界でいちばん水泳がうまい」瀬戸ですらひとたまりもないだろう。やがて野営地に到着し、東出が2人に釣竿を配って、渓流釣りが始まる。
「自分の選択で釣って、それを殺して食べるっていう。食べることは殺すことなので、それをセットでやったほうが食べ物はおいしいんですよね」
そう語る東出は、釣り方と、釣った岩魚の殺し方を2人にレクチャーする。20センチ程度ならデコピン、30センチを超えたら木の棒でブッ叩く。東出が魚の命を奪う様子を、2人は真剣に見入っている。

実際に釣りが始まると、次々に那須川が釣り上げ、それを殺して自然の有難みを実感する一方で、瀬戸は1匹たりとも釣れず、斜面をずり落ちたりしている。
かつては恵まれた環境でトレーニングをしていた瀬戸だったが、今は市民プールを泳いでいるのだという。
「今までがすごくありがたかったんだなっていうのは、2019年の自分に今の自分からアドバイスしたいくらいです」

2019年、瀬戸は世界水泳で200メートルと400メートルの個人メドレーに出場し、金メダルを獲得。翌年の東京五輪代表が内定していた。しかし東京五輪はコロナ禍で延期となる。
「そこで自分の気持ちがついていかなくて、また1年間このコンディションをキープしていくキツさとかも……」
選手としてのピークで臨むはずだった東京五輪の延期が「受け入れられなかった」と瀬戸は話す。瀬戸のスキャンダルが報じられたのは、まさにその東京五輪が行われるはずだった2020年の秋だった。
「大也くんは叩かれたの? 私生活でやらかすと競技に影響出る?」
東出にしか聞けない直球質問であり、瀬戸としても東出にしか答えたくない質問だろう。
「露骨に(出る)」「結構お酒に逃げたりとか……。なんか、誰とも会いたくない……」
夜の帳に、本音が漂い始めたところで、次回へ。予告では、どこかで誰かの自動車が脱輪していた。「脱輪しないとできないこともあるっすよね?」那須川なら、そう言いそうな風景だった。

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