『無限大ANANTA』試遊レポート:都市を駆ける爽快感と生活感が共存する新作オープンワールドRPG

『無限大ANANTA』 試遊レポート

 2025年9月26日~9月28日まで、計4日間にわたって開催された『東京ゲームショウ2025』(TGS2025)。同イベントではジャンルを問わず、さまざまな新作ゲームの試遊コーナーが設けられている。その中でも、ビジネスデー初日から来場者の熱視線を浴びていたのが、基本プレイ無料(予定)の新作オープンワールドRPG『無限大ANANTA』だ。

 本稿では、約30分の試遊を通して分かった『無限大ANANTA』のプレイフィールをはじめ、本作ならではの魅力をレポート形式でお届けする。

映画さながらのストーリー導入 カーチェイスや派手なアクションまで網羅

 かつて「Project Mugen」として大々的に発表され、国内外のユーザーから注目を集めていた『無限大ANANTA』。ついに正式タイトル名を伴って国内最大級のゲームイベントである『TGS』に登場したわけだが、写真をご覧いただけば分かる通り、ブース前にはビジネスデー1日目から常に長蛇の列ができていた。「何だか派手で面白そう」と来場者を誘い込むブースの活気もそうだが、「キャラクターガチャを廃したオープンワールドRPG」という新しい挑戦に期待を寄せるユーザーが多かったのも確かだろう。

 『TGS2025』の試遊版では、ふたつ2つのモードを選択することができた。筆者が最初に触れたのは、主人公「キャプテン」を操作して追手の襲撃を避ける「ストーリー」モード。冒頭からいきなりのカーチェイスに巻き込まれる展開で、スピーディーな演出とQTE(クイックタイムイベント)の連続がプレイヤーを一気に『無限大ANANTA』の世界へ引き込む。成り行きのままに主人公に共闘を持ちかける美女「ライカ」の登場シーンは映画さながらで、短時間ながらもキャラクターの存在感が充分に際立っていた。

 戦闘システムはアクション性が高く、それでいて複雑な操作はそこまで要求されない親切設計。だからといって単純なわけではなく、ジャストガードや回避のタイミングを見極めながら戦うスリリングな仕様だ。操作キャラは通常攻撃に加え、周囲のオブジェクトを持ち上げて飛ばす念力を使うこともでき、直感的な操作感でありながらも奥深さを感じさせる。敵の攻撃を弾き返すパリィは爽快で、短時間の試遊ながらも、「もっと遊びたい」と思わせる力が確かにあった。

 また、操作キャラによっては通常攻撃に加えて特殊能力を扱うことも可能。キャプテンの場合は腕から触手を伸ばし、周囲の敵を引っ張りながら戦える。加えて攻撃だけでなく、自らの足でフィールドを移動する際も、触手を使ったワイヤーアクションで市街地を自由に飛び回ることだってできる。オープンワールドを標榜する基本プレイ無料ゲームは数あれど、都市部を好きなように移動できる『無限大ANANTA』の自由度は、頭一つ抜けていると言ってもいいだろう。

「暮らしを楽しむこと」を重視した世界観

 ストーリーモードを一通り終えた後、フィールドをくまなく移動可能な「探索」モードをプレイ。本モードではその名の通り、作中の舞台として描かれる広大な「新啓市」の街並みを、制限時間が終了するまで自由に歩き回れる。日本的な看板が立ち並ぶ商店街、雑然とした裏路地、屋台の並ぶ広場。街にはNPCが自然に生活しており、ただ歩くだけでも「この世界に暮らす感覚」を強く味わうことができた。

 ここで特筆したいのは「キャラクター切り替え」の演出だ。別キャラクターへ切り替えると、そのキャラが街のどこかで“日常生活を送っている姿”からシームレスに操作が始まる。配達の途中だったり、休憩していたりと、その場で暮らしている描写が細やかに用意されており、単なる操作キャラのひとりではなく、“そこに生きる人物”としてのリアリティが垣間見えた。

 また、本作ではプレイヤーの好きなタイミングで乗り物を呼び出すことができる。キャプテンと操作キャラのひとりで巡察官の女性「リキ」は乗用車、ウサ耳でボクっ娘な「タフィー」は小型バイク……と、移動手段も多種多様事欠かない。特に筆者が気に入ったのはキャプテンで、ワイヤーアクションや壁走りを駆使しつつ、見晴らしのい良い場所をひたすら探し回った結果、試遊時間が残り5分にまで迫っていた。このように、フィールドをあてもなく歩き回るだけでも楽しみ方が見いだせるのは、本作の強みと言ってよいだろう。

 都市生活を彩る要素として、ゲーム内SNSやスマホアプリ、衣装のカスタマイズやショップでの買い物など、日常感を補強するシステムが組み込まれているのも大きい。戦闘や探索と同じくらい、“暮らしを楽しむ”ことに比重が置かれているのは、従来のオープンワールド作品との差別化ポイントだ。

 街中で突発的に発生する事件や依頼など、ランダム性のあるイベントもいくつか見受けられた。街を歩いているだけで新しい体験が生まれる仕組みは、プレイヤーの没入感を高めるうえでプラスに作用するはずだ。そして何より、「キャラクターガチャを廃止」した点も見逃せない。課金要素を削ぎ落とすことで、プレイヤーは純粋にキャラクターや都市体験に集中できるようになるだろう。

都市部のライフスタイルをアニメ風オープンワールドに落とし込む斬新な作風

 『無限大ANANTA』の試遊は短時間ながらも、「都市に暮らし、仲間と日常を共有する感覚」を前面に押し出す新しいオープンワールド像を強く感じさせた。アニメ風の世界観に基づき、戦うことと暮らすことを等価に描こうとする設計思想は、従来のゲームではあまり見られなかった挑戦であり、カルチャー的にも大きな意味を持つだろう。

 今回は30分間の試遊だったが、「都市に暮らし、仲間と日常を共有する感覚」を前面に押し出す新しいオープンワールド像を強く感じさせられた。戦うことと暮らすことを等価に描こうとする設計思想は、従来のゲームにはなかった挑戦であり、カルチャー的にも大きな意味を持つのではないだろうか。

 都市型オープンワールドRPG『無限大ANANTA』は、マルチプラットフォーム向けに現在開発中だ。

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