服を着たまま、たった“コップ1杯”の水で頭が洗える? 牛乳石鹸から生まれた家電『SUSUGU(ススグ)』レビュー

牛乳石鹸の家電『SUSUGU(ススグ)』レビュー

 お風呂に入るという行為は、毎日の習慣でありながら、意外と工程が多い。なかでも洗髪は、毛量が多い人や髪の長い人にとっては時間も体力も取られる。もちろん、洗い終えたあとの爽快感はあるが、作業量に見合っているかといえば疑問だと筆者は感じている。

 それだけではなく、いろんな理由から1日1回髪を洗うことがとても大変で、難しい状況にある人も世のなかには大勢いる。

 今回は、そんな状況にいる人たちの救世主になる可能性を秘めた家電『SUSUGU』を紹介していく。

 『SUSUGU』は、『カウブランド赤箱』でおなじみの牛乳石鹸共進社株式会社が初めて開発した家電製品である。今回は筆者が実際に使用して、使い心地についてレビューをしていく。

服を着たまま髪を洗う時代へ

 レビューしたのは『ススグ ミストシャンプー』と、『ススグ ミストブラシ』(セットで税込23,870円)だ。使うのはこの2つと、水だけ。しかも“服を着たまま洗髪ができる”というので驚きだ。

※デモ機のため、背面下部に貼られているのはナンバーシール

 ミストブラシは「USB Type-C」の充電式となっており、1〜2時間充電すると使用可能となる。

 まずはこちらのミストシャンプーを、頭皮に吹きかけて揉み込んでいく。ミストシャンプーは「シトラスサボン」の香りとなっており、優しい爽やかな匂いだ。あまり癖がなく、老若男女に受け入れられやすい香りのように感じる。

 このミストシャンプーを吹きかけていくのだが、髪ではなく頭皮にしっかりと吹きかけることを意識すると、より爽快感を感じることができる。髪が長い人は、ある程度ブロック分けするとより頭皮に吹きかけやすいだろう。筆者の髪の長さでも、ブロック分けをした方がかけやすかった。

 全体にミストスプレーを吹きかけたら、指の腹でしっかり揉み込む。こうすることで、ミストシャンプーと毛穴の皮脂が馴染み、より皮脂が落ちやすくなるのだ。

 次は、いよいよミストブラシの出番である。根元のキャップを外し、水を入れていく。

 入れる水の量なのだが、上の線が髪の長い人、下の線が髪の短い人の目安となっている。筆者が使用した所感だと、ボブくらいの長さがあるのであれば、水は上の線まで入れて使った方が満足感があるように感じた。

 筆者が驚いたのは、使う水の量の少なさだ。キャップの上の線まで入れた水を紙コップに移してみたところ、半分より少し上ほどの量しかなかったのだ。水の量は約90ml。普段髪を洗う際に使っている水の量を考えると、本当にこれで洗髪が可能なのか疑ってしまうほどだ。

 この使う水の少なさこそ、今回『SUSUGU』が誕生したきっかけにもつながってくる。『SUSUGU』開発の背景について、担当の大形広太郎氏はこう語った。

「今回『SUSUGU』の開発に至ったのは、震災経験者の方へのヒアリングがきっかけでした。水が限られている被災現場では、洗髪用の水を確保することが難しいんです。身体は拭けばすっきりしますが、頭は痒みも出てくるし、どうにもなりません。当社は石鹸を主に取り扱っていますが、石鹸を使うにしてもやはり水は必要になります。そうした現場の声を聞いて、当社ではまだ届けることできていない清潔を届けるべく、『SUSUGU』の開発をスタートしました」

 普段の生活のなかでは気づきにくいが、水が足りないせいで頭が洗えない日々が続く、というのはかなりストレスなのではないだろうか。ただ、この量の水でどこまで爽快感を感じることができるのだろうか。さて、実際に試してみたいと思う。

 ミストブラシの電源を入れて、髪をとかしていく。この際もミストシャンプー同様、頭皮にブラシを当てることを意識すると、上手くいくようだ。正直、毛先が濡れていなくても頭皮の皮脂がしっかりと落とせたら、シャワーを浴びたときと同様の爽快感を感じられる。

 実際に使ってみたところ、ブラシを頭皮に当てながらジクザクと動かして下に降ろしていくとかなり気持ちいい。スカルプブラシを使うように、頭皮に押し当てるような感じだ。持ち手にはグリップがついているので、落としにくいのも魅力だ。

 ブラシの固さはやや固めで、力を入れて押すと少し曲がる程度だ。筆者にとってはちょうどよい固さだったが、近年は固めのスカルプブラシが人気を集めている。もし今後、いろんな固さのブラシに付け替えられるようになれば、より多くの人が自分に合った心地よさを感じられるかもしれない。

 水は、ミストブラシの中心にある透明の部分から出るようになっている。ミストブラシを使用するときは、肩にタオルをかける程度で濡れるのを防ぐことができる。このブラシのこだわりについて、大形氏はこう語った。

「当社は洗浄料メーカーで、今回が初めての家電開発になります。多くのことに苦労したのですが、そのなかでもとくに苦労したのは、水を使うのに周囲を濡らさないということです。この矛盾をどう実現するかが難しかったですね。商品名にもなっておりますが、水を使ってすすぐ体感こそが、洗髪の心地よさだと考えてます。そのために、少量の水を効率よく頭皮に届けるノズルの開発、少量の水で洗い流せるシャンプーの開発など、“服を着たまま”使用できる家電を実現するため、そういった点は苦労しました」

『SUSUGU』のUは「コップ1杯の水」という意味が込められたデザインになっている

 実際ミストブラシを使ってみたところ、毛先までびしょびしょにならず、頭皮をしっかり洗えるだけの水の量だったと感じた。髪の毛全体はしっとりと濡れて、軽くタオルで拭けば滴ることもない濡れ具合といった感じだ。

 大形氏は、さらにブラシ部分の開発についてこう語る。「どうやったら頭皮に効率よく水を届けられるか、ブラシを開発するにあたって、3Dプリンターで試作品を作ったり、 ノズルメーカーからお話を聞いたりなどしました。探索を続けるなかで、私たちの求める“少ない水で、近くのものを効率よく濡らすためのノズル”は、実は世のなかではメジャーでないことがわかりました。そういったことを知ることさえ、1年近くかかりましたね」

 たしかに、たとえば世に出回っているシャワーヘッドはあくまでも日常使いにフォーカスしたものが多い。髪にダメージを与えない、肌あたりがいい、軽い、毛穴の汚れを落とすなど、洗浄力や美容の側面に特化したものが人気を集めている。できるだけ少量の水でどこまで爽快感を感じられるかという観点で開発しているブランドは、未だかつていなかったのではないだろうか。

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