NORISTRYが語る、歌い手の未来を広げるための“挑戦” オーストラリア最大規模のアニメイベント『SMASH!』に出演して

NORISTRY、歌い手の未来のための挑戦

 7月12日と13日にオーストラリア・シドニーで行われた、国内最大規模のアニメ・マンガイベント『SMASH!』へ、歌い手・NORISTRYが出演した。

 ポップカルチャーファンによるポップカルチャーファンのための非営利団体として創設された「SMASH Inc」運営のもと、2007年にスタートした歴史を持つ同イベント。今回は国内最大規模のカルチャーイベント『ニコニコ超会議』を主催する株式会社ドワンゴと、シンガポールを拠点に東南アジア最大級のポップカルチャーイベント『アニメ・フェスティバル・アジア』 (通称AFA)を主催するSOZO Pte Ltdが協力する国際的なクリエイター連携プログラム「Asia Creators Cross」の一環として、日本人アーティストが出演。そのなかの一人がNORISTRYだ。

 今回はNORISTRYにインタビューを行い、海外での「歌い手文化」の浸透や、現在に至るまでのシーンの変遷、職業としての「歌い手」の未来について話を聞いた。(編集部)

「どこでやるにしても、自分らしくいることが大事」という気付き

――まずはオーストラリアでの『SMASH!』への出演お疲れ様でした。1日目、2日目とステージに立った感想を聞かせてください。

NORISTRY:1日目はすごく緊張しちゃいましたね。海外でのライブイベントというと、これまでは韓国で歌ったことがあるくらいだったんですけど、今回は韓国とは違ってほとんど日本語が通じない環境で。スタッフさんともコミュニケーションが上手く取りづらい中でリハーサルをやったんですけど、そこがまず大変でしたね。

 会場の空気感も分からなくて、「日本の歌い手ってどんなもんじゃい」みたいに思われている可能性も多分にあるじゃないですか。「日本の歌い手ってこういうパフォーマンスをするんだ」とか「歌が上手いんだ」って思ってもらえるのかな、という緊張もありました。なので1日目は歌詞を間違えないように、音程がずれないようにと思いながら歌うことに集中していたかもしれません。

 逆に2日目は楽しむことに重きを置いて、歌を上手くというよりも、日本でやるライブと同じように、みんなと一体感を持って楽しむことを意識しながらステージに立てたかなと思います。どこでやるにしても、自分らしくいることが大事なんだなと改めて考えさせられましたね。

――たしかに、2日目はお客さんとのコールアンドレスポンスも多く、楽しんでいらっしゃるなと感じました。

NORISTRY:そうですね。そもそも海外ってコールアンドレスポンスするんだろうか、みたいなことも思ったりして、探り探りだったんです。でも、1日目の自分のステージを終えたあとや、2日目の出番の前に他の方のステージを拝見させてもらって、「こういうこともやっていいんだ」「この部分は日本と同じなんだ」というのが知れたのも良かったです。

――以前に韓国でライブをされた際はどうだったんですか?

NORISTRY:韓国のライブも、同じようにめちゃくちゃ探り探りではあったんです。でも、そのときは『SMASH!』のようなフェス形式ではなくライブイベントだったこともあってか、登場していったときの歓声がすごくて。「俺、韓国でこんなに売れてるのか」って勘違いしちゃうくらい、お客さんがすごく盛り上げてくれたんです。そういった意味で安心感がありましたね。あとはMCのときに通訳さんがついてくれていて、かつ僕が喋っている段階でみんなすごく反応してくれていて。日本語が分からない人はほとんどいないような環境でした。なので韓国のステージはあまり緊張せずに立てましたね。

――同じ海外ファンでも、韓国とオーストラリアではライブの参加の仕方の違いも感じましたか?

NORISTRY:韓国ではバラードでも一緒に合唱する感じだったのでオーストラリアもそんな感じかなと思っていたんですけど、ちょっと違いましたね。韓国のお客さんはみんなで一緒に歌ってみんなで楽しむって感じだったんですけど、オーストラリアは「お前の歌、聴いてるぜ!」みたいな。純粋にお客さんとしてステージを盛り上げてくれる感じが、日本に似ているのかなと思いました。楽しみ方に違いはあれど、どこのお客さんも温かかったです。

――韓国の歌い手シーンは日本より数年のタイムラグがあるというお話を現地でしていたのが印象的でした。オーストラリアでは物販ブースでファンの方ともお話しされたかと思いますが、歌い手シーンの成熟度など、感じたことはありましたか?

NORISTRY:オーストラリアでは歌い手文化が韓国ほどは伝わっていないのかなと思いました。それよりはVTuberとか、より新しいカルチャーの方が盛り上がっているのかなと感じましたね。

――そうなんですね。時系列が日本とは少し違うというか。

NORISTRY:そういう印象でした。でも逆に、物販でお話しした方の中には5、6年前から僕の歌を聴いてくださっている方も多くて。そんなに前から聴いてくれているんだなと思いました。

――熱心なファンもいる一方で、ライト層にはまだ「歌い手」という存在が浸透していないのかもしれませんね。

NORISTRY:そう思いました。

――今回オーストラリアのファンの方と交流をしたり実際に現地でライブをしてみて、日本での活動とは違った刺激はありましたか?

NORISTRY:全然違いますね。元々僕、海外旅行がめちゃくちゃ好きで。全く違う言語、文化、思想で生きているのに、実際に海外に行くと現地で生活している姿を見られるわけじゃないですか。そういう文化の違いを体感するのが好きなんです。そんな違う文化を持つ人たちから、日本のカルチャーの、このコンテンツが好きだって言ってもらえるのって、めちゃくちゃ不思議な感覚になるんですよね。

 日本のカルチャーが好きな方って、コミュニケーションが取れる程度に日本語を話せる方も多いじゃないですか。僕は母国語しか喋れないのに、別の国の文化が好きで、その国の言葉を覚えてコミュニケーションを取れるようになっているって、尊敬するレベルだなと思うんです。「そんなにこの国の文化を好きになってくれているんだ」という嬉しさもありますし、不思議な感覚になりますね。僕からしたら、海外ってテレビの中の出来事みたいな感覚だったりするので、そういう人たちが好いてくれてるのは嬉しい気持ちになりますし、「すごいやん、日本」ってなります(笑)。

――自分がすごいのではなく、日本がすごいという感情なんですね(笑)。

NORISTRY:そうですね(笑)。

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