ロボット掃除機やスティック掃除機を手掛けるBeijing Roborock Technologyから、最新モデル「Saros 10」が登場した。2025年6月より全国のヤマダデンキ(一部店舗除く)やオンラインにて発売が始まっている。販売価格は、税込み28万5780円。
2014年に設立されたRoborock社にとって、本年は10周年の先へと進む重要なタイミング。日本市場のシェア率は2025年第1四半期において昨年より倍増するなど、ブランドの成長も波に乗っているタイミングだ。
そんなRoborockだからこそ、新製品発表のイベント名を「ROCK A NEW ERA」と冠したのも納得がいくところ。文字通り、新時代を告げる新製品はこちらとなる。
あの出っ張りが引っ込んだ!
新製品は、水拭きから乾燥までこなすオールインワンモデル『Soros 10』。Sorosという名称は新たなフラッグシップに名付けられるネーミングとなる。昨年末には曲線デザインが特徴の『Roborock Qrevo Curv』がフラッグシップとして登場したが、これからはミドルラインという立ち位置になる。
『Soros 10』のもっとも特徴的な機能は自動昇降式のLSDレーザーセンサーだ。LSDレーザーセンサーとはロボット掃除機の上部にボコっと飛び出た部分で、ここには周辺を検知するセンサーが搭載されている。他メーカーのロボット掃除機であっても、高級機以降のモデルにはこの出っ張りが付いているのが定番だ。
では、LSDレーザーセンサーが昇降式になるとどんなメリットがあるのか? 例えばこのように狭い場所であっても……
センサーが引っ込むことで侵入可能となるわけだ。センサーが収納された『Soros 10』の高さは、7.98cm。前述の『Roborock Qrevo Curv』の高さは10.3cmで、他メーカーのロボット掃除機も10cm近いものが多い(LSDセンサー非搭載のモデルは除く)。フラッグシップモデルで高さ7.98cmというのは、画期的なコンパクトさだろう。
また、障害物を三重構造で検知するためRGBカメラとストラクチャードライトを搭載。モノを検知するための視野そのものも広くなり、幅3cm×高さ3cmを超える小さな障害物も検知。障害物までの距離の認識精度も向上したことで、障害物を回避しつつ家具の周りのお掃除も的確にこなせるようになった。
上限知らずのパワフルさ
Roborock史上最高となる2万2000Paの吸引力を実現し、『デュアル毛がらみ防止ブラシ』により髪やペットの毛もスムーズに除去。伸縮式のサイドブラシによる部屋の四隅のゴミカバー率は、第三者機関の調査により100%を達成している。
水拭きモップは振動式。同じく振動モップを採用していた『S8 MaxV Ultra』と比較して、振動エリアが26%拡大。最大毎分4,000回の高速振動と荷重による強力な水拭きで、サラサラのフローリングを実現してくれる。
『S8 MaxV Ultra』と同様、壁際を水拭きするためのエッジモップクロスも搭載。もし水拭き掃除が不要なときはモップパッドが自動的に取り外され、このエッジモップクロスもリフトアップされる。ラグを掃除したい時などは心強い。
また、8Wayの全自動ドックによりモップの洗浄や乾燥などもお任せ。80度の温水で洗浄することで黄色ブドウ球菌や大腸菌などを99.99%除去し、60度の温風で乾燥してくれる。温風乾燥は匂いを発生させずらく、これもフラッグシップには嬉しい機能だ。
ドックには60日分のゴミを溜められる紙パックと給水&汚水タンクが搭載。ドック前面は鏡のようなガラスパネルになっており、高級感もある。インテリア的に考えると鏡は奥行きが広がるように見えるため、スペースを占有してしまうロボット掃除機のドックとの相性も良い。
なお、ロボット掃除機本体がドックに収納される際は、前述のLSDレーザーセンサー部分は格納される。他にも4cmまでの段差乗り越え機能、音声アシスタント、アプリによる柔軟な掃除カスタム機能などを網羅している。
約30万円近いフラッグシップともなると、ユーザーの期待も大きい。『Soros 10』の画期的な機能は収納式のLSDレーザーセンサーだが、吸引力などそもそもの基礎性能が押し並べて高い。「しっかりと掃除ができている」という、掃除機の基礎を抜かり無く抑えており、一芸を用意しつつも掃除の基準そのものを引き上げてくれるモデルといえるだろう。
掃除体験を広げる新モデルも登場
『Soros 10』の他にも、ミドルライン以下の新モデルも登場した。簡単に紹介していこう。
こちらは1万2000Paの吸引力と、水拭き&自動乾燥を可能とする『Qrevo C』。従来モデル『Qrevo C』と比較してドックの高さが約4cm低くなっており、部屋に配置しやすいサイズとなった。発売日は2025年6月6日、価格は16万4780円。
ロボット掃除機デビューや単身暮らしに向けた小型モデルとして、『Q7T+』と『Q7T』も登場。発売日は2025年6月6日、価格はそれぞれ7万6780円、5万4780円
こちらはお手頃価格のスティック掃除機『H5』と、水拭きができるスティック掃除機『F25 RT』。いずれもすでに発売中。
水拭きができる『F25 RT』は、フローリングにこぼした水汚れにも対処可能。簡単に水拭きができるため、サラサラなフローリングを手軽に生み出せるのが強みだ。
話題を呼んだあの製品の姿も…?
製品発表会場には、世界最大の家電見本市CES 2025で話題を呼んだロボット掃除機『Soros Z70』の姿もあった。こちらは残念ながら、日本での発売予定はいまのところ無し。
ロボット掃除機の内部に、アームを内蔵しているのが特徴。靴下などの障害物を拾い上げるという、映画やゲームに登場するロボットのような機能を搭載。もしこの機能がロボット掃除機の基本機能になれば、部屋の片付けもロボットに任せられるようになるかも…?
強みは、イノベーション重視の姿勢
発表会では、APACマーケティング責任者のDan Cham(ダン・チャム)氏も登壇。同社がいかにイノベーションを重要視しているかを述べていたが、この点こそロボット掃除機の本質的な部分ではないかと筆者は感じた。
例えば今回の昇降式のLSDレーザーセンサーも掃除の性能そのものに影響するものではないが、「今まで進めなかった場所に進めるようになる」という開拓のスタイルは、いかにもイノベーティブだ。ロボットアームの搭載も「考えたことはあるけど、本当に実現させるとは!」といった驚きがあり、エンジニアリングへの情熱を感じる。
『Soros 10』はセンサー類も進化しているが、センサーの変化というのは新機能の搭載などに比べると地味な変化ではある。しかし、センサーはロボット掃除機にとって目となる存在。センサーが優秀ならば障害物や部屋の認識精度も向上し、より効率的な掃除が可能となる。近年のRoborockの快進撃も、こうしたイノベーション重視のスタイルがピタリとハマった結果なのかもしれない。
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ヤマダユウス型
ガジェット、音楽、楽器を主食とするライター。電気の通るモノに囲まれた生活を送りつつ、休日は登山やキャンプで魂を漂白している。
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