歌広場淳のフルコンボでGO!!!
『EVO Japan 2025』を楽しみ尽くした歌広場淳 再認識した「参加する意義」と“推し”をつくる素晴らしさ

大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「歌広場淳のフルコンボでGO!!!」。今回は、東京ビッグサイトにて5月9日~11日に開催された国内最大級の格闘ゲーム大会『EVO Japan 2025』の振り返りをお届けする。
『ストリートファイター6』(以下、スト6)をはじめ、さまざまなタイトルのトーナメントが併催された格闘ゲームの祭典「EVO Japan」。今回、念願叶って選手として参加を果たした歌広場淳が、仲間たちとの思い出やあらためて感じた大会の醍醐味について次々と語ってくれた。(編集部)
助け合いの精神が宿る格闘ゲーム大会
待ちに待った『EVO Japan 2025』に参加してきました! 去年は観客として足を運びましたが、今年は選手として参加することができました。
今回まず思ったこととして、もうみんな「EVO Japan」ってふつうに言うようになりましたよね。それこそ2018年の初回大会のころは、「EVO Japan」という響きにまだ違和感があったように思います。日本で開催してもらえるのはうれしいけれど、なんだかしっくりこないなと。それがいまや、何気なく「EVO Japanに参加されるんですか?」とか「EVO Japanに行ってきます!」という声が聞こえてくるようになり、一過性のブームではなく日常のなかに「EVO Japan」の存在が浸透しているように思えて、無性にうれしくなりました。
EVO JAPAN来てます!チケットを購入できてないことが判明して(エントリーは出来てた!)0回戦敗退か!?ってなったけど当日券があって命繋がった…危ねぇ!!!
会場入って葉月さん(@hazuki_lynch)と無事に合流して、これから自分のプール!初日を抜けられるようにまずは頑張るぞ!!! pic.twitter.com/Xca8DqhiD8
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 9, 2025
会場の盛り上がりもすごいことになっていて、まさに音楽フェスのような雰囲気だったと感じました。メインステージとサブステージがあって、サイドトーナメントの会場や企業ブースなどもずらっと並んでいて。お客さんも推しの選手・タイトルのグッズやタオルを身に着けている人がたくさんいました。
ここ数年、僕は格ゲーのイベントの感想を聞かれたときに「ふだんゲームをやらなさそうな雰囲気の人もいっぱい観戦に来ていたと思います」と答える機会が多かったんですけど、今回に関しては「ゲームをやらなさそうに見える人が実は選手だった」というパターンがめちゃめちゃありました。
僕が選手として出場したタイトルのうちのひとつ、『ストリートファイター6』部門には約6,600名がエントリーしていて、初日は朝から夜まで常に予選の試合が進行しているような状況でした。運営スタッフの方々は大変だっただろうなと思うのですが、少なくとも僕が観測した範囲内では大きなトラブルはなかったように思います。
細々したトラブル、たとえばコントローラーの不具合が起きたときも、すぐに周囲の人たちから「これはこうやるんですよ」とか、「僕も同じものを使っているので代わりに使いますか?」といった声が上がっていました。あとは選手の点呼でなかなか来ない人がいると、「僕の知り合いなんで電話してみます」とか。
そうやって、全員で協力してこのイベントを成立させようという思いやりみたいなものを、みんなが当然のように持っているんだなと感心しました。「EVO Japan」運営がユーザーコミュニティやプレイヤーファーストを最大限に考えてくれているように、参加者たちもまたイベントのためにできることを考えて行動していて、本当に助け合いの精神で作り上げられたイベントだと思いました。
リスペクトはいまや真の“理解”へと
僕は今回、選手として『スト6』部門に参加したんですけれども、予選が行われているエリアでは、そこかしこに観戦者の人だかりができていました。僕も「そろそろ自分の予選プールが始まる時間だな」と対戦台を見に行ったら、まだ試合が始まっているわけでもないのに、すでに大勢の人が集まっていて不思議に思ったんですけど……。
フタを開けてみれば、どうやら僕のファンの方や、僕を知ってくれている格ゲー兄貴たちが「いまから歌広場淳がここで試合をやるようだぞ」ということで集まってくれていたみたいなんです。結果的に僕は途中で一度敗れて、その後、ルーザーズトーナメントから初日の予選を突破することができたんですけど、毎試合たくさんの方に応援してもらえてうれしかったです。

それに関連して、どうしても触れておきたいトピックがありました。初日の夜に、SNSで僕の試合風景についてポストしてくれていた方がいたんです。
その方は、僕の試合を応援しにきたファンの子たちが、僕に対してむやみやたらに話しかけたりせず、一歩引いた位置から観戦していることに感動した、というようなことを書いてくださったんです。声をかけようと思えばかけられるし、真後ろまで行ってド密着で観戦しようと思えばできる環境なのに、あえてそれをしないのは彼女たちが格ゲー界隈に対してリスペクトがあるからだろうと。
もうそのポストを見た瞬間に僕は胸が熱くなってしまって、すぐにコンタクトを取り、翌日の会場で直接その方に「ありがとうございます!」とお礼をお伝えすることができました。

……で、ここからは蛇足なんですが、彼女たち、ファンの子たちの名誉のために補足しておきたいことがありまして。きっと格ゲー界隈の方々の多くは、「歌広場淳のファンの子は、ゲームのことがよくわからないのに界隈へのリスペクトがあって偉い」という目線で彼女たちを見てくれていると思うんです。そういった見られかたになるのは、ある意味自然なことだと思うし、決して悪気とかがあるわけではないと僕も理解しているんですけれど。
ただ、実は彼女たちはゲームを“わかっている”んです。これがいままでと違うおもしろいところで、僕が声を大にして言いたい部分でした。というのも彼女たちは、僕が試合に勝ったから歓声を上げたんじゃないんです。僕がリーサルのSA3(トドメの一撃として放った大技)を決めた瞬間に、“これで歌広場淳の勝利が確定した”と理解したから歓声を上げたんですよ。つまりそれは、ゲームが“わかっている”ということじゃないですか。
だから僕は、そうしたお声にありがたいなと胸が熱くなったのと同時に、いまの格闘ゲーム業界では「一見そうは見えない人が実は“わかっている”人だった」現象が、いろいろなところで起きているんだろうなと、そんな風にも思えてうれしかったんです。
「大会は参加することに意義がある」
僕にはヴィジュアル系バンド仲間のなかで、ゲーム、とくに『スト6』を一緒に遊んでくれている仲間がいます。lynch.の葉月さん、摩天楼オペラの燿さん、FEST VAINQUEURのGAKUさん、そこに僕を入れた4人でよく企画やイベントをやったりしているんですけど。今回はこの3人が「EVO Japan」に初参加するということで、みんなで一緒に参加することができたのがまたひとつ楽しい出来事でした。
V系バンドマンのEVO JAPAN初日終了しました〜!!!
みんなして応援し合って超楽しかったし行くとこ行くとこで人だかりが出来てたのが面白かった!!!知ってる人の試合を間近で応援しながら見るの心臓がギューってなるけど超楽しいね!!!… pic.twitter.com/cMI3qPTdau
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 9, 2025
しかも、もともと「4人で一緒に参加しようよ!」と示し合わせていたわけではなくて、各々が自発的にエントリーしていて、後からそれを知って合流することになったという流れだったんです。そこもよかったですね。

彼らの試合もそばで応援していたんですけど、もちろん彼らのもとにもファンの女の子たちが観に来ていて、僕の試合もはたから見るとこんな感じなのかなって、ふと思ったりもしました(笑)。そんな風に疑似体験できるような機会はなかなかなかったですから。
ちなみに、燿さんはプロゲーマーのマゴさんと同じ予選プールだったのですが、1回戦で燿さんがすごくワイルドな勝ちかたをして、それを見ていたマゴさんから「やるじゃんね」と言ってもらえていたり。あとGAKUくんは予選で戦った相手がたまたま普段から見ているストリーマーさんだったみたいで、試合後にお話しできたとうれしそうにしたりしていました。
本当にみんな楽しんでいて……。僕はよく、「大会は参加することに意義がある」とみなさんにお伝えしていたんですけど、これまでは「とにかく雰囲気だけでも味わってほしい。参加する人が増えればイベントも盛り上がるし」という思いで言っていたんです。ただ、今回ばかりは「どうどう? 実際参加してみて楽しかったでしょ!?」という意味で、「参加することに意義がありますよね!」って終わった後にみんなと盛り上がることができました。
EVO JAPAN最高の3日間だった!昨日今日と2日続けて(!)葉月さんのお家で飲みながら話したりゲームしたりみんなで遊んだのも最高だった!(葉月さんありがとうございます)… pic.twitter.com/H2grGDjw0q
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 11, 2025
久々の「バーチャファイター」で味わったチーム戦の興奮
『スト6』部門では予選2日目の初戦で負けて敗退となったのですが、僕の「EVO Japan」はまだ終わりではありませんでした。どういうことかと言うと、今回は『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.』(以下、VF5REVO)部門にもエントリーしていたんです。個人的にはほとんど初めての複数部門エントリーで、まさに「EVO Japan」ならではの楽しみかたができたなと。
『VF5REVO』部門は5人1組の団体戦形式でした。正直に言うと、僕は昔の「バーチャファイター」シリーズ作品の経験がある程度で、最新作の『VF5REVO』はほとんどプレイできていなかったんですけど、「それでもいいよ」とチームのメンバーたちが声をかけてくれたので参加することにしました。
そのチームメンバーというのがまた豪華で、プロゲーマーの板橋ザンギエフさんを筆頭に、『Minecraft』配信などで超有名なドズル社のゲーム実況者・ぼんじゅうるさん、そしてSNSでバズりまくっているカマたくさんと、カマたくさんのゲームのお師匠さんであるmeirioさんという。
スト6は初戦のAKIの人に負けて終了!ごめーん!!!しっかりやりたかったけど、やっぱり緊張で頭の中が真っ白!大会の難しさ、ルーザーズの儚さ感じた😭
で、ここからはバーチャ!!!
板ザン
ぼんじゅうる
カマタク
めいりお(カマタク師匠)
うたひろチーム「New Comer」まずは予選抜けるぞ! pic.twitter.com/yYgMPBOe71
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 10, 2025
そもそもが、「カマたくさん、バーチャファイターやってたんですか!?」という衝撃の事実が判明したことをきっかけに結成したチームだったので、チーム名も「ニューカマー」ということで(笑)。かなり注目度が高いチームになりましたし、試合の際には各々のファンが集まって人だかりができるような最高のチームでした。
久々の「バーチャファイター」、楽しかったです。当日は動きとかめちゃくちゃでしたけど、それでも子どものころから遊んでいた思い入れのあるタイトルなので。学生時代は「ビートライブカップ」(※1)という有名な大会を観戦するために、会場となったディファ有明に足を運んだこともありました。
※1 ビートライブカップ:VFR BEAT-TRIBE CUP。「バーチャファイター」のユーザーコミュニティが主催する全国規模の5on5団体戦。前身となった「アテナ杯」の第1回大会は1994年開催と、非常に長い歴史を持つ。『EVO Japan 2025』の『VF5REVO』部門は「ビートライブカップ」とのコラボレーションとして実施された。
そんな「ビートライブカップ」にいつか選手として出場するという夢が、まさかこんな形で叶うとは。しかも、こんなにも楽しい最高のチームメンバーとともに。本当に、めちゃくちゃ盛り上がりましたね。
僕個人としてもなんとか1勝することができましたし、僕とぼんじゅうるさんの2人で、相手チームの5人を全員倒し切る試合があったり、大将に残った板橋ザンギエフさんが大逆転を決めてチームを救ってくれたりと、団体戦の醍醐味、「バーチャファイター」の醍醐味を目いっぱい味わえました。
予備予選2戦目、うたひろ&ぼんじゅうるの2人で勝ったどー!!!(まあ僕は1人で残り4人をぼんさんが抜いたんですがね!!!)
メチャクチャ盛り上がった!ってか盛り上げた!笑
ということで次は13時から予選!!!まだ遊べるドン!!! pic.twitter.com/MpotsveKyZ
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 10, 2025
あとはやっぱり、カマたくさんがどんな感じでプレイするのか気になっていたんですけど……。めちゃくちゃトリッキーなスタイルでおもしろかったですね。あなた、人生だけじゃなくて格闘ゲームのなかでもトリッキーなんですかと(笑)。
格ゲーマーよ、くれぐれも健康第一で……!
「バーチャファイター」界隈は年齢層が高めなこともあり、昔のゲーセンのノリと言いますか、良いプレイをしたりコンボを決めたりすると観衆から「アイ! アイ!」って掛け声がかかったりするんです。相手チームのプレイヤーに対して野次が飛ぶこともありますし。野球で言うところの「ピッチャービビってる」的な。
僕は「バーチャファイター」界隈に知り合いがいないので、当然ながら相手の方とは「初めまして」の対戦になるわけです。だというのに、相手の方とすぐに“口プレイ”というか、野次の応酬が起きていたのがおもしろかったです(笑)。「それ返せないのかよ!」とか、「こいつ投げ抜けできないぞ!」とか、お互いに言い合うような展開になっちゃうんですよね。もちろん勝った後はノーサイドの精神で「対戦ありがとうございました」となるので、喧嘩とかにはならないんですけど。
バーチャファイター、大将の板ザンさん意味不明なくらい連勝を重ねて我がチームまだ生き延びてます!!!!!僕はコンボもおぼつかないくらいなのにチーム戦ってほんとすごい!!!!!!!
EVO JAPAN、心から楽しんでます!!! pic.twitter.com/U2x7YXbvUo
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) May 10, 2025
「バーチャファイター」シリーズもプレイヤーの年齢層が上がっているとはいえ、これほど盛り上がる大会がいまだにあるわけですし、『VF5REVO』として13年ぶりにバランス調整が行われたり、2024年末にシリーズ完全新作プロジェクトが発表されたりといった動きもありますから、「この機会にみんなで生活習慣を見直そうぜ!」という気持ちになりました。やはり健康でいなければなと。
そうそう。健康といえば、幸いなことに今回はeスポーツドクター・REKKAさんのお世話にならずに済んだんですけど、だからこそ残念ながら会場でご挨拶することができなかったんです。お忙しくされていたのでしょうか。ぜひ後日談をお聞きしたいですね。

心震えた、こばやんの男泣き――“推し”が紡ぐドラマを見逃すな
大会最終日(3日目)に行われた『スト6』部門のFINALS(トップ8による決勝トーナメント)には、やはりこの連載でもたびたび取り上げさせてもらっている「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024」(以下、SFL 2024)の出場者たちが勝ち上がってくるのだろうなと予想していました。実際、8名中5名が”リーガー”でしたね。
そんななか、数少ない「SFL 2024」未参戦者ながら3位まで上り詰めた、こばやん選手の活躍がめちゃめちゃ印象的でした。こばやん選手は来季、「Saishunkan Sol 熊本」から出場することがすでに発表されています。まだ若いザンギエフ使いで、ガタイがよく、まるでザンギエフがザンギエフを使っているようなプレイヤーなんです。
格ゲーはメンタルがダイレクトに反映されるゲームなので、プロゲーマーの方々ともなると、勝ってよろこんだり、負けて悔しがったりというように、感情をあらわにすることを意識的に抑えているんだと思うんです。
それが彼の場合はというと、もうひとつひとつの試合を命がけで戦っているんだという気迫がすごくて。敗退が決まった際も男泣きしていましたし、その様子が会場のメインビジョンに映ったときには大きな拍手が巻き起こっていました。
もうなんだろう。いい映画のラストシーンで、主人公のために命を張って道を切り開いた登場人物に対して「よくやった!」って声をかけたくなるような。あれと似たような感動を覚えました。僕だけじゃなく観ていた人はみんな、こばやん選手に興味が湧いたと思いますし、思わず好きになっちゃったという人もたくさんいたでしょうね。
しかも、「EVO Japan」ほどの大舞台だったら負けて悔し泣きするのもわかるところですけど、こばやん選手はわりとふだんの大会からこんな風に感情をむき出しにしていくプレイヤーなのだと噂で聞いたんですよ。それを聞いたら、彼は絶対に大物になるだろうなって思っちゃいます。
当然ながら選手たちにはそれぞれにドラマがあって、それゆえに今回の『EVO Japan 2025』も見どころが盛りだくさんだったわけなんですけれども。ぜひ、みなさんも「EVO Japan」に限らず、さまざまな大会を観戦してもらって、そのなかから“推し”の選手を見つけていただきたいなと思っています。
- 有名ストリーマーのファン太さんと!(歌広場淳)
- 同じく有名ストリーマーのZerostくんと!(歌広場淳)
あなたの好きな選手は誰ですか? 今回の大会ではどうでしたか? 勝っていましたか、負けてしまいましたか? どんな様子でしたか? あなたはその姿を見て何を思いましたか? 自分もゲームをやりたいと思いましたか? 自分ではやらなくても、これからも観続けたいと思いましたか? ……っていうような、心を動かされる瞬間がたくさん生まれていくと思うので。ぜひ“推し”をつくってみてください。
最後にあらためて、格ゲーシーンに関わるすべてのプレイヤーと、それを支えるコミュニティ、関連企業のみなさんに感謝の気持ちをお伝えして、今回の振り返りを終えたいと思います。本当にありがとうございました!

歌広場淳×REKKA“eスポーツドクター”対談 eスポーツ選手の心身にかかる負荷はフィジカルスポーツと同レベル?
大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「歌広場淳のフルコンボでGO!!!…