YouTube、Twitch、TikTokのストリーマーにも価値提供を 「All for Streamers」を掲げ進むミラティブの新事業発表会を見て

株式会社ミラティブは、ミラティブグループとしての新規事業・戦略発表会を2025年5月26日におこなった。同発表会では代表取締役CEO・赤川隼一氏が登壇し、ミラティブ社としてのこれまでを振り返りつつ、現在進行している事業内容とコンセプト、今後の事業展開について語った。
「All for Streamers」を掲げて進むミラティブの新事業展開
まず最初に赤川が語ったのは、これからの事業コンセプトについてだ。これまでから事業内容を進化させ、YouTube/Twitch/TikTokなどあらゆる配信プラットフォームの配信者(ストリーマー)に価値提供する会社へと変化していくことを強調した。
その内容を表現する言葉として掲げていたのが、「All for Streamers」だ。
赤川氏は、近年日本のみならず世界的にも配信者(ストリーマー)の存在が大きくなっていることを指摘、YouTuberやゲーム実況者が「子供がなりたい職業ランキング」の上位にあげられるほどであると説明した。ゲーム実況やライブ配信の視聴時間もコロナ禍の影響などによって大きく視聴時間を伸ばしており、ショート動画をメインにしたプラットフォームとして知られているTikTok上でもライブ配信のカテゴリで伸長が続いていると語った。
ミラティブとしても長く関係のあるVTuberの躍進にもふれ、日本のみならず世界的にもVTuberという存在が増えていると赤川氏は語る。VTuberの世界の国別人口比率をみると日本は41.8%で第1位となっているが、日本のVTuber人口のうち、最も大きなウェイトを占めているのは個人で活動している「個人VTuber勢」である。


くわえてプロゲーマーが徐々にストリーマー化しているという世界的な潮流にもふれ、現在のゲーム・エンタメと配信者(ストリーマー)を取り巻いている状況を“ストリーマーのプラットフォーム化”と表現した。
そんなミラティブは、スマホ1台でゲーム実況ができるライブ配信アプリ『Mirrativ』を通じて、2015年に事業をスタートした。友達の家でゲームをやっているような賑やかな空気をコンセプトに始まった同アプリは、2018年にはバーチャルアバターを使用し、ユーザーがスマホだけでVTuber配信をできるようになった。さらに2022年にはアプリ上での「ライブゲーム」の展開を本格化し、配信中のゲームに視聴者が介入するという、新たなライブ配信&ゲーム体験を提供してきた。
これまでの歩みを振り返り、赤川氏は「ミラティブ社は日本で最も多くの配信者に向き合ってきた会社」と断言。同社のサービスを通じて大きく羽ばたいていった配信者も多く、『Mirrativ』は2025年現在において“日本最大級”の配信者数をかかえるサービスとして成長していると話した。
こうしたなか、ミラティブは今後新たな事業コンセプトとして、「All for Streamers」を掲げて展開していくと切り出し、配信者の「ファン」「収益」「撮れ高」が増えるサポートをしていきたいと赤川氏は話す。今後の事業展開を通じて、配信者とファンの間にナラティブ(物語)が生まれる支援をおこなっていこう、という狙いがあるのだという。ミラティブ内で大きな渦を生み出しつつ、YouTube/Twitch/TikTokといったプラットフォームで活動する際にも貢献ができると自信を覗かせた。
またミラティブの得意領域として、個人VTuberが活動初期に抱える問題に対するソリューション(解決策)を提供できるとも話しており、ミラティブ社の経験やアセットを通じて今後デビューする個人VTuberのサポートや支援も行なっていくと宣言した。これら個人VTuberへのサポートをおこなうに伴って、株式会社アイブレイドと株式会社キャスコードがそれぞれグループにジョインすることを発表。資本業務提携・M&Aを通じて連携、「ミラティブグループ」となることを明らかにした。
2社がジョインすることでさらに手厚くなるストリーマーへの支援
株式会社キャスコードは、PC用デスクトップツール『CastCraft』を提供しており、人気の配信支援ツールとして知られている。『OBS Studio』など主要な配信ソフトとの機能連携に対応しており、特定のコメントに反応するエフェクトや、コメント欄へのチェックボックス(!)など多彩な機能をもっており、YouTube/Twitchでの配信がより良いものになると説明した。
株式会社アイブレイドが運営している「ぶいきゃす」は、VTuber向けのキャスティングサービスとなっており、個人VTuberを中心にしたインフルエンサーマーケティングを狙う企業とVTuberとを結びつけるサービスとなっている。
これにより企業とVTuberとの間に収益をともなった関係性がうまれる、さらにアイブレイドは人気ゲームとのコラボやVTuberイベントも多数企画・運営しており、イベントキャスティングやグッズ制作もふくめたさまざまなサポート体制を整えていくと語った。
2社との業務提携・サ-ビス展開をつうじて、今後は新たな事業コンセプトである「All for Streamers」をさらに推進、ゲーマー層や配信者ファン層に届ける「クリエイティブエージェンシー」へと進むことも狙っているという。そのため、今後は自社で展開する『Mirrativ』アプリ内のみならず、M&Aや協業をしながらさらなる事業を拡大を目指していくと語った。
その後おこなわれた質疑応答では、寄せられる質問に対して「自社の都合でユーザーさんや配信者さんを困らせないようにする」という旨の言葉を返すシーンもあり、先に掲載された赤川氏のインタビューでも同様のやりとりをしている。
本発表会からは『Mirrativ』という配信アプリの域を超えて、配信者(ストリーマー)へのサービスや支えとなる会社へと歩みを進めていく覚悟が伝わってくる発表会となっていた。多くの会社と連携を図りながら「ミラティブグループ」として進んでいきそうだ。
■関連リンク
ミラティブ:https://www.mirrativ.co.jp/ (Mirrativ:https://www.mirrativ.com/)
キャスコード:https://cascord.com/ (CastCraft:https://castcraft.live/)
アイブレイド:https://www.i-braid.com/ (ぶいきゃす:https://v-cas.com/)




























