マッドがマックスな世紀末カーライフを ストラテジー×アクション『Badlands Crew』で武装トラックを乗り回せ!

世紀末ロードムービー「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)で数ある魅力のひとつが武装トラックだ。鉄板で覆いトゲトゲで威圧した、車検に通らなそうな改造車の数々が世紀末のサバイバルを匂わせる。無法の荒野を突き進む、その姿に心を奪われた人は多かろう。「ウォーボーイズ」たちよ朗報だ。映画公開からほぼ十年目にして、あの「ドゥーフ・ワゴン」を自作して乗り回せるゲームがやってきた。
『Badlands Crew』は「Bomber Crew」シリーズの3作目だ。大きな乗り物で目的地に向かいミッションをこなす、リアルタイムストラテジーである。過去作は大戦時の爆撃機、未来の宇宙船だったが、今作のクルーたちはポストアポカリプスの武装トラックに乗り込む。舞台と乗り物にあわせてプレイ感を変え、アクションとエディットに重きをおいた。
銃弾と爆発まみれのカーアクションがバイオレンスとサバイバルを引き立てる。パーツが豊富で自由度も高いエディットは殺戮本能や生存本能をかきたてる。アレが欲しいコレが欲しいと焦がれたなら、迷うことはない。荒野の敵から奪い取ってやればいいのだ。さあ、素敵で過激な世紀末カーライフを始めよう。
バレットもメタルもマシマシのロードキル
本稿冒頭であげたとおり、本作プレイの前にオマージュ元の映画で世紀末カーライフを予習することを強く勧める。もちろん予習ナシでも問題ない。弾丸雨飛の真っただ中を突き進み、敵を倒して素材を集めるアクションRPGの仕上がりだ。

時と場所は文明崩壊後の荒野、バッドランド。ラスボスの弁士族に扇動され、各地の賊徒は乱暴の限りを尽くしていた。プレイヤーが属する拠点シタデルはその戦乱を収めるべく、賊徒の拠点を制圧し弁士族に立ち向かう。という経緯から、街画面でミッションを受け、フィールド画面で武装トラックを運転・戦闘する。

作中のチュートリアル順にならいフィールド画面から紹介したい。プレイヤーの主な仕事は武装トラックの運転だ。トラックの速度はあまり出ず、人通りがないのでドラテクは要さない。ただし、敵族のクルマやバイクが群れて襲いかかってくる。武装トラックの銃座で迎撃できるよう、攻撃範囲を意識して運転しよう。

銃座のクルーが撃ち倒された。オーバーヒートでエンジンが壊れた。敵戦闘員が乗り込んできた! これら車内トラブルはクルーを指定・命令で対処する。キーひとつで時間速度を一時的に遅くでき、移動先ショートカットもあるので落ち着いて操作できる。クルーのスキル使用もスロー中に操作すれば効果てきめんだ。銃座クルーのスキルは映画のようなカメラワークがはいり、見栄えにアクセントを加えてくれるぞ。

ザコ戦の戦闘難度は低めだが回数は多く、連戦で疲弊させられるだろう。荒野のトラブルは他にもある。毒の雨はクルーを傷つける。砂嵐や雷雨で迷走・蛇行しガス欠のピンチもある。士気旺盛に出動するも、拠点へ帰還する頃にはボロボロだ。このフィールド画面の苦労があるからこそ、街画面で武装トラックのエディットにはげめるのである。
命を運ぶ/奪うクルマをつくろう
『Badlands Crew』のエディット要素はとても豪華だ。エディットの自由度は高く、多彩なパーツがデザインのひらめきを与えてくれる。もちろん、ブロック玩具で「ドゥーフ・ワゴン」を再現したい人にもオススメだ。オシャレ用パーツが山ほどあり、フラッグやデカールが画像ファイル読み込み対応なのも気が利いている。
本作の醍醐味たるエディット要素は導入がマッドだ。ゲーム最序盤は武装トラックの荷台がフラットで遮蔽物がない。当然、敵族の銃弾にさらされてクルーは傷つき装置も壊れる。危ない目にあった経験からエディットに何が必要なのか学べるのである。弾よけを用意し、銃座の向きを決めよう。

エディットの手法は大きく2つある。ひとつはブロックパーツを積む手法だ。戦い方をデザインしてからのエディットに向いている。たとえば、側面の一方をブロックで覆い、もう一方に銃座を集めるというのはどうだろう。トラックの運転にコツはいるが、装甲も火力も上々だ。

もうひとつは定型パーツを組み合わせる手法である。車両の後部やコンテナ、飛行機の胴体などを荷台におけば弾よけになる。あとは隙間を活用すればよい。この、定型パーツからデザインのアイデアを得る仕組みにはゲーム序盤で大いに助けられた。廃品を利用した世紀末サバイバルの風情も味わえる。

イロモノの見栄えだがパーツのステータスは細かい。気持ちよく敵族を倒せるか、クルーは生きて帰れるか、アクションパートと密接に関わっている。そのうえで、豊富なファッション用パーツがロールプレイを誘っているのは面白い。パーツ欲しさに任務をこなし、パーツ試しで任務をこなせば、アクションとエディットが小気味よく回りだす。世紀末カーライフのアクションRPGは誰でも楽しめる仕組みなのだ。
派手に暮らすぜ、世紀末カーライフ
映画「マッドマックス」シリーズのカースタントが好きな人は、『Badlands Crew』を是非手に取ってもらいたい。アクションRPGとしても優れた出来で、オマージュ元を知らなくても楽しめる点は好感だ。クルーのレベルアップが景気良く、メキメキと強くなれるのもいい。武装トラックやクルーが敵族にやられてロストするのも、死んで英雄になったのだと愛着をかきたてる。

ビジュアル・サウンドの品質は及第点である。ビジュアルはシリーズ恒例のローポリ路線で、光源処理をきっちりこなし戦闘シーンを盛りあげる。サウンドはフィールド画面BGMがメタル一筋で、オマージュ元の雰囲気を踏襲する。街画面BGMはカントリー調で曲数が多く聞き飽きない。アクションやエディットの添え物として申し分ない。

ストーリーもひねりはなく、ただひたすらにボスを撃破する。よって本作の主軸は武装トラックのアクションとエディットだ。ここにソーシャル要素を持ち込んだのがうまい。ゲーム中に他プレイヤーの武装トラックが味方や敵として参戦する。となれば、自分の武装トラックも誰かのゲームに参戦しているハズである。どこで登場しても恥ずかしくないよう、マッドをマックスにつめこんだ武装トラックつくりにはげもう。

もちろん、クルーのコスチュームも忘れずに。TPOにあわせた世紀末ファッションでバッチリとキメよう。






















