コロプラ新作『神魔狩りのツクヨミ』開発陣インタビュー “これぞ金子ワールド”な世界観の源流とは

『神魔狩りのツクヨミ』開発陣インタビュー

 コロプラが2025年3月に発表した新作アプリゲーム『神魔狩りのツクヨミ』(iOS/Android/PC)。本作は、「真・女神転生」シリーズや「ペルソナ」シリーズで知られるゲームクリエイター・金子一馬氏がコンセプトプランナーを務める、デッキ構築型ローグライクゲームだ。

 東京の湾岸エリアにそびえる架空の超高層複合施設「THE HASHIRA」を舞台に、怪異ひしめくタワー内の探索や、神魔とのターン制カードバトルが楽しめる本作。生成AI「AIカネコ」によるオリジナルカード生成システムを搭載したことにより、十人十色のゲーム体験を味わえる点が魅力となっている。

 本稿では、気になる本作の世界観設定や詳しいゲーム内容について、コンセプトプランナーの金子氏と、開発プロデューサーの齋藤 ケビン 雄輔氏に伺ったので、そちらの模様をお届けする。なお本取材は合同取材形式で実施されたものであり、生成AI「カネコ」に関する話題は下記の記事にて語られているので、あわせてチェックしてほしい。

ゲームクリエイター・金子一馬の“AI”が独自カードを生成 コロプラ新作『神魔狩りのツクヨミ』開発陣が語る「ゲーム作りと生成AI」

コロプラがゲームクリエイター・金子一馬氏による新作ゲーム『神魔狩りのツクヨミ』を発表。デッキ構築型ローグライクとして、生成AI「…

金子氏の真骨頂たる“現代×神話”の世界観でつづられる物語

――まずは本作の世界観設定について、時代設定に現代日本を選んだ理由、そのうえで日本神話の要素をふんだんに取り入れている理由を教えてください。

金子:選んだというよりは、もともと現代モノが自分の得意技なので、必然的にこのテーマになった形ですね。タワーマンションを舞台に選んだのも、「タワマンの中で鬼ごっこをしたら楽しいだろうな」という素朴な発想が原点になっています。

 日本神話についても実は得意分野でして。日本神話には、天照大御神・須佐之男命・月読命の三柱からなる「三貴子(みはしらのうずのみこ)」という神々が出てくるのですが、なぜか月読命だけお話の中で語られる回数がものすごく少ないんですよ。日本書紀では食べ物の神である保食神を月読命が刺し殺すエピソードがあるんですけど、古事記では食べ物の神として大気都比売神(おおげつひめのかみ)というお姫様が出てきて、それを斬り殺すのが須佐之男命の役割になっているんですね。

 なぜこれほど語られることが少ないのだろうと気になっていたこともあり、語られていないことを逆手にとったお話が作れないかなと考えていたので、本作で使わせてもらうことにしました。

――月読命に着目した金子さんは、どのような発想でゲームの題材として拡張していったのでしょうか。

金子:たとえば、“日ユ同祖論”という説をご存知でしょうか。日本人の祖先はじつは大陸から渡ってきたユダヤ人で、その終着点こそが日本であると。だから湯船に浸かるのはユダヤ人と日本人だけなのだとか、日本の民謡にヘブライ語が混じっているじゃないかとか、いろいろあるんですけれども。

 そこからさらに踏み込んだ説で、もともとは日本が世界の中心で、そこからいろいろな部族、アマテラス族、スサノオ族、ツクヨミ族とかがいて、それらが世界に渡っていっていろいろな国を作り、また日本に戻ってきたのだ、なんてものもあります。

 そういったものをごちゃ混ぜにして、発想の起点としていますね。

――主人公たちが所属する国家守護機関「ツクヨミ」に関しては、モデルになった組織・団体などはあるのでしょうか。

金子:「ツクヨミ」たちについては、やっぱり世の中には影で活躍しているヒーローがいるはずだよなという思いがありまして。そういった連中を、この世界観に当てはめていった結果、生まれたものになります。

 少し前に『VIVANT』というドラマがすごく流行りましたよね。みなさんは“よくできたフィクション”として楽しんでいた気がするんですけど、僕としては、あのような影のヒーローが当たり前のように世の中で暗躍しているものなんじゃないかなと、どうしても思ってしまうんです。実際にいるかもしれないじゃないか、と。

――主人公たちのストーリーや、キャラクターとしての掘り下げは、ゲーム内でどのように行われていくのでしょうか。

金子:ストーリー構想の時点では、一般的なRPGのように選択肢によってルートが変わっていくような、損失の行動指針によってお話が変わっていき、それがプレイヤーのオリジナリティになるお話を考えていました。ゆえに、それぞれのキャラクターが各々の考えかたに従って個別に行動するように想定していました。

 ただ、ゲームの方向性がローグライクカードゲームと決まった段階で、あまり複雑すぎるお話だとゲームのテンポ感を損ないかねないと思いました。よって最終的には、1本の壮大なお話があり、それを4名のキャラクターそれぞれの視点からたどっていただく形式としました。

 4名のキャラクターのなかには、対話による平和的な解決を重視する者や、破壊的な解決策を求める者などがいて、それぞれの視点によってお話の見えかたが変われば、エンディングもちょっとずつ違っています。4つのシナリオ、4つのエンディングを用意していて、4人全員をクリアすると物語の真相が見えてくるような作りにしました。

ケビン:そうした壮大な物語をプレイヤーのみなさまにどのように提供するかですが、とくに世界観設定に関しては膨大な量があるので、それらをいわゆる収集要素として集めていくシステムにしています。

 ローグライクは周回プレイが前提のゲーム性なので、ゲームオーバーを繰り返すことに対する精神的な負担を減らす意味でも、収集要素として世界観設定の情報を少しずつ集めていくことで、物語の全容に迫っていけるようなデザインとしました。

金子:プレイするたびに新たな情報がどんどん手に入るので、物語を自分なりに考察することがお好きな方にも楽しんでいただけると思います。

カードを組み合わせる楽しみ、十人十色のプレイ内容を共有する楽しみも

――デッキ構築型ローグライクゲームとして、ゲームバランスやカード性能の調整でこだわった点を教えてください。

ケビン:こだわった要素は多数あるのですが、やはりカードゲームなので、カード同士の組み合わせが楽しめるようにという点を最も重視しました。個々のカードが強力すぎると組み合わせる楽しみが薄れてしまうので、人の手とAIの両方でテストプレイを繰り返すことにより、分析と調整を行ってきました。

――キャラクター1名あたりのプレイ時間はどの程度を想定されていますか。

ケビン:“人による”というのが正直なところです。手に入ったカードの内容や、どのくらい探索中に寄り道をするかなどによって、かなりブレが生じてしまう部分はあります。

 ただ、我々が想定しているところだと、1キャラでエンディングを迎えるまではおよそ7~8時間くらいではないかなと考えています。主人公は4名いるので、メインストーリーの総ボリュームはだいたい30時間前後となります。

 タワマン探索の段階には低層・中層・高層を用意しており、高層を突破するとエンディングに到達するわけですが、その先にはローグライクとしてのエンドレスにプレイできるエンドコンテンツを用意していますので、そちらも楽しんでいただけたらと思っています。

『神魔狩りのツクヨミ』プロモーショントレーラー

――エンドコンテンツについて、可能な範囲で具体的に教えてください。

ケビン:基本的には低層・中層・高層に出てくる敵キャラクターとボスがすべてランダムに出現するようになり、くわえてエンドコンテンツのマップでのみ出現する敵も用意しています。

――最後に、ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

金子:これまで僕はおもにRPGを作ってきたので、ファンのみなさんはやはり正統派のRPGを期待してくださっていたところもあるかもしれないのですが、やはりコロプラとしては生成AIによる新たな体験を提供できるようなゲームをいち早くリリースしたいという思いがありました。

 本作はおもしろいゲームに仕上がっていると思いますので、食わず嫌いにならずぜひ一度触っていただけたらなと思っています。

ケビン:生成AIを活用することで、これまでになかったような要素を盛り込んだゲームになっていますので、まずは実際にプレイしていただくことが一番かなと考えています。

 ぜひ遊んでいただいて、ご友人同士や、SNSなどで相互に感想を話し合っていただけたらうれしいですね。「僕のときはこんなカードが出た」「私はこうやって攻略した」など、十人十色のプレイ内容をもとにコミュニケーションを取っていただくところまで含めて本作でしか味わえない体験だと思っているので、多くの方にプレイしていただけたらうれしいです。

※コロプラ社のAIポリシー:https://colopl.co.jp/aipolicy/

金子一馬・完全新作『神魔狩りのツクヨミ』が5月7日にリリース決定! 「AIカネコ」のカード創成システムで“あなただけの体験”が楽しめる

コロプラは、ゲームクリエイター・金子一馬氏による、スマートフォン&PC向け新作ゲーム『神魔狩りのツクヨミ』について、正式サービス…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる