人気YouTuberに現役アナウンサー、元AKB48に元バチェラー出演者が勢ぞろい……“恋リアの総本山”『ラブパワーキングダム』を観るべき理由

『ラブパワーキングダム』を観るべき理由

今日好き、オオカミ、シャッフル……ABEMAの“恋リア”ノウハウを結集した映像に

 “総本山”なのは、参加メンバーのみならず。筆者は番組開始にあたり、あかねに話を聞いた際、彼女が今回参加を決めた理由のひとつに、ABEMAが恋愛番組の制作にどれほど情熱を注いでいるかを、一社員として強く体感していたことがあると教えてもらった(※1)。実際、“これ、軽く社運を懸けているのは?”と思えるほど、同局が持つ恋リアの技術、ノウハウ、そして予算を集結させているのが伝わってくるのである。

 たとえば、現役高校生が2泊3日の恋の修学旅行に繰り出す『今日、好きになりました。』で培っただろう、圧倒的なロケーション提示力。同番組ではまだ今回のトルコこそ舞台にしていないまでも、夢のようなリゾートを見つけてくるのは得意中の得意に違いない。

 また、前述した投票(番組内では“モテVOTE”と呼ぶ)で多くの票数を稼ぐため、異性に甘い言葉を囁き、その心を騙すという意味では、“絶対に恋しないオオカミ”の誘惑やウソに惑わされず、真実の恋を見つける『オオカミくんには騙されない』の要素に通ずるところが大きい。特に、好きになった相手の言葉を信じたくとも信じられない状況に陥らされる切なさは、まさに『オオカミ』シリーズの真骨頂であり、同番組で展開される恋愛関係の縮図といえる。

 参加メンバーが複数の島を行き来する“シャッフル”に翻弄されながら、7泊8日で運命の恋を見つけ出す『シャッフルアイランド』からの影響もありそうだ。特に考えうるのは、水着に酒に、肉体美。プールなど水際のシーンでハーレムが形成され、ワンシーンごとにスローモーションを挟む演出は、同番組の特徴でしかない。というより、“陽キャパーティ”を撮らせて、ABEMAの右に出る放送局はこの国に存在しない。こうした要素のほかにも、筆者もまだ把握しきれていないABEMAノウハウがあるはず。そのような点を含めて、“恋リアの総本山”の称号が相応しいと改めて思えるはずである。

モテのためなら、ロビー活動のキスも厭わず 視聴者をも騙す複雑な恋模様

 繰り返しにはなるが『ラブキン』の新しさはやはり、“モテ”をランキング化するところにある。概念として、この世に“形”で表れないモテを競い合うのがなにより俗世を生きる人間的だし、一回ごとのモテVOTEを終えるたび、暫定キング/クイーンが独断で好きなメンバーを選んで水着パーティを開催できるなど、オンエアでの言葉を借りれば「わかりやすく権力を持つ」のも面白いことほかならない。

 見どころでいえば、人の心を騙す“頭脳戦”が展開されること。現に、あかねが前述のインタビューで「女の子のあいだでも“これがこうだから、この子は投票で残るよね”なんて話していたし、自分が獲得できそうな票数も計算していました」と明かした通り。全員が全員そうではないとはいえ、“大人の恋リア”は頭を使わされる。騙していたと思っていたのに、実は相手に騙されていた、なんて状況は、第三者として“神の視点”を持つ視聴者ですら少ないとは言えない。

 また“大人の恋リア”繋がりで語るならば、男女での友情イッキならぬテキーラの“ラブショット”があったり、ロビー活動として気持ちのないキスが発生したり。大人な展開は、いつも急に訪れる。その裏で、けいいちが毎日のようにイベントごとに参加できず、宿泊先の“管理人”と化して不貞腐れる場面も観られるなど、緊張と緩和のバランスもまた見事だ。

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