般若が明かしたラッパーとしての覚悟 『警視庁麻薬取締課 MOGURA』が伝える“正義”とは何か?

『警視庁麻薬取締課 MOGURA』第5話

 ハルク(眞木蔵人)からの手紙を読んで、Born-D(吉村界人)を助けることを選んだ火薬(Jin Dogg)。そこで火薬は伊弉諾翔吉(般若)と一緒に隠された大麻畑へと向かう。大麻畑のあり方は伊弉諾はもちろん、「9門」のメンバーにすら伝えていなかったが、火薬はついに明かすことを決意した。到着したのは伊弉諾の息子が通っている焼川市立白丘小学校。その隔離された体育館が大麻畑の隠し場所だった。気になるのはどうやって小学校に潜入したのかというところだが、元校長と繋がりがあったカタビラ(Mummy-D)が栽培を始めたという。

 そこにBorn-Dたちを連れてやってくる「9門」のメンバーたち。一面に広がる大麻畑に興奮するBorn-Dだが、そこで火薬は「お前のこと助けてやろうと思ってな」と伝える。しかし、これだけの大麻畑を自らの懐に収めていた火薬に対して、Born-Dの怒りは収まらない。一触即発の中、2人を止めたのは伊弉諾だった。カタビラの願いは火薬とBorn-Dにこの街のヒップホップを引っ張ってもらうこと。ただそれだけだった。伊弉諾の言うように闘うべき相手は、目の前ではなく、裏で暗躍している安堂だ。

 ここで初めて「9門」と「REDHEAD」が共通の目的のために手を組む。火薬から「REDHEAD」のメンバーである波川(葛飾心)がMOGURAであり、自分を犯人に仕立て上げようと動いていたことを伝えられ激昂するBorn-D。仲間を大切にするラッパーにとって、仲間から裏切られた事実は何よりも辛いものだ。手に持っていた銃こそ波川相手には向けなかったが、やりきれない悲しみが吉村界人の表情からも伝わってきた。

 傷つけ合って殺し合った先に何があるのか。それは果てしない孤独であると。それこそ、カタビラから火薬が伝えられたことだった。「喧嘩すんのやめねえか?」とBorn-Dに歩み寄る火薬。Born-Dからの返事はなかったが、大麻を吸い合う、その行動がBorn-Dの肯定だったように思う。

 安堂の悪事を暴くべく結託する「9門」と「REDHEAD」。だが、時を同じくして安堂から校内放送で呼び出される。大麻畑へと集まると、そこには安堂とその手下が待ち受けていた。火薬にとって、大麻畑は誇り。無情にも安堂は火薬が大切に育ててきた大麻を刈り取っていく。そこに待ったをかけたのが、伊弉諾だ。ラップを通して、自らが警察であり、MOGURAであることを明かす伊弉諾。だが、どちらが本当の悪なのかは伊弉諾が誰よりも理解していた。

 しかし、安堂は伊弉諾の息子を盾に使って、伊弉諾を脅迫する。伊弉諾は「俺はラッパーだ」と声を上げ安堂と闘う。誰かが作った正義に乗っかるのではない、自分が正しいと思ったことを信じていく。それが、伊弉諾が出した答えだった。

 安堂に銃口を向けたその時、高橋が撃った銃弾が伊弉諾の右肩に当たってしまう。どれが本当の正義なのか、何が正しい行いなのか。最終話でどう物語が終息していくのか、最後まで伊弉諾の覚悟を見届けたい。

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