綿密に練られたストーリーと“推し”によって、鋭利な刃を心にブッ刺された話

“推し”によって「刃を心にブッ刺された」話

 リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。

 第51回は、1月からリアルサウンドテックの副編集長を拝命したゲーム担当・片村がお送りします。

※本稿は『ヘブンバーンズレッド』メインストーリー五章前編までのネタバレを含みます。

 リアルサウンドテックでは12月29日に「ゲームクリエイターの創作ファイル」という連載企画にて、麻枝 准さんのインタビュー記事を掲載しました。自分が立ち上げた連載でもあり、取材にも同席させていただいたのですが、インタビュー中から非常に面白いお話のオンパレードでした。もちろん記事も非常に面白いのでぜひご一読を。

考えるのは常に「鋭利な刃を心にブッ刺す」こと “泣きゲー”のパイオニア・麻枝 准が貫く創作の信念

リアルサウンドテックの連載「ゲームクリエイターの創作ファイル」では、“ゲーム作り”にフォーカスしてクリエイターたちにインタビュー…

 今回のインタビュー企画が立ち上がったころから、メインストーリー途中で止まってしまっていた『ヘブンバーンズレッド』の攻略を再開。掲載を前に(というか取材直後から)「麻枝さんの作品をもっと知りたい」という意欲が高まり、さらにスピードを速めて、ここまでになんとか5章前編の途中まで進んでいます。

 サービス開始当初はバトルの難易度が高く、未知の生命体キャンサーとの戦いに作中の茅森月歌たちセラフ部隊以上にヒリヒリする感覚を味わっていた(そして一章を終えて挫折していた)のですが、幸いにして約2年半の歳月のなかでさまざまな新スタイルが実装され、攻略の難易度は緩和。特にミッション報酬で選択取得したSSスタイル蒼井えりか(ココロ・Inspire)の無敵&ヘイト集中が優秀すぎて、一気にストーリーを進めていきました。

 二章を順調に進めていくと、蒼井のキャラクター性にも惹かれ、気付けば本作における“推し”に。既プレイの方はもう理解されたかと思いますが、このストーリーが巧妙な罠(良い意味で)。二章クライマックスで「出撃不可? ああ、特別枠で登場するのか!」とワクワクしていた感情を破壊され、勢いのまま蒼井関連イベントをプレイし、「Dance! Dance! Dance!」と「Goodbye Innocence」が脳内を無限ループするようなっていました。

 これこそ、まさに麻枝さんがインタビューでおっしゃっていた「鋭利な刃を心にブッ刺す」ということなのだと思います。いまも心に刺さった刃が抜けない。その瞬間は衝撃に打ちひしがれても、ある意味で心地良い“刺さり方”なんです。

 この後もさまざまなキャラがそれぞれの理由・事情で一時的に、あるいは恒久的に離脱していくわけですが、離脱前のキャラクターの見せ方、感情の動き方、思いをぶちまけるタイミングなどが、本当に綿密に練られています。ヘブバンはRPGですが、ストーリーパートはビジュアルノベルに近く、茅森月歌が所属する31Aを中心としつつ、多くのキャラが入り乱れる群像劇を過不足なく見せてくれる。誰もが“終わり”を意識させられる世界において、少しでも良い未来に向けてあがく物語を、厳しい戦闘を切り抜けてでも見たいと思わせてくれるのが『ヘブバン』なのだと思い知らされました。

 そんなことを言っていますが、筆者は三章途中から頼り切っていた新SSスタイル茅森月歌(白き華の歌姫)が一時離脱したことにより、ストーリーの攻略が完全に失速しています。あの歌姫は人をダメにするスタイルだ……と言っていても始まらないので、しっかりバトルを研究して攻略し、彼女たちの物語の続きを目に焼き付けたいと思います。そして、3周年に向けてアドミラルSS蒼井えりか(ヒビケ・Battlecry)のピックアップ、待ってます。

『ヘブンバーンズレッド』 を2章と言わず、4章までやってくれ

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