東京オートサロンに見た“100年に一度の自動車業界大変革期”の最新事情 著名人とのコラボ車も多数登場

自動車業界大変革期の最新事情

 産業革命を経て移動手段が馬車から自動車にと変わったように今、自動車業界も大きな変革期を迎えている。テクノロジーの進化により 内燃機関だけでなくバッテリー駆動のEVや、またエンターテイメント要素も重視され、それまでクルマに携わっていなかった業界も参入。まさに戦国時代さながらの領土(シェア)争いを展開している。そんな業界の最前線を『東京オートサロン 2025』で確認してきた。

スポーティEVが熱い!

 オートサロンといえばアメリカのSEMAと並ぶカスタムカーの祭典。以前はアフターパーツはメーカーメインの展示が多かったが、最近では自動車メーカーのスポーティモデルが多く出展されるようになった。ある意味、展示車両の変遷も変革期のひとつの現象とも言える。

 自動車業界100年に一度の変革期と位置付けられる昨今、動力の変化は皆様の知られるところだろう。それはモーター駆動によるEVの普及。一言でEVといっても内燃機関を搭載するハイブリッドや、ハイブリッドでありながらも外部充電を可能にしたPHEV、まったく内燃機関を搭載しないBEVと数は多い。またBEVの普及によって意外なところにも影響が出ているのだ。それは土鍋などにも使われる「粘土」。この粘土、ペタライトという鉱物が主成分なのだが、その中にリチウムが含まれる。BEVのバッテリーに使われるものだ。世界ではこのペタライトの争奪戦も行われているという。

 さて、オートサロンでは生粋のBEVメーカー2社がブースを構えていた。ひとつは韓国のヒョンデ。同社の車は2022-2023のインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたこともある実力派ブランドでもある。内燃機関と違い、モーターを使うEVで個性、いやスポーツ性を打ち出すためにハンドリングにこだわった「アイオニック5 N DKエディション」装着車を初公開。DKはドリキンの愛称で知られる土屋圭市氏に由来する。また車名のNはヒョンデの高性能ブランドを表す。

 デモランも行われ、アイオニック5Nのユニットをそのまま使いながらショートホイールベース仕様にしたテスト車両RN24が登場。同車は軽量化のためボディパネルを持たないスパルタンモデルで世界ラリー選手権(WRC)でのクルマ作りに直結している。

 もう一つは中国のBEVメーカー、BYD。同ブースでは今年導入予定のシーライオン7を参考出品している。

 さらにEVカテゴリーでくくるならば、日産ブースで往年の名車の誉れ高い日産スカイラインGT-R(R32型)をEVにコンバートしたモデルを展示。開発陣曰く「ガソリン車の魅力をEVで表現したデジタルリマスター版」とのこと。パワーユニットは前後に1基ずつ217.5PS/340Nmのモーターを搭載する4WD。残念ながらミッションは5MTではないが、擬似変速を味わえるという。デジタルリマスターを謳うだけあり、専用のサウンドシステムからはGT-Rの内燃機関のRB26型直6ツインターボのアイドリング音やブリッピング音、変速時のエンジン音を再現。

スペシャリティクーペの復活

 今回のオートサロンの目玉の一つでもあるのがHONDAブースのプレリュードだ。動力こそエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドだが、同社の統合地域本部日本総括部の高倉記行氏曰く「電動化時代でも操る喜びを感じられるスペシャリティハイブリッドスポーツで、ハイブリッドシステムの圧倒的な燃費の良さに加え、大出力モーターによる上質で爽快な走りを実現。また五感に訴えかける新システムとして、『Honda S+Shift』を初搭載しました。これはエンジン回転数に応じた迫力あるサウンドとともに、ドライバーの高揚感をかき立て、鋭いシフトフィーリングを実現。クルマとの一体感を増幅するホンダハイブリッドシステムならではの新しい制御です」と説明。

 またオートサロンらしく、展示された個体は2023年に発表されたプロトタイプにエアロパーツを装着したカスタマイズモデルになっている。

純内燃機関搭載の新型モデルも登場

 2023年3月にはEUでの二酸化炭素と水素を合成して作る液体燃料「e-fuel」と呼ばれる合成燃料が認められた。上記のe-fuelは当然その燃料を使う(燃焼する)とCO2が排出されるが、生産時に出るCO2を原料に燃料を作るため事実上のカーボンニュートラルを達成可能とされている。

 これを受け、純ガソリンエンジン搭載モデルも日本初公開された。それはVWのゴルフR/ゴルフRヴァリアントだ。8世代目のゴルフをベースに内外装のアップデートを施したクルマだ。エンジンは333PSを誇り、全輪駆動技術4MOTIONが組み合わされることであらゆる状況でも安定した走りを可能にするという。

 100年に一度の変革期と謳われる自動車産業、まだまだ目を離せない。

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