“沼男”横浜流星が放つ危険な香り ミステリアスな横顔に惹かれてしまう『わかっていても the shapes of love』1~3話
#3 踏み出してはいけないとわかっていても
「香坂先生はなんのために作っているんですか?」とまっすぐに聞けてしまう美羽は、やはり自分に素直に生きてきたのだろう。もともと自分の感情を出すことに対して怖がるようなことはなかったのだ。出した結果、傷ついた経験が少しだけ彼女を縛っていただけ。真面目だからこそ相手の言葉をすべて受け止めてしまっていたが、きっといろいろなタイプの人と接する機会が増えていくにつれて、誰の言葉をどこまで受け止めていくべきかを判断する力が身につくはず。そして、きっともっと柔軟に生きていけるはずだ。
その証拠に、漣と過ごす時間が増えるたびに、自分の気持ちを伝える勇気を持っていく。「蝶が見たい」とは、漣の部屋に行きたいという意味でもあるし、漣の心の中に飛び込みたいという意思表明にも聞こえた。だが、漣は自分の内面を知られることを極端に避けているように見える。だから、何を質問してもいつもはぐらかすようなことばかり。ベッドに腰掛け、美羽と結ばれたいという気持ちも、決して言葉にはしない。本当に伝わってほしいことは目を見つめて訴えるのだ。
きっとこういうところが漣を「沼男」と言われる理由なのだろう。漣は何も言わない。だから、美羽は漣の気持ちを探り、無意識に彼の望む行動をしたいと願い、そして何か発展してもすべて自分の意志で動いたものだと感じる。それをズルい人だと感じて去っていくならば、漣は追わないのだろう。そんな予感がするから、漣の部屋に出入りしている他に女性がいるのではと思われるイヤリングを見つけても、美羽は何も聞くことができない。
漣と曖昧な関係になった美羽が、「これ以上踏み込んでいい相手なのかわからなくて。普通に付き合うとか、あの人にそういう概念があるのか」と川瀬咲(朝倉あき)に相談したのも、一種の無邪気さ。咲は美羽と同じように真面目なタイプだ。それゆえに、自分の芸術家としての才能を信じきれず、堅実に就職した人でもある。そんな冒険できない自分を解放してくれる吉野愛実(夏子)の存在が、徐々に特別に感じていたとこりだった。もちろん、そんな咲の葛藤に美羽は気づかない。
「普通って何?」「普通の恋なんてさ、ないんじゃないかな」という咲はどこか自分自身に言い聞かせているようにも見えた。そして「美羽ってさ、当たり前のように普通って言葉使うよね。普通がすっごく難しい人もいるんだよ」と語りかけた咲の言葉に、漣の寂しげな瞳を思い出す。特別と言われる人は、むしろ普通でいられないから特別なのかもしれない。「普通の恋」なんて言葉に収まらないのが、リアルな恋。ならば、より一層踏み出さなければ始まらない。そう気づいた美羽、颯、そして咲が、それぞれ相手の心に一歩踏み込もうとする。
しかし美羽の前には、漣の家から出てくる今井千輝(鳴海唯)の姿が。また、颯と酔った勢いで結ばれた夜のことをなかったことにしようとおどける光莉。そして、ここぞというときに無難な道を選んでしまう咲。漣と千輝の関係とは一体なんなのか。#1で「漣の1年、私に頂戴」と問いかけていたあの声の正体だろうか? 颯の真剣な告白に光莉はどんな答えを出すのか。そして、リスクのない選択をしているがゆえに苦しい時間を過ごしている咲が、自分に素直になることができるのか。それぞれに動き出した恋が、彼らの心の奥底にある本音を掘り起こしていく。
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