福原遥が『透明なわたしたち』で炙り出す“人間の本質” 善意の暴走を表現した演技力
2011年放送のNHK連続テレビ小説『おひさま』で主演の井上真央に感銘を受けて朝ドラヒロインを志し、その11年後に二千人以上が応募した『舞いあがれ!』のオーディションでヒロイン役を見事勝ち取った福原。彼女が好演する、さまざまな困難に見舞われながらも空を飛ぶ夢に向かって突き進むひたむきなヒロイン像はお茶の間に元気を与えた。同作をはじめ、福原は岩のように固い意志を持った役を演じることが多い。そして福原自身も柔らかい印象のなかにしなやかな強さを感じさせるため、そういう役がよく似合う。
今回演じる碧も強い意志を持って事件の真相を追っていくが、これまで福原が演じてきたような純粋に応援できる主人公ではない。彼女が持つ、自分の言葉で世の中に真実を伝えたいという正義感は、ときに誰かを傷つける刃物になることを多くの人は知っているからだ。さらには碧の場合、他者に価値ある人間として認められたいという承認欲求と正義感とが混在しており、そのことに無自覚なまま突き進んだ結果、他人を傷つけてしまう。自暴自棄になり、恋人がいるにもかかわらず、高校時代に憧れだった人となし崩し的に一夜を共にする碧。その危うさにハラハラしながらも、どこか共感せずにいられないキャラクターになっているのは福原の清濁併せ持つ演技の功績だ。自分の中にある善と悪の間で絶えず揺れ動きながら生きる人間の本質をまざまざと突きつけてくる。
最終話では、ついに渋谷の無差別刺傷事件を起こした同級生と対峙する碧。なぜ彼が凶悪犯になったのかという真相はもちろんのこと、自分が過去に起こした間違いのせいで、ひとりの人生を狂わせてしまった碧がその罪にどう向き合うのかにも注目だ。
福原遥、トー横キッズと対峙 報道と異なる“無差別傷害事件の犯人像”『透明なわたしたち』5話
福原遥が主演を務めるABEMA連続ドラマ『透明なわたしたち』が2024年9月16日からスタートした。同作はゴシップ週刊誌ライター…