履き替え不要でオールシーズン使える! ダンロップの二刀流タイヤ『シンクロウェザー』驚異のテクノロジー

冬季でも驚きのグリップ力

 場所は2月の北海道テストコース。ここでSWの試走会が開かれた。SWの比較として純スタッドレスタイヤのウィンターマックス02(以下WM02)、従来のオールシーズンタイヤ、マックスAS1(以下AS1)。

 テストコースでは氷上停止状態から30km/hまで加速し完全停止する発進停止テスト、同じく氷上での定常旋回を行う旋回テスト、圧雪路で50/h前後でのコーナリング、その後加速し、緊急回避を想定したパイロンスラロームといった内容。テスト車両はカローラツーリングでタイヤサイズは195/65R15。基準となりそうなWM02でコースイン。当日の気温は高めでマイナス2度から0度付近。この氷と水の境目を行ったり来たりし、溶けた水が氷の上に乗りより滑りやすくなる一番滑りやすいコンディション。余談だがマイナス20度を超えると夏タイヤでも大丈夫という。

 さて、氷上の発進だ。WM02でさえ空転、加速を繰り返し目印でフルブレーキ。ABSが介入しつつも時折グリップの戻る感触で停止。驚いたのはSWだ。WM02とほぼ同じフィーリングで制動距離もほとんど変わらなかった。AS1は空転時間の方が多く30km/hまで加速できたかも疑わしいほど。もちろん制動距離はAS1が一番長かった。スケートリンクのような氷上の旋回ではWM02もSWも15km/h付近でも外へ膨らんでいく。しかしSWが一番コントロールしやすかったのはびっくり。AS1は修正舵を余儀なくされた。圧雪のコーナリングは大差ない印象だったがSWは若干タイヤの柔らかさを感じた。パイロンスラロームも同様で、初期の応答性はWM02が一番わかりやすい。AS1は想定のラインよりも膨らんでしまったが大きく修正する必要はなかった。メーカーいわく「SWはスタッドレスの限界性能と比較するとやや劣る」そうだが、筆者はこれがWM02と言われれば信じてしまいそうなほど。

もちろん猛暑の夏でも使えるタイヤ

 オールシーズンタイヤやスタッドレスタイヤは夏の路面では制動距離やウェット面で気を使う必要がある。SWを夏のテストコースで体験してきたら、そんな思い込みを覆すものだった。テスト車両は冬と同じカローラツーリング。タイヤサイズも同じ。テストは水のまかれた路面を旋回するスキッドパッド、左右異なるRで結ばれる楕円形の高速コース(片道はパイロンスラローム付)、きついカーブが連続する走安路となっている。SWの比較用として用意されたのは夏タイヤのルマンV+(以下5+)、WM02。高速コースではWM02のロードノイズが気になったが吸音スポンジを採用する5+と比較するのは酷だろう。SWはあれほどの冬季性能を持ちながらもかなり静かだった。また路面の荒い場所ではタイヤの柔らかさが乗り心地に貢献していた。

 一番気になるウェット性能はかなり高い。わざと挙動の乱れるような操作をしてみたがクルマの姿勢は安定傾向。想定のラインよりも少し膨らんだが、それは5+と同じ範疇だった。正直この結果には驚いた。WM02は他よりも10km/h以上低い速度で、すぐにクルマの姿勢制御システムが介入する。走安路では5+のグリップ力が光るがSWも負けてはいない。オールシーズンタイヤながらこれだけのウェット、グリップ性能に恐れ入る次第。

一般道でも汎用性の高さは健在

 上記はテストコース内での感触だが、実は冬も夏も公道での試乗が叶った。車種はAWDのメルセデス・ベンツGLC。タイヤサイズは235/60R18。人気のSUVカテゴリーは重量がかさばるモデルが多くテストコースで感じたタイヤの柔らかさがどうなるのかと、静粛性に定評のあるクルマでの室内の快適性を確認。

 まずは冬から。圧雪の綺麗なテストコースと違い、一般道ではわだちがあったり加減速で磨かれアイスバーン化した路面があったりするが、SWは快適で心強いドライビングを提供してくれた。GLCではテストコースで感じたタイヤの柔らかさを感じることはなく、ラフな操作でもクルマの挙動は乱れることもなかった。また歩行者、先行車、後続車がいないことを確認し、安全を再確認してから意地悪く加減速してみたが終始安定傾向。正直スタッドレスタイヤ並の性能に舌を巻いた。

 夏場も同じく、GLCで一般道での試走体験が叶った。コースで感じたタイヤの柔らかさの心配は皆無。車重のかさばるクルマをしっかり支えるどころか、街乗りで硬い傾向のあるメルセデスも快適な乗り心地に感じる。さらに路面からのインフォメーションにも優れ、ステアリングやシート越しに正確に伝わってくる。それはワインディングに入っても印象は変わらず。夏タイヤと言われたら信じてしまいそうだ。

ついに登場したタイヤの万能選手

 上記のように限られた時間だったが、ダンロップが新世代と謳うオールシーズンタイヤを試すことができた。確かに都市部ではこれ1本で十分な性能だと思った。履き替える煩わしさもその時間、保管場所も必要がない。またSWにはスノーフレークマークが刻印されている。このマークは一部区間は別だが、高速道路などのチェーン規制時でも走行可能。さらにオールシーズンタイヤとしては初となる国連規定で定められたアイスグリップシンボルも取得している。もちろんアイスバーンはどんなクルマでもどんなタイヤでも過信は禁物だが。

 購入を考えた場合、SWは商品特徴が従来品と異なるため、しばらくは専門の知識を持った住友ゴム認定店のみの取り扱いとなる。まずはそこで相談してみるのが王道。当初販売されるサイズは15インチから19インチまでの全40種で、その価格は175/65R18の2万1450円から245/40R18の6万9630円。2025年度からは14インチから20インチクラスまでラインナップが拡充予定だ。最後に耐摩耗性だがメーカー曰く、通常の使用であれば冬を3シーズン迎えられるという。まさにSWは投打揃った万能選手なのだ。(写真提供・ダンロップ)

●商品情報
ダンロップ
https://tyre.dunlop.co.jp/

シンクロウェザー
https://tyre.dunlop.co.jp/special/synchroweather/
問い合わせ:0120-39-2788

“100年に1度の大変革期”を迎える自動車業界を「EV」と「アウディ」の2つから考える

アウディを始めとする著名な自動車メーカーが、2026年以降の全新モデルを電気自動車にするなど、自動車産業における電動化の波が加速…

関連記事