令和ロマン・髙比良くるま「M-1連覇のチャンスを逃したくない」 放送作家・白武ときおに語った“若き王者の悩み”

髙比良くるまが語った“若き王者の悩み”

テレビで生き残れる天才じゃない くるまが考える“テレビとYouTubeの違い”

白武:くるまくんは、まわりと一緒に楽しくやりたいと。ケムリさんはテレビスターになりたいって言ってるのを見たことがあって。テレビスターになっていく令和ロマンも見てみたいですけどね。

くるま:ケムリはYouTubeやTikTokが伸びて成功しているんだから、それでいいんじゃないかと思うんですけどね。でも、世代的にやっぱりすごかったテレビの印象を強く持っているから、テレビでチヤホヤされることこそが、ケムリにとってマックスの状態なんですよ。

 ただ、そのチャレンジは難しいと思うんですよ。ネットで注目されて出るドーパミンを知っちゃってたら、抜け出せないと思うから。目に見えて数字が出て、お金がもらえる状況からは抜け出すのが難しい。

 それにいまのテレビって、マジで天才しか出てないじゃないですか! 本当に才能があって意志が強い、成功するんだって思ってやり続けられるスターしかいないから、俺だったらなれないし。

白武:くるまくんも、なれるチャンスはありますよね?

くるま:いやいや、なれないですよ! 俺は同じことを続けられないから。とにかく「面白くなりたい!」としか思わないし、スターになりたいとかではないし。

白武:じゃあたとえば、4月からフジテレビの深夜番組をやることになって、好きな人を呼んでやりましょうとなったとする。それを5年、10年続けましょうっていうのは?

くるま:正直、続かないことがわかっちゃってますし。リアルな話、俺のいまのポジションと経歴に対して動いてくれるスタッフとか、出てくれる演者とか、バランスを考えたときにもう無理なんですよ。いまのテレビで生き残れるクオリティに達しないから。

 それは『M-1』の前からちょこちょこ見てきて、誰が面白いとか、どこでなにをやってこうなるとか、全体像を掴めてるから、別にもう無理なのはわかってますし。

白武:でも、奇跡があるわけですよ。

くるま:そうそう。その奇跡を信じられる人はテレビを目指すと思うんですけど、俺はそうじゃないんですよ。だから着実に積み重ねられるYouTubeとか劇場、『M-1』とかが好きなんですよ。だってテレビって、奇跡待ちじゃないですか。無名ギャルタレントが爆跳ねするかもしれない、とか。

白武:たとえば『キョコロヒー』(テレビ朝日)のように、齊藤京子さんとヒコロヒーさんの組み合わせが面白くて評判になるとか。こないだやっていた『令和ロマンの娯楽がたり』(テレビ朝日)もくるまくんの分析芸とか、キャラを見つけたり育ててもらえる番組になっていくかもしれない。だから近いうちでもフィットする番組がありえるんじゃないかなって。

くるま:あると思いますよ。そういう居場所は作りたいなとは思いますし。だから別にテレビを諦めているわけじゃないし、出たくないわけじゃなくて。

 でもたとえばYouTubeとか自分のものの数字とか伸ばしていって、じゃあテレビでこういうのもやりませんか……みたいに、積み上げてから出るものだと思ってるんですよ。

白武:今も十分、積み上がっているものがあるはず。

くるま:そもそも自分がどうなりたいかにあんまり興味がないから「信頼のある場所で得意なことをやったほうが魅力が伝わるじゃん」とか言われても「そうなんだ〜」と思うだけなんですよね。

 それに俺の仕事は、自分が前に出るというよりは、自分の視点でなにかを繋ぐこととかだと思ってるんですよ。YouTuberと芸人とか、世代の違う人同士が話すとか、それをライブで繋ぐとか。だからテレビ自体は魅力的ですけど、自分の仕事があるので。

 テレビに関しては、スケジュール的にもいまは特に厳しいのもありますし。拘束時間が長いし、こうやらなきゃいけないとかもあるから、ただ「できなくて残念〜」って感じです。

白武:いまはやりたいことが他にあるからってことだもんね。くるまくんが初めて掘っていく“おもしろ”があると思うから楽しみです。お笑いの世界で結果を出したくるまくんが、どうその枠の外側と接していくのかを見ていきたい。

くるま:でもなんか、わかんないです。自分の存在より大きすぎるものの話だし、そんな難しいことまで考えてないんですけどね。テレビに関してはとにかくみんなが楽しそうにしてるから、邪魔したくないって気持ちが大きいんですよ。

 だってもう、みんな楽しくやってるじゃないですか。テレビは。俺、人の番組を観るのとかめっちゃ好きで、それでもう満足しちゃうんですよね。それを観ていたいだけで、自分はあんまりそこに関わりたいとは思わないんです。

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