吉住が“教祖”と担がれるラジオで大切にしていること 「本来の私が出てきただけ」

吉住がラジオで大切にしていること

 お笑いラジオアプリ「GERA」。 数ある地上波ラジオや音声配信アプリの中でも珍しい、お笑い芸人に特化したラジオアプリとして2019年に始まり、終了した番組を含めれば100組を超える芸人が登場してきた。

 『吉住の聞かん坊な煩悩ガール』(通称、『煩悩ガール』)を担当する吉住は、2020年に『THE W』で優勝した数ヶ月後から番組を開始した。

 ただの「あるある」ではなく、ちょっと変わっていたり、クセのある人間を演じる一人コントを強みとする吉住は、その設定の独特さだけでなく、まるで誰かが憑依しているかのように見えるほどの抜群の演技力も魅力だ。

 しかし、コントには緻密に練られた台本がある。吉住は、台本のないトークをしたり、自身の感情を出すことに苦手意識を持っていた。そんな彼女に解放のきっかけをもたらしたのが『煩悩ガール』だった。

 吉住を解放へ導いたのは、番組のリスナーだけでなく、放送作家として伴走するガッテン森枝(元 エレファントジョン)の存在が大きい。『煩悩ガール』は吉住のひとりしゃべりだけでなく、森枝の絶妙なアシストによって成立している。

 そんな二人三脚ラジオのこれまでとその魅力、今後やりたいことなどについて、吉住と森枝に話を聞いた。

大事なのは吉住がストレスを感じないこと

――おふたりは普段、どのようにコミュニケーションを取りながら番組を作ってきたのですか?

吉住

吉住:基本的に森枝さんがコーナー企画やメール募集のテーマを考えてくださっています。それらを考えるときに、どんな内容であれば私が話しやすいかを聞いてくださる形ですね。

森枝:吉住さんがやりやすいように、できるだけストレスがないように続けられることを一番に考えているので。

吉住:『煩悩ガール』が始まる前、担当作家さんを決めるときに、私は「絶対に森枝さんでお願いします」と強く希望しまして。

森枝:(笑)。

吉住:森枝さんには普段から、事務所のライブでMCを見て意見をいただいたり、ネタを見ていただいたりしていたので、「私がもしラジオをやるなら、作家として入っていただくのは絶対に森枝さんしかいない」と思っていたんです。

――森枝さんはそのように言われたとき、どう思いましたか?

森枝:「一緒にやりたい」と思っていただけることが、純粋に嬉しかったです。ただ、しょっちゅうごはんを食べに行くような関係性ではなかったですし、吉住さんのことを当時から深く知っていたかというとそうではありませんでした。

 「デリケートな人なんだろう」とは思っていたけど、なにに傷ついてしまうか分からない。かといって自分が気にしすぎて「気にされているな」と思われてしまうのも違う。だから、吉住さんを理解しようと思いつつ、暑苦しくならないよう気をつけていましたね。

――吉住さんは、ご自身のラジオパーソナリティとしての成長は感じますか?

吉住:あんまりないですね。全然タイムキープとかできないから、毎回森枝さんにタイトルコールの指示を紙で出されるし。

ガッテン森枝

森枝:たしかにそういうところは全然成長してないね(笑)。「これくらいメールが来てるんですよ」とか普通に僕に見せてくるし。それじゃリスナーに伝わらないのに。

吉住:いつも「森枝さんが言ってくれるだろう」と甘えているのかもしれません。私が言って伝わらないことは全部森枝さんが補完してくれるだろうと。

森枝:それがいけないのか。

――森枝さんは、吉住さんを甘やかしたいわけではないんですか?

森枝:甘やかしたいわけではないですね。ただ、とにかく吉住さんが過ごしやすい状態を作りたい。吉住さんが嫌だと思うことだけはしたくないし、言いません。いや、これは甘やかしなのか?

吉住:ありがたいですね。

森枝:でも本当に、吉住さんが過ごしやすくて、嫌なことがひとつもないことが、この番組において一番大切なことだと僕は思っています。実際、それが番組の良さになっていると思いますし。

吉住:自由にやっているけど、今のところ怒られたことはないですしね。

――ラジオという場があることによって、テレビで話すことへの抵抗は減っていきましたか?

吉住:『THE W』で優勝して、テレビなどでエピソードトークをすることが増えましたけど、コンパクトにまとめなきゃならないから、うまく真意が伝わらなかったと悩むことが多かったんです。

 でもラジオでそのときのことを詳しく話せるから、リスナーさんは真意をわかってくれる。だから『煩悩ガール』がなければ乗り越えられていなかったと感じる時期はありますね。

――他の番組を担当されている芸人さんにお話を伺うと、先輩芸人さんのラジオへの憧れを話される方が多いですが、吉住さんにはそういったご経験はありませんか?

吉住:ないですね。学生時代にラジオを聴いていたわけでもありませんし。あ、でも、最近はもっぱら、永田敬介さんのラジオを聴いています。『煩悩ガール』を始めることになってから他の芸人さんのラジオを聴くようになったんですけど、自分がいざラジオで話してみたら、うまくできなくて。

 それで悩んでいた時期もありますけど、違うところが良いと言ってもらえることが増えたので、「できることをやっていこう」と思えるようになりましたね。人とかぶっても仕方がないですし。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる