2023年度はSNS激動の時代 『X』の変貌で注目される次世代SNSについての一考察
2023年はSNSにとって激動の年になっている。
2023年2月、Z世代を中心に人気だった位置情報共有アプリ『Zenly』がサービスを終了した。Zenlyに問題があったわけではなく、『Zenly』を買収したSnapによる経営上の判断によるものだ。Snapは同社が運営するSnapchatのマップ機能『SnapMap』を使うように促していたが『Zenly』の後継を名乗るアプリが続々と登場し、状況は混乱した。
そして7月には、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が買収した『Twitter』が、突如『X』に名称を変更した。昨年10月の買収以降、突然の仕様変更がなされるたびにユーザーの不安が広がっていたが、ついに『Twitter』ブランドの終焉となった。マスク氏の買収以降、「次のTwitterはどこか」と様々なアプリが候補に挙がっている。
こうした騒ぎがなくとも、SNSの世界は動きが速い。あるサービスが急速に人気となり、あっという間に過疎化していくことも珍しくない。
新たなSNSの流行は、若者の注目から始まることが多い。彼らは面白いと感じたサービスにいち早く飛びつく。つまらなければすぐアンインストールする。お気に入りのサービスを見つけて楽しんでいても、やがて大人が参入してくると、彼らは新たな居場所を探して移動してしまう。
また、SNSと密着した生活を送っている一方で、「いいねに振り回される生活は嫌だ」「盛るのは疲れた」といった「SNS疲れ」を起こしている人も多い。
サブアカウントを作って親しい相手とだけやり取りしたり、匿名のSNSに注目が集まったりしているのも、こうした理由だろう。
Z世代に注目される位置情報共有や音声通話
このように、SNSを取り巻く状況は目まぐるしく変化しており、ユーザーの意識も変わっている。そこで、次世代SNSの候補を探るために、バイドゥが2023年1月にZ世代対象に行った「トレンド寸前!次世代SNS TOP10」を見ていこう。2023年1月といえば、Zenlyのサービス終了が間近に迫っており、X(旧Twitter)が買収されて間もない時期だ。アンケート対象の10〜24歳の男女が「次世代SNS」として選んだSNSの第1位は『NauNau』だ。
『NauNau』は位置情報共有アプリだ。地図上に繋がりあった友人たちの現在地が表示され、誰がどこにいるかをリアルタイムで知ることができる。位置情報共有アプリは、繋がっている安心感をもたらすだけでなく、今暇な人を一目瞭然で探せることがタイパ(タイムパフォーマンス)主義の若者に支持されている。
2位は『GRAVITY』。匿名性が高く、共通の趣味や価値観で繋がった人たちと楽しめるSNSだ。テキストや画像の投稿だけでなく、音声ルームで声での交流もできる。また、ユーザーの質問に答える形式でのチャットや、マッチした人と話す通話機能など、友達を増やせる仕組みもある。アカウントのフォロワー数が表示されず、拡散の機能もないため、SNS疲れしにくいのも特徴。
3位はアイディアを発見するための画像検索サービス『Pinterest』だ。次世代SNSとしてランクインしているが、サービス開始は2010年で、昔から多くのユーザーに指示されている。Z世代はトレンドをチェックする場所として利用している。
4位は音声SNS『Yay!』、5位には懐かしい『mixi』がランクインするなど、興味深い調査結果が紹介されている。詳細は「トレンド寸前!次世代SNS TOP10」を参照されたい。
しかし、この調査後にさらに大きな変動が起きている。それは、Metaのテキスト共有アプリ『Threads』の登場だ。『X』(旧『Twitter』)の最大のライバルとなりそうな『Threads』は、どう受け止められているのだろうか。そこで、緊急でリアルサウンドテックの読者にもアンケートを取ってみた。
『Threads』も含めてリアルサウンドテック読者に緊急アンケート
リアルサウンドテックの読者に「次世代SNSに関するアンケート」(集計期間2023/8/8〜2023/8/10 有効回答数72名)を行ったところ、現状に対する率直な思いが浮かび上がった。
まず『X』(旧『Twitter』)の大幅な仕様変更や回収についての満足度を伺ったところ、「大変満足している」「満足している」と回答した人の合計は22.2%、「どちらでもない」と回答した人は33.3%、「不満である」「大変不満である」と回答した人の合計は44.4%だった。Xの動きに不満を持っているユーザーがかなりの数に上っている。
続いて先の調査をふまえつつ、注目のSNSを5つ選定し、認知度を聞いた。取り上げたSNSは、『NauNau』、『BeReal』、『GRAVITY』、『Pinterest』、『Threads』だ。
すると、「詳しく知っている」「知っている」と回答されたSNS1位は、『Threads』(43人)だった。2位は『Pinterest』(33人)、3位は『GRAVITY』(22人)、4位は『BeReal』(13人)、5位は『NauNau』(7人)という結果となった。実際にスマホに入れているSNSに関しても『Threads』が1位で、続いて『Pinterest』、『GRAVITY』と続く。
『Threads』を使っている理由としては「流行っているから」「InstagramがTwitter対抗として出したから」、『Pinterest』は「イメージ収集のため」「アイディアを探すため」、『GRAVITY』は「他のSNSと比較して匿名性という点に惹かれた」「ちょっとした交流に良い」などが挙げられている。
続いて、次世代SNSに求めることを尋ねてみた。
・匿名で交流しやすいSNSがいい
・知らない人と繋がることは匿名でもデメリットしか感じないので安全性を重視してほしい
・誹謗中傷や犯罪への利用がない平和なSNS
・健全なSNSをずっと求めている(Xのコミュニティノートのような真偽を正す機 能が必要)
・精度が高いおすすめ、投稿の時系列表示、広告の有無の課金制など
・位置情報など個人情報が流出しないSNS
・トレンドや災害情報を検索しやすいSNS
匿名を望む声、匿名でも意味がないとする声があり、いずれにせよ安全面への関心の高さがうかがえる。また、誹謗中傷やスパムアカウントなどの詐欺行為にうんざりしている人も多く見られた。フィードやタイムラインには独自のアルゴリズムによって選ばれた他ユーザーの投稿が表示されるが、こちらに関しても要望や不満が多く見られ、おすすめや広告などの表示は不要だとする人、パーソナライズを精度高く行ってほしいという人が多かった。
根強い旧『Twitter』への愛、『Threads』の台頭なるか
アンケートの自由回答を見ていくと、旧『Twitter』をベースにして次世代SNSの機能を考えている読者が多く、旧『Twitter』への愛着や人気の高さを改めて実感した。
マスク氏は以前から、金融関連もカバーする「スーパーアプリ」の開発を目指しており、旧Twitterの買収はそれを加速するものとしている。
直近では、音声通話、ビデオ通話の両方をサポートすると『X』にポストしている。一方の『Threads』もリリース以降、新機能を次々にリリースしており、旧『Twitter』の代替、またはそれ以上のSNSになる気概を見せている。また『Threads』に続く、次世代SNSの動向も気になる所。
SNSユーザーがどのサービスに集まるのか、それとも用途別の使い分けが加速していくのか目が離せない。気になる方はチェックしてはいかがだろうか。
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