にじさんじ・えま★おうがすとが森中花咲に人生を救われた話 路頭に迷っていた状況からデビューを果たした彼女のこれまでとこれから
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。
育成プロジェクトであるバーチャル・タレント・アカデミー(VTA)からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与えるだろう。
“路頭に迷っていた”状況からにじさんじでデビュー
「お城(自宅)の台所に火がついてて、慌てて火を消しに行ったの。床には油がまかれていて、近くに弟がいたので『消さなきゃダメでしょ!』と怒った。ほぼ確定で弟が犯人なんだろうけども、逆ギレされ、殺害予告もされたからお城から逃げてきた」
これは、にじさんじに所属するライバーのひとり、えま★おうがすとが語ったデビュー前の身の上話だ。これまでさまざまなタレントがにじさんじからデビューしてきたが、以前の自分が何をしてきて、何を経験したか、というエピソードで彼女の体験談を超えるインパクトを持つものはなかなかないだろう。
その後友人宅を転々とする日々を送るなかで、5年以上の付き合いのあった友人、にじさんじ二期生(当時)・森中花咲の自宅にも住むことになったのだ。
「あたしがライバーとして活動しているのを唯一知っていた友人のひとりで、活動の相談とか愚痴とか、いろんな話を聞いてもらってた。彼女が路頭に迷っているときに『にじさんじに入ってみれば?』と声をかけていた」
「にじさんじを全然知らないし、“ミリしら”(※)をやってみよう!と思ってやってみて、森中に送り付けた」
「えまは生き方や人生が面白い。でもこのままだと夜の街に、歌舞伎町にいってしまうかもしれなかった」
(※ミリしら……「1ミリも知らない」の略である。その人が作品についてどれくらい知っているか?という状態を指す言葉だが、ここではアニメや漫画などの作品について一切の知識を持たない人が、登場人物の名前や設定を予想・当てる遊び・ゲームを話題にしている)
実際のオーディションでは「森中の友人」であることを隠して受け、見事に合格。彼女のデビュー配信は森中の自宅から配信され、デビュー直後から約4か月ほどのあいだは同居していたというのだから驚きだ。
なんともあわただしいデビューまでの道のりではあったが、2019年11月3日にルイス・キャミー、魔使マオとともに無事デビューを果たした。
丸顔、くりっとした瞳とタレ目ぎみの目じり、銀色の長髪、低身長かつロリータ寄りなビジュアル、ワインレッドのツノとボロボロのマント、そして紺色のスクール水着には「まおう」の胸名札。
その姿を元にして制作された3Dボディを使い、配信や動画ではスクール水着を着て元気よくふざけまわっている。
後年に周央サンゴとおこなった雑談配信では、「そもそも僕、スク水でこういうこと(配信活動)をしているというのを、友だちに知られたくない。変態だと思われるからね」と正直に話している。実際、デビュー後に製作された新規衣装では和装、大人の姿、シックな洋装、ネグリジェ姿や学ラン姿を披露している。
目立ちたいけども友人に見られるのは恥ずかしい、タレント業に付きまとう複雑な心境を抱えているあたり、やはり彼女も1人のインターネットタレントなのだと感じさせてくれる。
ちなみに、現在彼女のオフィシャルビジュアルは、ファンになじみ深いデビュー時のスクール水着姿から、黒とピンクを主体にしたガーリィなドレス姿へと変更されている。にじさんじファンならばぜひ覚えておくべきだ。