「再生数は選手の知名度に比例しない」 YouTubeチャンネル「パ・リーグTV」の運営責任者が語る“矜持”と“選手へのリスペクト”

「選手へのリスペクトを大前提に」  パ・リーグTVなりの矜持

――パ・リーグと言えば、ユニークなYouTubeチャンネルで有名です。試合が予定されている日のスケジュールを教えていただけないでしょうか?

園部:平日の場合は昼からは二軍戦もあるため、二軍戦の配信を対応しているスタッフは午前中から出社する人もいます。ナイター対応のスタッフは13~14時くらいに出社する人が多いです。試合開始までは「この選手が1000本安打を達成しそう」といったその日に起こりそうな記録、注目の対決などを確認して動画になりそうなネタを共有しておきます。

――試合中はどういったことをしているのでしょうか?

園部:その日の全試合を視聴しながら、YouTubeにアップする動画を編集、タイトル付け、サムネイル作成、概要欄の作成等各担当者に1つの動画がバトンのように渡っていく感じです。試合をチェックするスタッフを統括するディレクターがおり、ディレクターの指揮のもと業務が行われています。

――試合中のオフィス内はバタバタしていそうですね。

パシフィックリーグマーケティング株式会社の社内

園部:やはり「いつホームランが出るか」などはわかりませんし、好プレーが急に起きたりもしますのでせわしないです。また、交流戦ではパ・リーグ主催の試合が6試合行われることもあり、その日はかなり慌ただしくなります。

――ユニークな動画が多いですが、どのような基準でGOサインを出しているのですか?

園部:基本的にはディレクターがその判断をします。攻め過ぎた内容ですと、“選手をイジっている”構図になってしまうため、そういったリスペクトを欠くような動画は自重しています。一方、無難すぎる内容では面白くないため、そこのバランスは難しいです。ただ、スピード感が求められますので、吟味せずに「選手へのリスペクトを大前提に、ファンの方々にとって面白いと思ってもらえるであろうもの」という基準で判断しています。

――たしかに、悠長に考えている暇は無さそうですよね。

園部:たとえば、最近はそのもの自体が減りましたが乱闘などは取り上げません。乱闘の動画はファンの方々のニーズも一定あることは想定できますが、選手へのリスペクトの観点でそのような動画は制作しないようにしております。

プロ野球選手も熱狂するパ・リーグTV

――プロ野球を熱狂的に応援しているファンの方から苦情が寄せられることはあるのでしょうか?

園部:コメント欄はチェックするようにしていますが、苦情はあまりない印象です。一般視聴者ではないのですが、DMで現役のプロ野球選手から「今日活躍したのに何で取り上げてくれなかったんですか?」という問い合わせがありました。

――なぜその選手を取り上げなかったのですか?

園部:その選手は問い合わせが来た試合はたしかに素晴らしい活躍だったのですが、他の2試合ではその方以上にさらに活躍した選手がいたため、総合的な判断の結果、その選手を大きくは取り上げなかったいう背景がありました。

――実際にプロ野球選手にも楽しんでいる人がいるのは嬉しいですね。

社内にはパ・リーグ各球団のさまざまなグッズが飾られている

園部:はい。セ・リーグからパ・リーグに移籍した選手から「パ・リーグTVのチャンネル登録しました」と声をかけられたときも嬉しかったです。

――月曜日のような試合のない日は何をしていますか?

園部:土日に試合の業務にあたった人はお休みです。また、休みに関してですが、GWや夏季休暇などに大型連休が取れないので、シーズンオフにまとめて休む人も多いです。

――やはり、シーズンオフはシーズン中より比較的時間の余裕があるんでしょうか?

園部:シーズン中のように試合をチェックしながらバタバタすることは少ないです。ですが、ファン感謝デーやフェニックスリーグなど、プロ野球は1年を通して何かしらの動きがあります。シーズンオフも業務内容は変わりますが、業務の量自体はあまり違いはありません。

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