『ストリートファイター6』ヒットの要因は初心者でも味わえる“気持ちよさ”にあり? ドライブシステムが生み出す爽快感と展開の速さ
キャラの個性は必殺技や独自システムで打ち出す方向性に
ドライブシステムはパワーがあるため、どのキャラを使用してもそれなりに戦うことができ、比較的強いキャラクターはいるが、弱過ぎるキャラクターは現状では見受けられないのも本作の特徴だ。それでいて、各キャラクターがシステムに食われることなく、個性がしっかりと打ち出されており、それぞれで違った動きができるようになっている。
前作『ストリートファイターV』の固有システムである「Vシステム」はキャラクターごとに異なる能力を発動できるものだったが、その用途は主にコンボに組み込んで火力を伸ばすことであり、キャラ自体の立ち回りの個性を伸ばすようなものにはなっていなかった。ドライブシステムはこうした傾向をより割り切ったデザインとなっており、全キャラ共通のもので、ドライブラッシュの速さやキャンセルできる技がキャラによって異なるといった違いはあるものの、それ単体ではキャラクターの個性を伸ばす要素としては弱いといっていいだろう。
その代わりに、本作はキャラクターの個性をキャラ特有のシステムや必殺技を尖った性能にすることで明確にしている。たとえば、新キャラクターであるマノンはコマンド投げを決めるごとにメダルを獲得し、その威力が上昇していく。JPは飛び道具が中下段に打ち分けられ、飛び道具で相手を押さえつける能力が高い。既存のキャラクターでも、確定反撃がない突進技である「スーパー頭突き」を放てるエドモンド本田が話題になったように、従来のシリーズよりも強力な技を持って参戦している。
そのキャラの尖った部分を活かすにはドライブゲージを上手く使う必要があり、また、その使い方はキャラごとに異なってくる。たとえば、ジュリやDJは中距離からのドライブラッシュで一気に距離を詰める戦略が強く、リリーはドライブゲージを使用して必殺技の強化版が出せるオーバードライブ技を使用するのが有効となっている。こんな風に、ドライブシステムは、キャラクターの固有の動きと組み合わさることで、そのキャラの個性をより際立たせているというわけだ。
ほとんどの格闘ゲームがそうであるように、ランクマッチで見かけるキャラは使いやすいキャラが多く、テクニカルなキャラが少ない傾向にあるし、比較的弱いキャラはあまり見かけないが、それでも全てのキャラに強力な要素と個性があるのは本作の長所だろう。実際、筆者は全てのキャラクターを触ってみたが、どのキャラでも強みを活かせば勝つことができるし、動かしていて楽しめた。どのキャラも魅力的なので、未だにメインキャラが決まっていないほどだ。
自分の好きなキャラを使いやすいというのは、初心者・上級者問わずにプレイのモチベーションを上げてくれるので非常にありがたい。また、大会や配信でも色々なキャラが見られる可能性があり、強キャラ一辺倒ではないバラエティに富んだ試合の観戦が期待できる。
待ちのゲームにならないかは懸念
上述した通り、本作はドライブシステムによって展開の速い、攻撃的なゲームとなっており、キャラクターの個性も豊かで、プレイでも観戦でも楽しめるゲームとなっている。リリースから約1ヶ月間プレイしてみて、筆者がこれまでプレイした格闘ゲームの中でも、最も触りやすいと同時に、攻略しがいのある作品だと感じている。
もちろん、懸念点がないわけではない。全キャラクターが尖っているので、それだけキャラバランスの調整は難しいだろう。また、ランクが上がるほど、相手の攻撃に対処できる対応力が上がるので、一部のキャラクターの待ち戦略が強く感じてしまう。さらに、初心者向けの操作方法である「モダンシステム」は、ワンボタンで対空必殺技や切り返しのスーパーアーツを撃てるため、モダン操作の相手には攻めづらい。今後、キャラクターの対策や、モダン操作の研究が進めば、ゲームの核となるドライブシステムは攻撃的であるにもかかわらず、守りが強いゲームとなっていくかもしれない。
ともあれ、本作のポテンシャルはかなり高く、敷居の高いイメージのあった格闘ゲームも、多くの人が楽しみやすいものにしているのは間違いない。『ストリートファイターV』が2016年のリリースから7年もの間プレイされたことを考えると、本作とも長い付き合いになるだろう。だからこそ、今後の展開には期待したい。
『スト2』×RAGEBLUEのコラボTシャツ発売 「波動拳」「ヨガフレイム」など必殺技刺繍のデザインも
アダストリアが展開するRAGEBLUE(レイジブルー)は、カプコンの大人気対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』とのコラボT…