“海外展開を目指すならまずは日本から”  Vライバーユニット「武士来舞」の今後の戦略も明かされた「IVS2023 KYOTO」レポート

Vライバーの今後の戦略も明かされた「IVS2023 KYOTO」

 日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO」(以下、IVS)が、6月28〜30日の3日間、京都市勧業館みやこめっせ・ロームシアター京都にて開催された。

 会場内に用意された大小さまざまなステージでは、トークセッションや起業家たちによるピッチイベントが行われたほか、展示ブースでは各々が自社サービスをアピールしており、場内は活気に満ちていた。

 本記事では、イベント初日の28日の様子を、IVSの企業パートナーである17LIVE株式会社(以下、イチナナ)にフォーカスしてレポートする。

Vライバーとのコミュニケーションはよりインタラクティブに

 まずはじめに、我々はイチナナの企業ブースを訪れた。同ブースでは「イチナナVライバーとおしゃべり体験イベント」が展開されており、Vライバー(バーチャル配信者)の紅咲るう(くれさきるう)が出迎えてくれた。通常、Vライバーとのコミュニケーションツールは、コメントなどのテキストベースであることが多い中、このブースでは直接会話をすることができる。

 こちらが軽くあいさつをすると、紅咲は「こんにちは!」と元気よく答えてくれた。ディスプレイに付属したカメラでこちらの様子を見ることができるだけでなく会場内を動き回ることも可能だという。

 ブース前を通りかかった来場者から「本物なの?それともAI?」と声をかけられると、「本物ですよ。皆さんのことちゃんと見えてますよ!」と即座に返事をするなど、ライブ感のあふれるやりとりを繰り広げていた。

紅咲とのおしゃべり体験の様子。テンポのいい会話は配信で身に付けたものだろう

 また同ブース内では、『17LIVE』アプリを用いたVライバー体験も行われていた。スマートフォンで表情を読み取ると、バーチャルキャラクターの表情に反映されるというもので、気軽にVライバー気分を味わうことができる。初心者である筆者でも簡単に動かすことができ、Vライバーデビューへのハードルが思いのほか低いことに驚いた。

Vライバー体験では、同社CEOのアレックス氏のアバターが用意されていた

海外展開はIPホルダーの必須事項 日本IPの今後を考えるトークセッション

 続いては、Adventure Stageにて行われた、トークセッション「日本IP(知的財産)ファンがビジネスでつながる『Vライバービジネス』は新世代エンタメの起爆剤となる」の様子を紹介する。登壇者は以下の6名だ。

アレックス・レン(17LIVE株式会社)
田中 章雄(Headline Asia) 
能瀬 秀二(株式会社EMP)
佐藤 正朗(株式会社ポニーキャニオン)
佐田 晋一郎(株式会社Aww)
柳 里沙(17LIVE株式会社)

 はじめに登場したアレックス氏からは、イチナナのこれまでの歩みと、Vライバー市場をとりまく環境について語られた。業界の規模を考えても、Vライバー市場はまだまだ拡大していけるジャンルであることがうかがえる。

同社の事業戦略や海外展開について語るアレックス氏

 以前より告知のあったVライバーユニット「武士来舞(ブシライブ)」のビジュアルもお披露目となった。同社としては初のIPユニットで、すでに楽曲リリースやテレビへの出演なども決定している。

ついにお披露目となった「武士来舞」の5人。キャッチーなビジュアルが印象的だ

 「武士来舞」のお披露目後、能瀬氏、佐藤氏、佐田氏、柳氏が登場し、司会進行に田中氏を迎え、トークセッションのスタートだ。

左から、田中氏、能瀬氏、佐藤氏、佐田氏、柳氏

 冒頭ではさっそく、公開されたばかりの「武士来舞」への質問が飛び交った。「『武士来舞』とはどんなユニットか。なぜ武士なのか」と尋ねられたライバープロデュース部門責任者を務める柳氏は、「イチナナ初のキャラクターユニットで、グループコール機能を使って全世界向けの配信を行う予定です。武士をモチーフとしたのは、海外展開を見据えているからで、織田信長や豊臣秀吉といった歴史的な人物に着想を得ています」と答えた。

 続いてのテーマは、IPコンテンツにとって必須ともいえる“海外展開”だ。柳氏はイチナナの強みとして「台湾や香港などにグローバル拠点をもっていること」をあげ、「すでに人気のあるリアル配信者(自身の顔を表に出して活動する配信者)との共存もできると考えている。2.5(次元)のジャンルが生まれつつあります」と続けた。

 終盤には、傍聴者からの質問に答える場面も。「配信者の獲得競争が激化する中で、『17LIVE』はVライバーの採用をどのように行うのか」との質問に対して、柳氏は「Vライバーに興味のある方たちが、気軽に配信を始められるプラットフォームとなるべく、さらなる機能の充実を目指す」とし、「今後はフェスなどのオフラインで行われるイベントでのスカウトも積極的に行っていきたい」と回答した。

 田中氏から「ぶっちゃけVライバーは稼げるの?」と切り込まれると、「稼げます。17LIVEのランキングトップ100にもVライバーさんがたくさん入っていて、じゃんじゃん稼いでいます」と笑顔で返した。

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