人気配信者、宝探しゲーム配信中に“本人確認書類の束”を発見 位置情報ゲームのリスクを考える

 ゲーム実況を中心に活動するTwitchストリーマー・スタンミじゃぱん(以下、スタンミ)。スガワラユウヤ名義でモデルとしても活動し、近年はストリーマーイベントなどにも出演する人気配信者のひとりだが、そんな彼が先日とある事件に遭遇した。GPSを利用した宝探しゲーム『Geocaching(ジオキャッシング)』を配信している最中に、ビルの室外機の裏からジップロックに入った本人確認書類の束を発見してしまったのだ。

ジオキャッシングで宝物を探していたら、シャレにならない危険物を拾ってしまうスタンミじゃぱん【スタさんぽ】

 急遽慌ててゲームを一時中断、警察に届け出ることになったスタンミ。幸いにして「事件性はない」と判断され、落とし物として処理されたとのことだが、配信のコメント欄やTwitterでは犯罪に巻き込まれるリスクを心配する声が多数寄せられた。筆者もちょうど当該の配信を視聴していたが、笑い話で済まないレベルの事態ゆえに「配信を中断したほうがいいのでは……」と心配になった記憶がある。

地球全体が範囲の宝探し「ジオキャッシング」だと?

 「ジオキャッシング」に挑戦したコンテンツクリエイターでいえば、東海オンエアなども過去に動画を投稿している。ジオキャッシングは「参加者がタッパーなどにちょっとしたキャッシュ(宝物)をいれてそれをどこかに隠す」「他の誰かが隠したキャッシュを発見した際は同価値のものを代わりにいれる」というルールが存在する。彼らが挑戦した際は、発見したおもちゃのダイヤの代わりに東海オンエアのステッカーセットをいれるなど、本人らも楽しくゲームをプレイしており、非常に牧歌的な内容にも思えた。

 しかし、一歩間違えれば犯罪や事件、事故に巻き込まれかねないという側面もたしかに存在する。(誤解なきようにあらかじめお伝えしておくが、今回スタンミが発見したものがジオキャッシングで隠されたものかは不明だし、おそらくそうでない可能性の方が高い)

 2018年にAFP通信が報じたニュースで、ジオキャッシングに参加していたチェコの女性が排水設備に閉じ込められ水死した例や、2015年にはアメリカの公演に設置された宝物が不審物とみなされて警察の爆発物処理班が出動した例もある。また、2016年から埼玉県・新座市が市のWEBサイトで「位置情報ゲームに関する注意喚起」で危険な場所には立ち入らないよう呼びかけている。

(参考:チェコ女性、GPS使った宝探し中に排水設備に閉じ込められ水死
(参考:お騒がせ宝探しゲーム「ジオキャッシング」、怪しい動きで警察沙汰も) 

 「ジオキャッシング」はもともと、GPSの民間利用における制限が緩和されたことを祝し、2000年に開催されたミニゲームが始まりだという。テクノロジーの歴史において、経緯も含めて価値のある取り組みであったことは間違いないだろう。そして、真っ当にゲームのルールと法律を守りながらゲームを楽しんでいるユーザーがほとんどなのだろうし、上で挙げたような例が全てではない。

 しかし、こうして規模が拡大した際に「誰がゲームをコントロールするのか」という点にはやはり疑問・懸念が尽きない。もしもサービスやアプリの配信が終了するとして、隠されたキャッシュがすべて回収される保証は無いし、されなかった場合それはただのゴミとなる。運営側も隠す場所や物、キャッシュの維持に関するルールやガイドラインは設けてはいるものの、あくまでもユーザーの善意にゆだねる形でしかないように思えてしまうのだ。

 さらにいえば、安全性を確認しておこなわれるリアル脱出ゲームなどのアミューズメント施設と違い、ゲームのフィールドは「地球上全て」だ。夢中になったプレイヤーが、本来入ってはいけない場所に立ち入り、チェコのような事件に発展してしまう可能性は今後も充分にあり得る。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる