篤実と堅実、それからほんのちょっぴりの毒舌 世界を股にかけるアルス・アルマルの多彩な魅力

アルス・アルマルの多彩な魅力とギャップ

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 元1期生がデビュー5周年を迎え、彼らを筆頭に現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与えるだろう。

 しばらくのあいだ紹介している30~40名は、にじさんじ始動から2年目にあたる2019年2月8日以降にデビューしたメンバーだ。現在のにじさんじのなかでも主軸を担う、重要メンバーが揃っている世代でもある。

 さて、YouTubeやTwitchなどのプラットフォームを分析するWebサイト「Streams Charts」が4月12日に、2023年1月から3月における女性配信者のデータ「Most Popular Female Streamers in 2023(2023年に人気をあつめる女性ゲームストリーマー)」を発表した。〈参考:「Most Popular Female Streamers in 2023」〉

 単純な視聴者数だけでなく、総配信時間も加味したランキングとなっているなか、トップ10に名を連ねたのはTwitchで配信するゲームストリーマーと、YouTubeで配信するホロライブ所属のVTuberたち。兎田ぺこらがYouTube・Twitchの両プラットフォームを合わせての総合1位に輝いているほか、博衣こよりやさくらみこなど計6名がランクインしており、あらためてその影響力の高さを実感させられる。

 数多くのバーチャルタレントが活躍する昨今において、YouTubeに重きを置いた「Most Popular Female YouTube Gaming Streamers(YouTubeで人気をあつめる女性ゲームストリーマー)」ではホロライブの面々に続き、にじさんじから唯一ランクインしたのがアルス・アルマルだ。

 白銀の髪色、女性としては短いショートカットに、水色の瞳が特徴的な彼女。フードを被った魔法着と低めの身長ということもあってか、3Dステージなどで彼女が出演した際にはすぐに彼女を見つけることができる。

 肩幅に比べて顔が大きいことで同僚ライバーからイジられることも多いが、それ以上に個性的なのはやはりその声色だろう。多くのリスナーが「コロコロしている」と評する愛らしい声色を持っており、そのビジュアルも相まって多くのリスナーから愛される存在だ。

 そんな彼女が「世界的なストリーマーのひとり」というと、すこし大げさに感じられるかもしれない。2023年5月現在でYouTube登録者は70万人を超えており、登録者数で数えればにじさんじ内でも上位に入るが、星川サラや月ノ美兎といった面々を抑えてランクインしているのだから、不思議に思う方もなかにはいるだろう。しかし、人気の秘密は数字だけでは見えづらい。本稿では、そんなアルスの魅力、人をひきつけてやまない理由を記していこうと思う。

 2019年7月24日にTwitterに初投稿、28日にYouTubeで初配信しデビューしたアルス・アルマル。初配信冒頭では「初ツイートの内容・様子がおかしい」と戸惑ったリスナーに向けて大袈裟に謝罪したと思いきや、「はい、謝ったんで、自己紹介いきまーす」と一転冷静になって淡々と進行を始める、“初めまして”のリスナーらを思いっきり振り回す初配信となった。

 初配信を見返してみると、いまよりも声色が高めの愛らしい声で、未だにツッコまれる滑舌の甘さもかなり強い。デビュー初期の彼女にしか見れない魅力がある。

〈配信リンク:【初配信】はじめまして!アルス・アルマル【にじさんじ】
https://www.youtube.com/watch?v=RX33h0yMfu4

 翻って現在のアルス・アルマルといえば、深夜0時から1時の間に配信をスタートさせ、4時から5時まで配信をしている姿がファンには良く知られている。深夜帯で配信をするにじさんじのメンバーといえば葛葉、叶、ましろ爻に加えて、デビュー時期が近しく仲良しな葉山マリンらがいる。アルスも彼ら・彼女らと並んで「にじさんじの深夜帯」を彩る1人として活動中だ。

 大病を患い数か月以上に渡って配信活動ができなくなるといったことはなく、風邪や腰の痛みなどの影響で数日ほど休む以外では、ほとんど毎日のように配信活動を継続しているというのも人気の秘訣だろう。

 くわえて、深夜までゲーム配信をして、朝から睡眠を取ったあとに夕方から再び配信、食事を取った後の深夜から三度目の配信をスタートさせる、俗に言う「3回行動」をすることもあり、積極的な配信ペースはリスナー・にじさんじの同僚らに広く知られている。過去に配信で語っていた貧血やギックリ腰などのエピソードから虚弱体質である印象を持たれがちだが、配信活動そのものは非常に堅調に続けてきたのだ。

 また、アルスはにじさんじ内外のさまざまなゲーム大会に出演しており、それをキッカケにして彼女の存在を知った方も多いだろう。『Apex Legends』『Overwatch』『PUBG』『スプラトゥーン』などのFPS・TPSゲームだけでなく、『雀魂』『マリオカート』『Fall Guys』『ポケットモンスター』など、多種多彩な大会に出場してきた。

 ハイレベルなプレイを見せ続けるというタイプではないが、これまで数多くの、そして幅広いゲームをプレイしてきたこともあり、勘所を抑えたプレイングでサクサクとゲームを進行していく。リスナーとおしゃべりしながら笑顔を振りまき、メイペースに進行していくゲームプレイはアルスの持ち味でもある。

 なにより、ひとたび興が乗れば、朝日が昇ってもゲームをやめず、お昼ごろになってようやく配信を終えるような長時間配信をおこなうこともしばしばある。反面、こうした彼女のスタイルゆえ、雑談・歌・企画モノ・ASMRといったタイプの配信がほとんどないのも特徴だ。

 まさに「ゲームならば何でも楽しく、コツコツとプレイしていく」根っからのゲーマータイプなバーチャルタレントなのだ。

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