溢れ出るオリジナリティが周囲を凌駕する にじさんじ・葉山舞鈴の“世界の捉え方”
ここまで面白いキャラクターでありながらソロでのゲーム配信が多いのは、人見知りする性格であったり、そもそもひとりでゲームをするのが好きという部分があるからだろう。
現在、2020年までの生配信のアーカイブはほぼすべて非公開となっているが、この1年ほどでの圧倒的な稼働量とアーカイブをみれば、彼女の人となりを知るには十二分のはずだ。
配信スケジュールを欠かさず提出しつづけており、Twitterと同じくらいYouTubeコミュニティを使っての発言も多い。彼女のメンバーシップに参加していない方でも読めるメッセージが多く、「Twitterを利用していない視聴者」に向けて考えたうえでの活動なのだろう。
一方で自身のファンや新規のリスナーからの心無い行動で傷つくこともあった。2021年12月末、それまで行なっていたメンバー限定配信を中止にするとアナウンス。2022年2月中旬にはYouTubeコミュニティ内で自身の体調不良や不安感をハッキリと言葉にした。
病院に定期的に通院して薬を処方してもらいながらの活動となっていることや、自身の活動を応援してくれるメンバーとともに気を休めることができるはずのメンバーシップ限定配信やファンクラブの活動が怖くなっていたことを言葉にし、有料コンテンツについては一度休止することを発表した。その後2022年7月からはふたたびメンバー限定配信を再開しており、体調も良好な状態に戻ったようにみえる。
また2022年3月末には、当時熱中していた『ELDEN RING』における自身のプレイングや長時間配信が連続していることに対する批判コメントが届き、YouTubeコミュニティ内でコメントを引用しつつ真摯に答えてみせた。
寄せられたコメントや意見をまっすぐ受け止め、今後の活動に役立てていきたいと答えつつも、自身の中から溢れ出る強いこだわりやクセを大切にしていることがしっかりと読み解くことができる。
ゲーム作品には必勝に近い攻略法が見つかることがあり、その方法を使えば確かに効率的かつ素早くゲームを終わらせることができる。だが長時間プレイすることで世界観を堪能したいプレイヤーもいれば、葉山のように「こだわりのある武器・プレイスタイル」で攻略を目指したいプレイヤーもいる。「ゲームを楽しむ」という一言には、非常に多様・多義的な意味合いが含まれている、楽しみ方は人それぞれなのだ。
VTuberやゲーム配信者として面白い配信を届けようとするとき、あまりにもスマートすぎる内容を求めてしまうよりも、葉山のように強いこだわりで我を貫くタイプもまた支持される。「個性派集団・にじさんじ」においても一目置かれるほどの、良い意味での“アクの強さ”で、今後も活動していくはずだ。