“人を殺してなければ出演OK?” 街録ch・三谷三四郎が語る YouTube戦略と語り手の選定基準

街録ch流のYouTube戦略と語り手の選定基準

新宿はアンダーグラウンドな人材の宝庫

――開設当初からインタビュー対象がホストやホームレスなど、前衛的な人選でした。どのように見つけたのですか?

三谷:最初は新宿で見つけました。というのも、テレビ番組を制作する際に個性的な人を探し出す企画は結構やっており、そのときから新宿は結構お世話になっていました(笑)。また、街頭インタビューの経験もあったので、通りすがりの人に声をかけることへの抵抗感もなかったです。

――新宿は人材の宝庫なのですね。

三谷:一番最初に街録chの撮影のために新宿で街頭インタビューしたときは7人ほど協力してもらいました。そのときは幸先良いスタートが切れたと感じましたね。

――チャンネルを開設してすぐの再生数はどうでしたか?

三谷:基本的には再生が1000回を上回ることはなく、街中で興味を持ってもらう人を探すことに限界を感じていました。そんな中、新宿にいたホームレスの人の動画が1か月で10万回くらい再生されており、「アンダーグラウンドな人の話が求められているのでは?」と感じました。

――やはり最初は苦戦していたのですね。

三谷:はい。YouTubeは毎日動画を投稿しているチャンネルは視聴者の目に留まりやすい仕様になっているらしく、開設当初は毎日投稿だけは崩さずやっていました。とはいえ、街中で引きのある人を見つけることも大変。さらには、アンダーグラウンドな人を効率よく見つけるため、SNSでもインタビュー対象を探すようになり、風俗関係の人や元闇金業者といった人へのアプローチも積極的に始めました。毎日投稿を意識してとにかく量をこなすことから、引きのある人をきちんとブッキングし質を追求するスタイルへシフトしていったんです。

取材対象者の地雷を踏みそうなったらカメラをオフにする

――いろいろな人の内面が引き出されていますが、インタビュアーとして意識していることはありますか?

三谷:街中で声をかけた人の場合、「もういいですか?」「帰りたいんですけど」と言われたくないから、めちゃくちゃ盛り上げるんですよね。具体的には話し手が気持ち良くなるようにオーバーリアクションで相槌したり、質問した時に「はい」とか「いいえ」ではなくちゃんと答えてくれたことを深掘りしたりなどです。

――途中で帰られることはありましたか?

三谷:テレビ番組の街頭インタビューではありましたが、その時の経験のおかげで街録chではないですね。

――面白い話を引き出すために時には攻めた質問を投げかける必要があります。ただ、地雷を踏んでしまうリスクもあります。

三谷:意外と地雷を踏んだことはありません。僕は生まれてから現在に至るまでの経歴を聞くようなスタイルなのですが、そうやって聞いていくと、「この時期は地雷っぽいな」「急に歯切れが悪くなったな」というゾーンに差し掛かります。その際には、「この時期の話しは聞かないほうが良いですか?」と直接聞く。「答えられません」と言われたら、当然聞きません。

 ただ、その時期の話を聞かずに先の話を聞くと、地雷ではないゾーンの話を掘り下げにくくなるため「カメラをオフにするから話してもらえませんか?」とお願いします。すると、結構話してもらえますね。

街録chで取材しない人の基準は「人を殺した過去があること」

――街録chの各動画の概要欄では取材希望者を募る文言が載っています。応募はどれくらい寄せられますか?

三谷:開設から半年後くらいから募集は始めましたが、マチマチですけど月に30件ほどいただいています。その中から実際にインタビューをお願いする割合は1割ほどです。

――どのような基準で「この人にインタビューしよう」と決めているのですか?

三谷:「聞いたことのないドラマを聞けるか」ということは重視しています。例えば、セクハラ被害をなかったことにされた元自衛官の女性、障がい者の人を専門にしている風俗嬢など、実際に聞いたことのない話しが聞けました。

――過去の話し手と被らないようには意識していますか?

三谷:多少はあります。ただ、アダルト関連や反社会的勢力関連は再生数が良いので、そこは厳しく意識していません。そもそも、アンダーグラウンドに行きついた人は往々にして紆余曲折があったため、他では聞けない話を聞けますね。

――逆に「こういう人にはインタビューしない」みたいな基準はありますか?

三谷:明確な基準があるわけではありませんが、人を殺していた過去がある人は厳しいです。

――そこにひっかからなければオールOK?

三谷:DMの内容を見れば大体わかるんですよね。「この事実を知ってほしい!」という人はDMの内容に読み応えがあるため、「インタビューしてもいいかも」と思わせてくれます。一方、ただ単に「自分の話を聞いてほしい」という人も結構いるのですが、そういう人の文章は熱意が伝わりません。中には「絶対バズります!」のみ書いている人もいましたが、それではお願いできませんよね(笑)。

――有名人が出演した動画も増えていますが、お願いされてインタビューする人の割合はどれくらいですか?

三谷:今は3割ほどです。昔はもう少しハードルが低かったため、お願いするケースは多かったです。ただ、視聴者の目が肥えてきたため、「昔だったら採用していたかもしれない」という人も増えてきましたね。

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