ごっこ倶楽部に聞く、ショートドラマの"圧倒的な可能性" 流行りを超え「日常に溶け込む文化」を目指して

ごっこ倶楽部が語る「ショートドラマの魅力」

 都内・新国立美術館で開催された『Tik Tok Awards 2022』では、TikTokで活躍したクリエイターたちにさまざまな賞が授与された。「Shortfilm Creator of the Year」を受賞した「ごっこ倶楽部」は、ショートドラマを中心にコンテンツを投稿するクリエイター集団だ。

 脚本、演出、キャスティング、撮影、編集を全てチーム内でこなし、ショートドラマならではの濃縮された内容とテンポの良い展開を持ち味として、数々のヒット作品を生み出している「ごっこ倶楽部」。

 そんな彼らに2022年の振り返りと、今後の目標について話を聞いた。

ーー『TikTok Awards 2022』での「Shortfilm Creator of the Year」受賞おめでとうございます!今年は株式会社GOKKOの設立など、新たなトピックも多い一年だったと思います。振り返ってみていかがでしょうか?

谷沢龍馬(以下、谷沢):振り返りたくないですね……(笑)。振り返りたくない!

早坂架威(以下、早坂):振り返りたくないね(笑)。思い出したくない!

ーーお忙しかったというでしょうか?(笑)

多田智(以下、多田):忙しかったですね。会社の設立は新しい挑戦だったので……。会社を立ち上げることができて、そこからより一層作品を増やしていかないといけないな、というのがありましたから。

 数字はありましたけど、意外とショートドラマというジャンルが盛り上がらなかったな、というのが予想外でした。なので、この1年間は、まず自分たちが火付け役としてTikTokドラマ、ショートドラマのコンテンツ数を増やしていくんだ、という目標がありました。

 ただ、それがめちゃくちゃ大変でしたね。毎月平均で16本ほどドラマを投稿しているので、ペースでいえば2日に1話ドラマを作っているようなものですから……。人数も少ないところからスタートしていて、脚本も撮影も同時にやっていかないといけない。

 たぶん、労働量でいえばテレビ局を超えてると思います。本当に大変な1年でした。

ーーかなりハイペースで制作されているとは思いますが、そうした日々の中で、ショートドラマの作り手として、制作において心がけていることを教えてください。

谷沢:"愛"じゃない?

多田:なんか薄っぺらくない?(笑)。

谷沢:いやいや、でもテーマはそうじゃん(笑)。

多田:まあテーマはそうね。いまの世の中って、スマートフォンだったりSNSだったり、デジタルなものがすごく普及しているじゃないですか。

 そういう世の中で「忘れがちな愛」「小さな愛」を伝えていこう、っていうのが最初の頃から目標にしているテーマですね。

 あとは編集の仕方、見せ方に関しては"バズ"を意識してますね。脚本目線からはどう?

鈴木浩文(以下、鈴木):なんだろうな。僕はあんまり"バズる"っていう言葉が好きではないんですよ。もちろん、こういう脚本を書けばバズるだろうなっていうノウハウは分かってきたんですけど、そういうのばっかり書いてても自分が面白くないので。

 僕の場合は、「僕はこれ、楽しいと思ってるよ。どう?」というお話を作ることが多いです。僕自身が脚本を書くときはあまり数字にはこだわってないですね。

ーーありがとうございます。ちなみに、鈴木さんから見て"バズる"作品とはどういったものなんでしょう?

鈴木:めちゃくちゃ種類はありますよ。でも、こんなこと言ったら、他の人たちも真似しちゃうから言いたくないんですけど(笑)。

一同:(笑)。

谷沢:いいじゃん、教えても(笑)。

鈴木:こういうお話が好きとか、こういう話の進め方が好き、とかみなさん色々あると思うんですよ。うーん、なんて伝えたらいいかな(笑)。

谷沢:言語化するのは難しいよね。

多田:みなさんが見ているテレビドラマの定番の流れや、一番の盛り上がりどころにあたる部分を、ショートドラマでは最初に持ってくる。そういう意識はありますね。

 普段なら「起承転結」の「転」で使う盛り上がりどころを、あえて最初に持ってきて「起」として使うんです。その盛り上がったシーンで張っておいた伏線の回収や、オチで裏切る、みたいなところを後の方に持ってくる。

谷沢:話のテンポもだいぶ早くしてるよね。

多田:そうだね。あとは、本来だったら登場人物同士の"会話の間"も演技のうちなんですが、そういうのも編集で割愛して“TikTok仕様”にしてますね。

ーー秒数に限りのある"ショートドラマ”ならではですね。

多田:そうですね、正に"ならでは"だと思います。

 とはいえ、実際に芝居をしている最中はその間がないと、役者の感情が見えてこないんですよね。表情に表れないから。ちゃんとした役者が、ちゃんと演技をするからこそ、テンポを早めても見ていて面白い作品ができるのかなと思ってます。

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