杏をはじめとした「日本人のフランス滞在記」がYouTubeで注目の的に カギは“憧れと現実”のギャップと新たな発見にあり?
12月2週目は、ボンソワールTVがフランスに帰国した様子を収めた動画がYouTubeの急上昇にランクイン。最近YouTubeでは、俳優・杏や日本人女性のフランスでの生活を写したVlog動画も話題を集めているのだが、なぜフランス滞在記が注目されるのか。今回はその理由に迫ってみたい。
今週急上昇に登場したのは、フランス人のアマンディーヌと日本人の玄徳夫妻が運営する「ボンソワールTV」。フランスと日本の文化の違いやフランス人が日本食を食べた反応、観光VLOGを中心とした動画で人気のふたりが、今回はアマンディーヌの母国フランスに帰国した様子を収めた動画で注目を集めた。
空港からパリ市内に向かう道中の映像は、街灯に照らされたオペラ座や街並みが目を惹き、まるでフランスにいるかのような錯覚を覚える。ふたりは翌日には古代エジプトから贈られたオベリスクが立つコンコルド広場、1900年のパリ万国博覧会のために建てられたグラン・パレなどを紹介。現在パリは2024年の夏季オリンピック開催にあたり、ルーヴル美術館周辺の庭園をはじめ、さまざまな箇所で改装工事が行われていることも伝えている。
ルーヴル美術館前で開催されているクリスマスマーケットに立ち寄ったふたりは、フランスのクリスマスの光景も動画に収めている。フランスの冬の名物であるラクレットチーズをふんだんにトッピングした巨大なホットドッグを頬張る様子や、白のホットワインを「日本酒に近い」と表現したアマンディーヌの説明に多くの視聴者が反応。冬のパリが「光の街」と呼ばれるひとつの所以であるシャンゼリゼ大通りのイルミネーションも紹介し、大きな反響が寄せられた。
フランスといえば、俳優・杏が今年8月にフランスに移住することを発表。10月からはフランスでの生活の様子をYouTubeに投稿し、度々急上昇にランクインしている。今月1日には、ボンソワールTVも訪れていたシャンゼリゼ大通りの点灯式の様子を収めた動画も公開し、話題となった。
杏のチャンネルでは、パリの街を散歩する様子やUber Eatsを利用した様子、杏が利用しているチーズ専門店の紹介、友人たちとのホームパーティーなど日常にフォーカスしたものが中心。しかしながら、海外旅行がここ数年叶わなかったこともあり、とくに散歩動画は大好評。シリーズ化を希望する声が視聴者から上がっている。
フランスでの生活を伝えるチャネルでは、11月3週目にナントで暮らす日本人女性が運営する「Nolie / のり フランス四人暮らし」の動画が急上昇入り。この動画は、長女の出産のために入院していた病院で提供された、ある日の病院食をのりが紹介したものだ。食事内容は、朝食はクロワッサンや硬めのパンとフルーツジュース、コーヒーか紅茶、ショコラショで済ませる質素なもの、昼食はカルボナーラとバナナなど、夕食はラタトゥイユとチーズオムレツといったものだ。
病院食は薄味という話はよく耳にするが、それはフランスも同じよう。のりは「基本的にね、めちゃくちゃ薄味なんです」と説明しており、日本と異なる点には病院食でも乳製品が大量に使われていることを挙げている。病院食を取り上げた動画が急上昇に入ってくることはあまりないことだが、今回ののりの動画は、“食の都”と呼ばれるフランスの病院食が見られる、かなり貴重なコンテンツとして注目を集めたようだ。
人気観光地として、世界中の国々から観光客がやってくるフランス。日本でも憧れの旅行先としてよく名前が挙がるフランスに対し、石造りの建物や歴史的建造物が立ち並ぶ街並みや、エッフェル塔や凱旋門などの有名観光地、ワインやチーズといったイメージをもつ人も多い。今回取り上げた動画やチャンネルには、日本人のイメージするフランスと、日本であまり知られていないフランスでの生活の実態が融合しているという共通点がある。
この共通点は、フランスに憧れを抱く視聴者にはさらなる強い憧れを与え、かつてフランスで生活していた視聴者や旅行でフランスを訪れたことがある視聴者には、懐かしさを思い起こさせたことが視聴者のコメントからも読み取れる。オリンピック開催に向け多くの箇所で改装が進められているフランスは、今後一層YouTubeで注目を集めることだろう。
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