自由で繊細なトリックスター・花畑チャイカが通す「エンタメの筋」

花畑チャイカが通す「エンタメの筋」

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。

 デビューから順を追うように紹介してきた本連載。元1期生、元2期生、元ゲーマーズ組の次は2期にわたる元SEEDs組。元SEEDs1期組の最後にご紹介するのは、メイド服×筋肉ムキムキ×オカマ×エルフ族×アニメとサブカル好き…さまざまな特徴を兼ね備えたカオスの権化、花畑チャイカについてだ。

 2018年6月3日にTwitterに初投稿、6月5日にMirrativにて初配信し、当時のSEEDs1期生のなかでもとびきりの存在感でリスナーの注目を集めていた。

 花畑チャイカ、本名はチャイカ・ブライン、「オネエ」と呼ばれるときもあれば、「変態女装おじさん」と自称することもある。これが年齢の話題になると、永遠の17歳、2億歳、5兆歳、22歳、0歳ともはやなんでもあり。とある配信内で「第一第二第三皇女、リゼ・ヘルエスタ」と自称し始めて以来、数年経過した今でもそのように騙ることもある。

 これに加えて、彼のビジュアルもメイド服だけではなく、軍服、ギャル風の衣装、ロボットのようなアーマー、そして年少の少年になったりと、さまざまなバリエーションを持っている。

 その時々によって自分の在り方をコロコロ変えていくような変幻自在な振る舞いとジョークに溢れた姿勢は、まるでインターネットというカルチャーの軽薄さ・ライトさ・ポップさを体現しているかのよう。にじさんじの男性タレントのなかでも抜きんでて「自由」を表現する人物といえる。

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 そんな彼の配信というと、サラっと流しそうな何気ないことにもツッコミをいれ、配信が単調になりかけるとキツめなボケをしてみたり、情報が混みあったときには場を取りまとめようとしたりと、自由のなかにも「エンタメとしての筋」を通そうとする姿がある。

 運営元であるANYCOLORをイジリ、えげつない下ネタを開陳し、脈路のない事物とを結び付け、ピュアな心で疑問を持ってみたり……彼が見ている視点・思考もひとヒネリ違った捉え方や強面なアクションとなって、リスナーにも届けられることが多い。

 自身の強烈なビジュアルと存在感のある低めの声、強面なアクションは説得力を放つ。リスナーやコラボ相手などにも刺さり、その後の配信にも影響を与えることも多々あるほどだ。

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 場をかき乱すトリックスターな役回りでコラボ相手を振り回すことも多々あるが、同時に場を和ませるムードメーカーなポジションとなる場面も多いのも、彼らしい特徴であろう。

 単に場の緊張感を柔らかくしようと優しい態度を見せるのみならず、あえて強面な振る舞いをすることで重い空気を一掃したり、話題から外れそうになったときにはツッコミをいれてクールダウンさせたりと、様々な言動をみせてくれる。彼の強面なアクションがジョークだと知られているからこそ、ムードを和ませることができるのだ。

 花畑と同僚であるにじさんじSEEDsの男性陣といえば、社築、舞元啓介、ジョー・力一らが大型企画・公式番組の司会役などを務めている。

 対して花畑は彼ら3人とは違い、花畑は司会役などの真面目なポジションを担うことは少ない。椎名唯華とのコンビ「にじさんじレジスタンス」として公式番組にゲストとして呼ばれることが多く、いかに彼がバラエティ・お笑い向きなのかが伝わるところ。

 花畑チャイカは、トリックスターであり、ムードメーカー。自由に振る舞う彼に、周囲が信頼を置くのはなぜだろうか。

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