25周年を迎えた名作FPS『ゴールデンアイ 007』の“映画原作ゲーム”としての魅力。実は関心を誘う要素の宝庫?
気付けばゲームにおける『007』への入口は10年以上閉ざされたまま
とはいえ、『ゴールデンアイ 007』発売当時、主に映画版シリーズを追いかけるのは結構、骨が折れやすくもあった。そもそも、インターネットが普及していない時代だ。基本的にはVHSの販売店、レンタル店でソフトを探したり、映画雑誌、もしくはテレビの情報番組における映画特集などで関連情報を探らなければならなかったからだ。
『金曜ロードショー』、『木曜洋画劇場』といった番組で放送されるかを新聞のテレビ欄などで調べる、というのも追いかけるに当たっては必要だった。
あれから25年が経ったいま、シリーズ作の情報は関連用語をインターネット上で検索するだけですぐ行き着けるようになった。映画を専門とするWEBサイトも多数開設され、「リアルサウンド」もそのひとつとして名を連ねている。また、動画配信サービスの台頭により、会員になれば無料でシリーズ全作が観られるようになっているのも見過ごせない(※Amazonプライム・ビデオにて配信中)
その意味では本当にいい時代になった……のだが。残念なことに『007』のゲーム展開は長期に渡って止まってしまっている。日本国内だと、NINTENDO64版に新解釈を加えたWii版こと新生『ゴールデンアイ 007』、海外だと2012年発売の『007 Legends』が本稿執筆時点における最終作。なんと10年以上も動きがない状況にある。
映画シリーズは変わらず人気を誇り、2021年10月には度重なる延期を経て上映された『ノー・タイム・トゥー・ダイ』が国内外で大ヒットを記録している。ただ、ゲームという、映画とはまったく別の界隈からの”入口”は驚くほど減少してしまっている。
筆者自身、『ゴールデンアイ 007』というゲームを通し、『007』という歳を重ねた今も追い続ける映画に巡り会えたのは、本当に運命的な出来事だったと今なお思う。今回の記事執筆に当たり気付かされた興味を誘う試みの数々と、それを節々に仕込んだ開発スタッフ、説明書や攻略本の執筆・編集スタッフの方々にも感謝しかない。
そんな経験をした人間ゆえにこそ思う。また、このような”きっかけ”を作ってくれる『007』のゲームは出ないのか、と。
『ノー・タイム・トゥー・ダイ』が上映された2021年には、暗殺アクションゲーム『Hitman(ヒットマン)』シリーズを開発したIO Interactive社が『Project 007』なる、新たな007のゲームを発表している。
じつに10年ぶりになるこの新作は、本稿執筆時点にてジェームズ・ボンドの原点を描く内容になるとの断片的な情報しか明らかになっていない。ただ、どんな内容であれ、この新作が『ゴールデンアイ 007』のように、映画版を始めとする『007』への興味を誘う要素が揃った作品になることを、いまとなっては願うばかりだ。
7代目ジェームズ・ボンドの誕生も取りざたされるこのごろ。シリーズが大きく注目を集めそうにあるからこそ、ゲームの場でも『007』の帰還を待ちたい限りだ。