1人を楽しむ陰キャYouTuber・コスメティック田中の功績
シュールな面白さでじわじわとチャンネル登録者数を伸ばしてきたコスメティック田中。動画の再生数は毎回30万〜40万ほどと、安定した数字を叩き出している。
著名人の暴露や過激な行動など、内容の派手さが注目を集めやすいYouTubeにおいて、コスメティック田中が売れたのはなぜか。「陰キャ系YouTuber」の立ち位置を確立した彼の魅力に迫っていく。
コスメティック田中(以下、田中)とは、登録者39万人(2022年8月17日現在)を誇る陰キャ系YouTuber。千葉大学工学部電気電子工学科卒業。中学生時代からYouTubeやブログにて情報発信を行ってきた延長で、TikTokアカウントを開設。メインユーザーである若い女性をターゲットに、コスメ系の動画を投稿したのがコスメティック田中という名前の由来である。ちなみに田中は本名ではない。
動画内では、「質問を募集していないので全部考えました」と自作の質問に回答。
企画を調理する力
まず初めに取り上げるべきは、企画立案能力の高さだろう。彼は過去にマルチ系YouTuberの鉄板であるメントスコーラやナイトルーティン、日常Vlogなどといったネタを扱っている。彼独自の“陰キャエッセンス”を加えて、だ。
「仕事中に会社でメントスコーラしてみた」は、タイトル通り田中が務めている会社のオフィスでひっそりとメントスコーラをするといったもの。動画全体を通して静かな様子の田中と、勢いよく噴き出すコーラの対比が、なんとも奇妙で面白い。
「一緒に行ける友達いるわけない制服ディズニー 1人ぼっちで行ってきた【日常Vlog】」では、社会人の田中がスーツを着てぼっちディズニーに挑戦。ジャングルクルーズに無言で乗り込む田中の姿が。帰り際、彼が「1人で遊園地っていうのは、あんまり面白くないのかもしれないですね」とコメントした姿も印象的だ。
「ネットカフェ住み込みルーティン【自遊空間】」で、1人の時間を満喫する田中。社会の喧騒から離れた彼は、どこか生き生きとして見える。
田中は、YouTubeの人気企画に彼独自の味を加えて調理することが非常に上手い。独特なワードセンスやシニカルな発言をスパイスとし、幾度となく擦られてきたネタであっても新鮮さが感じられる。
並外れた行動力
田中の魅力は企画力だけではない。気になったことや面白いと感じたことに、躊躇なく突っ込んでいく行動力がすごいのだ。動画内では、”トー横界隈”の人々にインタビューを行ったり、渋谷のクラブに突入して1人でチューチュートレインを踊る姿が伺える。普段、飲食店の店員さんに対しても挙動不審な彼の様子からは想像がつかない光景だ。彼がただの陰キャではなく、強い芯を持った人物であることがわかるだろう。