1人を楽しむ陰キャYouTuber・コスメティック田中の功績

カギはひとりを楽しむこと

　伸びた動画に共通しているのは、自虐的なように見えて1人を楽しんでいるということ。陰キャであることを否定せず、自分が生きやすいように日々を過ごしている様子が窺える。

　つまり、彼は身をもって「おひとりさま」の肯定をしているのだ。そんな田中の姿を見ていると、見ているこちらも「一人でもいいんだよ」と言われているような気分になる。

　現代社会において、対人関係に疲れている人は多い。実は1人が好きだけど飲み会を断れない、大人数の場で無理して笑うのが辛いなどといった気持ちになったことが、誰しも一度はあるだろう。『キョロ充』なんて言葉もある時代だ。少し無理をしてでも社会のコミュニティに属さなければ、という意識は強いように感じる。

　そんな現代人の目に、田中はどう映るだろうか。周囲の空気に流されず、自由に一人を楽しんでいる人物に思えるのではないか。「もし、陰キャな自分に正直になれたら」という願望を、田中を通して叶えられるのではないか。

　田中は動画内で、陰キャで悩んでいる人たちへ向け「未来の種明かしみたいになれたら」と語っている。否応にも人との繋がりを求められる社会から隔離されたインターネットで、1人で過ごすことの肯定をしてくれる田中の存在は、人疲れした現代人の支えになっている。

　コスメティック田中の活躍は続いていく。そして、彼が「おひとりさまのカリスマ」になる日もそう遠くはないだろう。