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大規模通信障害に備えるには?

 7月2日に発生したKDDIの通信障害は、約3日に渡って続き、最大で約3915万回線と膨大な数のユーザーに影響を与えた。詳細な原因は究明中だが、現在分かっている範囲だと、コアルーターの交換中に音声通話をやり取りするためのVoLTE交換機に不具合が発生し、それを切り戻す際により多くの通信が発生してしまったことが引き金になっている。その後も、加入者管理データベースとの情報不一致やVoLTE交換機から加入者管理データベースへの異常な信号が発生し、障害が長期化した。

雪だるま式に不具合が波及し、復旧までに長時間を要したKDDIの通信障害

 KDDIは原因究明と再発防止に努めるとしているものの、世代を経るにしたがって、モバイルネットワークのシステムは複雑化しているため、ちょっとしたきっかけで通信が止まってしまうことは十分ありえる。実際、2021年10月にはドコモが、2018年にもソフトバンクが大規模な通信障害を起こしており、原因はそれぞれ異なる。通信障害は起きうるものとして、ユーザー側でも備えが必要になりそうだ。

 ユーザー側の取れる対策として、真っ先に試したいのがWi-Fiだ。ネットワークがダウンしてしまったとしても、別の経路でデータ通信さえできれば、LINEのようなメッセンジャーは利用できるからだ。KDDIの通信障害も、自宅にいてWi-Fiにつながっていれば、アプリからの通知は受け取れた。一人暮らしで自宅に固定回線がないというユーザーもいるが、このようなケースで連絡手段が途絶してしまうリスクを考えると、安価な回線は引いておいた方がいいかもしれない。

 Wi-Fiさえつながっていれば、IP電話アプリも利用できる。「050 Plus」やLINEで電話番号に発信できる「LINE Out」を駆使すれば、電話をかけなければならない事態にも対処できる。普段と発信する電話番号が変わってしまうのは難点だが、音声通話ができないよりはマシだ。LINE Outのように、維持費がかからないサービスもあるため、いざという時の備えとして覚えておいた方がいいだろう。

IP電話アプリであれば、Wi-Fi接続時にも利用できる。画像はNTTレゾナントの050 Plus

 ただし、IP電話では原則として110や119のような緊急通報はできない。そのため、通信障害時に警察や消防に電話をかける必要が出てしまったときには、公衆電話を探すのが手っ取り早い。公衆電話は携帯電話の普及とともに、その数を減らしているが、緊急時のために依然として設置されている。NTT東日本、NTT西日本のサイトで、どこにあるかを検索することが可能。通信障害時にはこのサイトにつながらない事態も考えられるが、Wi-Fiで接続したスマホで探すようにしたい。

NTT東日本、西日本のサイトでは、公衆電話の場所が公開されている

 いくら自宅にWi-Fiを設置しても、外でつながらなければ外出もままらない。そんなときには、まず、キャリアの設置した公衆Wi-Fiを利用するといい。KDDIには「au Wi-Fi SPOT」というサービスがあり、ユーザーであれば、特にパスワードなどを入力する必要なく接続ができる。先の通信障害時にも、au Wi-Fiはダウンしていなかった。駅やカフェなどの飲食店、デパートなどの商業施設など、さまざまな場所に設置されているため、ピンポイントで通信するのに役立つはずだ。

 キャリアの公衆Wi-Fiは、ドコモやソフトバンクも用意しており、いずれもユーザーの認証をSIMカードで行っているため、特別な設定をする必要なく利用できる。駅などで勝手にWi-Fiにつながり、移動した際に通信不能になってしまうトラブルもあるため、普段はオフにしておいてもいいが、通信障害のときには役立つネットワークと言えるだろう。

キャリアの用意したWi-Fiスポットは接続が簡単。出先でも利用できる

 一方で、Wi-Fiはあくまでスポット的なサービスにすぎない。1つのアクセスポイントでカバーできるのは、せいぜい数十メートルの範囲。上記のように、少し移動しただけですぐに使えなくなってしまうのが難点だ。1つの基地局で幅広い範囲をカバーするモバイルネットワークとは、役割が根本的に異なる。Wi-Fiだけでは、モバイルネットワークと完全に同じ使い方はできないと考えておいた方がいいだろう。

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