100億ドルの宇宙望遠鏡が初めて観測したものは? 天文学者は「生命の痕跡」発見に期待
7月12日、米航空宇宙局(NASA)がジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の活動を始め、初観測の画像を世界に向けて公開した。公開された画像には、地球から約7600光年離れたイータカリーナ星雲、南のリング星雲、銀河群「ステファンの五つ子」などが含まれ、かつてない高精度で撮影されている。
ウェッブ望遠鏡は2021年12月に打ち上げられ、1990年に打ち上げられたハッブル望遠鏡の後継機にあたる。少なくとも今後20年間は宇宙での新たな発見のための力になることが期待されており、100億ドルの予算が投じられた。NASAを中心としたアメリカ、ヨーロッパ、カナダの宇宙機関の共同プロジェクトとして運用されている。
ウェッブ望遠鏡は、赤外線で宇宙空間を見るために特別に調整されている。先代よりも宇宙を深く見ることができるようになり、その結果、135億年以上前までさかのぼった事象を観測できるようになった。
天文学者は、より高度な技術を使って銀河にある惑星の大気を研究し、生命の痕跡を発見することを期待している。
ウェッブ望遠鏡の4つの赤外線観測装置のうちの1つの共同研究者である英国のジリアン・ライト教授は、今回発表した最初の画像は、その後何が起こるかの“試食”に過ぎないと語った。教授はBBC Newsに対し「これらの新しいデータが非常に良質で、わずか数時間の観測で得られたという事実は、新たな発見が見出されるのを待ってそこに座っているということを物語っています」と、コメントしている。
初観測の画像は宇宙望遠鏡科学研究所によるウェッブ望遠鏡の専用サイトにギャラリーとして公開されている。
(画像=ウェッブ宇宙望遠鏡サイトより)
〈Source〉
https://www.bbc.com/news/science-environment-62140044