月で“身元不明のロケット”の墜落現場を発見 2つのクレーターが謎を深める

月で“身元不明のロケット”の墜落現場が発見される

 NASAの科学者たちが月面の写真を何ヶ月もかけて精査した結果、2022年3月4日に月の裏側に衝突したロケットの墜落現場を発見した。しかし、科学者たちは困惑している。ロケットがどこから飛来したものなのか、まだはっきりとは分かっておらず、なぜ衝突によって1つではなく2つのクレーターができたのか、その理由も分からないのだ。

 アリゾナ州立大学の地質学教授で、2009年からNASAのルナー・リコネサンス・オービターに搭載されたカメラの主任研究員であるマーク・ロビンソン博士は「驚くべきことに、このクレーターは実際には2つのクレーターで、東側のクレーター(直径18m)が西側のクレーター(直径16m)に重なっている」とウェブサイトに書いている。

 「二重のクレーターは予想外で、本体が両端に大きな質量を持っていたことを示すかもしれない。通常、使用済みロケットの質量はモーターの端に集中し、残りの部分は主に空の燃料タンクで構成されています」と、その特異性を綴っている。

 宇宙の物体を追跡するソフトウェアを開発した天文学者のビル・グレイは、当初、持ち主としてSpaceXを名指した。しかし、再計算し、2014年の中国の月探査機「Chang’e 5-T1」のものである可能性が高いとした。中国はこれに対して、Chang’e 5-T1は「地球の大気圏に安全に突入し、完全に焼却された」と異議を唱えている。

 中国はロケットの打ち上げを発表し、テレビで放映するが、経路は明らかにしないため、グレイは逆算によっておおよその軌道を計算して、結論を導き出している。彼は「99.9パーセント、中国5-T1だと確信している」とBBCに語った。

 2014年10月の中国のミッションに、宇宙船に着陸船を搭載したものがあった。その前身にあたるChang’e 5-T1には着陸船は含まれていなかったが、ロビンソン博士は、着陸船の存在をシミュレートするためにステージの上部に重い塊を搭載したのではと推測している。もしそうなら、下部のロケットエンジンと上部の着陸船シミュレータが、2つのクレーターを作った可能性がある。

 人類が月にクレーターなどの痕跡を残すのは今回が初めてではない。月面には何百もの破片があり、中には着陸船やジップロックの袋に入った宇宙飛行士の排泄物もある。アポロ計画のロケットブースターは、月面に幅30メートルほどのクレーターをいくつも残した。アリゾナ州立大学の2016年のデータによると、少なくとも47のNASAのロケット本体が月に「宇宙船の衝突」を起こしている。しかし、月へのロケット体の衝突で、二重のクレーターを作ったものは他にないとされている。

(画像=NASA/GSFC/ARIZONA STATE UNIVERSITY)

〈Source〉
https://www.smh.com.au/world/north-america/a-mystery-rocket-crashed-into-the-moon-and-no-one-on-earth-is-owning-up-20220628-p5ax4x.html
https://www.nytimes.com/2022/06/27/science/moon-crash-rocket.html



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